快適な高齢者生活の条件とは?

 今週のゲストは高知大学人文学部社会経済学科教授の田中きよむさんです。今日のテーマは「快適な高齢者生活の条件とは?」です。一般的に「老後の不安」が良く言われます。
 身体機能の衰えと、生活不安を示していると思います。2000年4月に介護保険制度もスタートしました。日本は急速な高齢化社会に移行しています。
日本の物価水準と平均余命からして、65歳の高齢者夫婦の場合、生活費はおおよそ
 どの程度必要なのでしょうか?適度に旅行も可能な生活費です。
数年前に高齢者を対象とした全国的な世論調査(一体生活費はいくらぐらいかかるのか)が生命保険文化センターによって調査がされました。それによりますと全国平均で最低生活費用は月額24万円です。小都市や郡部は22万円位です。ご設問のように「ゆとりある生活」になりますと月額37万円です。小都市や郡部で35万円くらいです。
ですから旅行などを考慮しまして快適な生活をとなりますと、20数万から30数万ぐらいは月額で必要ですね。
快適な高齢者生活の条件を若い時代から用意するとすれば、どのような考え方をすればいいのでしょうか?貯金はすべきでしょうか?それとも株式運用や債券購入など資産管理の勉強をするべきなのでしょうか?
   

どういう生活条件を整えるのかは個々人の選択の自由です。一般的には公的年金だけには頼れないことです。

私自身もアンケート調査をしたことがあります。公的年金に頼りたいけれども頼れない。ある程度自主的な努力を重ね合わせようという人が多くなっています。ですから、貯蓄や個人年金を公的年金とミックスさせないとちょっと老後の生活は心配だという意識が高まっています。

田中きよむさん
 
国民年金はあてになるのでしょうか?最近若い人を中心に加入しない人が増加しています。私事ですが、我が家の子供も今春大学を卒業ですが国民年金は申請をして在学期間は免除してもらっていました。就職後本人に支払わせる予定でしたが、就職できませんでした。バイトをするそうですが、この場合どうすれば良いのでしょうか?

毎年のように年金に対する不信感は若い学生の間からも出てきています。多いのは「将来年金は貰えないのでは?」という意見ですね。貰えないないことはないでしょうし、公的には言われてはいません。なくなることはないでしょうが、ご存知のように年金の支給開始年齢が引き上げられました。支給され始めるのが遅くなるということですね。それから若い人の場合は「負担した分の年金給付になっていない」「出した分だけ十分な年金が受け取れない」ということで、「魅力の薄い」存在になっています。


 それから申請免除などのことですが、これは免除されている間は、学生の場合は将来の年金額には反映されない問題点があります。卒業後就職して少しでもリカバーをしたい場合には「10年間追納措置」という「後払い」する方法があります。
 それから卒業して定職がなく、バイトなどして収入が低い場合は、学生の免除とは別に一般の免除の方法があります。それは全額免除と半額免除があります。
 バイトやパートの場合は、正社員に対して労働時間が4分の3以上の場合は、厚生年金の適用が義務付けられています。今2004年度の制度改革では、正社員の2分の1以上の労働時間であれば厚生年金の適用を義務付けようという話も出ています。

 

介護の大変さは、ヘルパーの研修をしましてよく理解出来ました。痴呆や身体機能を低下させないためには、若い頃からの予防が必要だと思います。

具体的な施策は実行されているのでしょうか?

(2級ホームヘルパーでの車椅子体験の様子です)

これにつきましては全国的には「健康日本21」という施策が推進されています。2010年を目標にしていまして、煙草やアルコールを栄養や運動面で、改善してこうというものです。例えば若い人の喫煙率を2010年までにゼロにする。あるいはアルコールが体にどのような影響を与えるのか、そういったこといをより認識するとか。
 若い人のばあいは、癌とか高血圧とか、糖尿病とかの「生活習慣病」も広がっています。やはり煙草やアルコール、運動不足や、塩分の取りすぎとか食生活からの改善も重用だと思います。
茨城県大洋村は、筑波大学の協力で、高齢者のパワーリハビリを実施しました。高齢者の筋力トレーニングをやっています。その結果寝たきり高齢者が減少、医療費や介護費の低減化に繋がりました。この施策を高知県でも推進すべきだと思いますが。進展具合はいかがでしょうか?
高知市に話を聞きました。映像も見ました。パワーリハビリは実施されています。実際に要介護度が実際に軽くなる実例もありました。歩くのを両脇を掴まれながらようやく歩いていた人が、筋力トレーニングのお陰で、すたすた歩き出したとか。要介護度の低い人ですと効果はありますね。
国体でこしらえた施設や、人材を高齢者の身体能力低下防止のために活用すべきだとおもいます。そのしくみはどうあれば良いのでしょうか?高知大学もそうした地域社会と実務的に連携すべきだと思います。高知医大と合併したこともありますし。
 スポーツ関係などは、教育関係が専門で詳しくは聞いてはいません。ただ一般的には地域連携という意味では、スポーツは「競技スポーツ」と「生涯スポーツ」がありますね。地域の連携という意味では、国体でこしらえた設備を利用しながら、競技だけではなく、生涯スポーツとして健康のためのスポーツということで、大学もノウハウや知識を提供して連携できれば良いなと個人的には思います。