韓流ブームの中での平和交流
 
 今週のゲストは高知での平和ネットワークづくりに参加されている平和資料館草の家事務局長の金英丸(キム・ヨンファン)さんと、Wind of peaceとsaladのメンバーである渡辺鈴予さん、植田二朗さん、安部文章さん、内村瞳さんです。
 今日のテーマは「韓流ブームのなかでの平和交流」についてお話をお聞きします。この2〜3年くらいは、特に2002年のW杯共同開催以降は韓流ブームが日本国民の間で広まっています。一方政府間は「靖国参拝問題」「竹島問題」などで冷え込んでいます。
日本人のなかでは、韓国の歴史や文化に関心が高まっています。「冬のソナタ」のような現代劇ドラマにも、「チャングムの誓い」のような歴史ドラマにも関心が高まっています。日韓の近代史もとても大事ですが、もっと古い時代の韓国の歴史に関心が高まることは良いことであると思いますが・・
金   3年前と比べましたら、たくさんの方々が、ドラマや映画を韓流ブームで観賞しています。また韓国へも行かれるようになりました。
 その自分の好きな俳優やドラマの舞台となった地域を訪ねているようです。そこへ行かれますと韓国の歴史を自然に学ぶことになります。なによりも韓国と日本の市民が直接触れ合う機会があることが、大切です。ですので政府のレベルで問題がありましても、この流れは後戻りは出来ません。
 それと「チャングムの誓い」の話も言われましたが、韓国と日本の歴史で悲しい歴史もありましたが、遥かに長い時間は友好の歴史がありました。朝鮮通信使の歴史もありました。朝鮮通信使を通じて、たくさんの市民達が文化や芸術、食べ物など、「草の根」レベルの交流があったことを今蘇らす必要があるのではないか。私もそのとうりだと思います。
 日本の女性達に大人気の若手韓流スター達も、2年間の徴兵を経ています。当然歴史観、社会観も日本の芸能人とは異なるようです。上手にそのあたりの説明は必要ではないかと思いますが・・。
金   韓国は俳優達は徴兵へ行きます。それは南北朝鮮が分断されているからですね。だから今は南北交流が進んでいまして、徴兵も短くするとか、募兵にするとかの動きもあります。
 すべての人達が徴兵に行くのはどうなのか。社会問題に関わる俳優達も多いのですね。韓国ドラマを見るとき、その裏を見てください。
 「冬のソナタ」の第1話で、ヨン様が学ランを着ていました。それはなぜかと言いますと日本の植民地統治時代に、学ランを学生に着させて、それが1980年代後半まで残っていました。そのドラマとか、映画に登場します社会の背景やら、歴史に関しても関心を持つことが、大事ではないかと思います。
 韓国は日本の大衆文化の流入を抑制してきました。最近はどうなのでしょうか?韓国は質の高い映画やドラマも制作しています。そのあたりはかなり自信をつけているのではないでしょうか?
 今韓国の映画やドラマを制作している監督達は、1980年代に学生運動した人たちで、社会問題に対する意識を強く持ち、作品に反映させています。時代の精神を出しています・
 それに対して韓国ではたくさんの人が映画を見ます。入場料は700円と安いこともあります。また韓国では国産映画を義務上映する制度があり、ハリウッド映画を規制しています。
 文化というものはたくさん人達が触れる機会を増やして、国が育てていくいことが大事ですね。結果が今出てくるのではないかと思います。
 日本ではきちんとした歴史観で質の高い映画やドラマは制作されていないのでしょうか?大衆文化が社会に一番影響力があると思いますが・・。
   私の韓国での経験ですが、韓国で日本の大衆文化が解放される以前から、日本の映画とかアニメなどは結構観ていました。それは国がいくら規制をしても、日本へ旅行してきた人が、ビデオを持ち帰り。コピーして見たりしていました。
 文化は今の時代は国が政策で禁止をしても、自然に文化はお互いに影響力を持ち合うようになります。
 だからいまは、韓国のドラマなどは高知のテレビでも殆ど毎日放映されています。私のお薦めでは、高知の映画館でも韓国の映画がたくさん上映されます。
 映画をたくさん見ていただきたい。韓国の社会を反映した映画です。ビデオショップでもたくさんあります。そのなかで社会の雰囲気がわかる映画を高知の皆さんも見ていただいたら良いと思います。
 植田二朗さんは韓国の映画をたくさん見ていますし、釜山の映画祭にも行かれたそうですが・・。
植田   韓国の釜山映画祭に行きました。韓国は映画の価値を高く評価しています。映画館に行きましても入場料が安く設定されています。日本円で600円ぐらいでしょうか。
 みんな休日などは映画館に見に行きますね。釜山映画祭で感じたことは、韓国の映画を守ろうということで、「アメリカの映画を上映しない。」というデモをしていました。

 いろんな思いで釜山映画祭をつくりあげているようでした。日本に比べて歴史観、歴史の問題を取り上げている映画が多いと思います。例えば南北分断の映画「JSA」なども、南北の交流を描いています。それが人間味溢れています。北と南がどうのというより、すごく単純なところで人間性があります。
 それから日本で韓国ブームになっていますが、ブームはいつか終わります。一時のブームが過ぎ去った後、何が残っているのか。一番大事な問題ではないでしょうか。

 

観点を変えた質問です。高知県にも強制連行の史跡はたくさんあります。ダムやトンネルなどがそうです。そのあたりの調査や研究はどうなっているのでしょうか?
左長沢ダム、右家地川ダム。高知には強制連行された人たちにより建設された施設が多くあります。
金 

 そうですね。高知へ来ましてから若い皆さんと史跡を訪ねることがありました。大正町の津賀ダムや、道路の建設現場などです。犠牲者のお墓など訪ねました。高知は四国の中でも朝鮮人強制連行の多い県です。現場がたくさんありました。


 今年日本と韓国政府の間で、強制連行されて亡くなられた韓国の人たちの遺骨を返却することに協力することになりました。60年経過して未だに遺骨が日本に残されていることを考え、自分の地域の歴史から掘り返すことを日本の市民運動がやってきました。

 強制連行調査団も30年以上やってきました。それを自分の地域の近くで調査して、直接解決のために努力することが大事であると思います。

 収録の様子です。皆さん真剣に言葉を選んでお話いただきました。時に取り直しも。

 ラジオ収録初体験の人もいらっしゃいましたが、きちんとはきはきとお話しされていました。