世界の家具作りの傾向について
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今週のゲストは家具職人の黄瀬隆行さんです。黄瀬さんは注文家具を主体に仕事をされています。今日のテーマは「世界の家具作りの傾向について」お話をお聞きします。 家具の歴史は、人間の歴史と共にあるとも言われています。国や地域によって家具作りのありかたも異なっていると思います。 イタリアあたりでは15歳ぐらいから家具職人になり、見習い期間を経て、30歳ぐらいになると親方になっているように聞きました。やはり若い頃に感覚を磨いた方が良いのでしょうか?業界は異なりますが以前番組ゲストで出演いただきました石材加工の寺尾晴邦さんにも同様のことは言われましたが・・・。 |
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若いころから始めるにこしたことはないでしょうね。ただ日本では丁稚制度が崩壊してますし、例えば15歳の少年が家具作りをしたい!といっても受け入れ先は かなり限定されるのではないでしょうか? 職業訓練校などもありますがあくまで基本となることしか教えてくれません。 |
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ドイツのマイスター制度のようなものが日本にはないのですね。 | |
そうだと思います。 | |
最近の世界の家具の傾向はどうなっているのでしょうか?また日本ではどのようなタイプの家具が支持されているのでしょうか? | |
世界の家具の傾向というご質問はかなり幅がありどう答えたらいいのか1職人が発言することに少し戸惑います。
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収録の様子です。黄瀬隆行さんとは昔ご近所で、20年ぶりにこの番組のお陰で再会することができました。 そういうこともありまして、対談はスムーズに行われました。私の知らない家具の世界の奥行きの深さ、黄瀬さんの家具作りへの情熱を聞くことができました。 |
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家具製作の先進国はどこなのでしょうか?ヨーロッパなのでしょうか? アメリカなのでしょうか?注目される国はどちらでしょうか? |
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歴史でいうなら間違いなくヨーロッパだと思います。そこからアメリカへ流れていきます。 それぞれのお国がらはありますが、基本的な製作はそんなに違いはみられないように感じます。注目している国はデンマークです。 |
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最近インテリア家具という言葉も聞きます。よく意味がわかりませんが、建築関係の言葉なのでしょうか? | |
そうですね。僕にもわかりません。インテリアという意味は室内全般の装飾のようなものを指すと思うのですがそれに家具という単語をくっつけるのはなんでしょうね? 他に良く聞くのが「デザイナーズ家具」というのがあります。著名な建築家や家具デザイナーがデザインしたもの全般を指します。 |
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テーブルのほぞ。 黄瀬隆行さんの注文家具は、無理やりビスで止めたりせず、ほぞ加工されています。 (写真は黄瀬隆行さん提供) |
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私はパソコンなどの作業が多いのですが、普通の事務机と椅子でしています。長時間していますと疲れますが適切なものはあるのでしょうか? | |
そうですね、まず椅子の座面高を変えれるものを使用されることをお勧めします。それで自分の座高にあった高さに調整します。次に床から自分の肘の高さをはかり、その寸法+数センチ高い高さに机の高さをあわせます。ここらへんは好みの数字ですね。その位置でキーボードを打っても肩に力が入らないような位置を探してみてください。 後は座る姿勢ですが猫背を防ぐために小さなクッションを背中に挟むといいでしょう。長時間のデスクワーク用の椅子は沢山発売されています。 いずれも10万円を越えるものが主流なのですが、毎日使用するものですから少々高くてもすぐ元は取れると思いますよ。 余談ですが、デンマークなどの労働者を保護する基準法のような法律の中では2時間以上同じ姿勢で作業させてはいけないらしいです。 つまり適度に姿勢を変化させなければ悪影響がある、と国が認めているんですね。長時間座り続けるのではなくときどき休息を挟むのも大切なことです。 |
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注文家具は今後は増加していくのでしょうか?また技術的に対応できる技術者の養成は上手く行っているのでしょうか? | |
小さな工房単位では増加しているようには見受けられますが、淘汰もあります。 決して明るい展望があるわけではないですが、無くなりはしないでしょう。 |
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技術者の育成については数は少ないですが、専門学校、美術系大学などや職業訓練校、また会社で丁稚制度を採用しているところもあると聞いています。ただ私自身積極的に情報を収集したわけではないので内容等はわかりかねます。 今は技術はもちろんですが、営業、企画、経営、などいろんなスキルも見につけたほうがいいでしょうね。 |
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