国土交通省は変られましたか?
 今週のゲストは、国土交通省四国地方整備局高知河川国道事務所所長の岡本誠一郎さんです。今日のテーマは「国土交通省は変られましたか?」でお話を伺います。
 国土交通省は、旧建設省と国土庁、運輸省が統合されてできました。
旧建設省時代とは、業務上で変化はありましたか?よけ多忙になられたのではないでしょうか?
 国土交通省が出来まして、いろんな幅広い行政が一体になりました。今まで建設省は、道路、河川、海岸、砂防、あるいはまちづくりとか、住宅とかそういうことをやってきました。元の運輸省の港湾、鉄道、自動車、海運、国土庁の国土計画、水資源関係、それから北海道開発庁も含めた北海道関係。一緒になりましてやっています。
 そのなかでいろんな行政の連携、融合事業、ユニークな取り組みがありますが、一体的な仕事はだんだんと進むようになりました。
 具体的には、いろんな事業がスムーズに行くようになったのでしょうか?

前からいろいろ省庁間の連携はしてきています。例えば、河川と港湾、海岸など「水に関する」ものを一体的にやっていくとか。

そういった点では(従来より)違いは出てきたのではないかと思います。省庁再編に伴いまして、昔の建設省の本省が持っていた役割や、権限と言うものを、各全国のブロックの地方整備局に移すということがありました。

 
 これによって、県や市町村の補助事業の窓口が、四国整備局のほうに作られました。そういうことで、地元の自治体のいろんな相談窓口が、より近いところに出来ました。そういった変化は出てきたのかなと思います。
かつて10年ほど前に聞いた講演のなかで、作家の椎名誠氏は、国土建設省が出来たことに、「国土破壊省ではないか」と揶揄していました。日本国土をコンクリート漬けにしてと言っていました。国土交通省になってから、土木工法や、工事に関する考え方は変化がありましたか?
 省庁再編の前から、いろんな事業で環境に配慮していく、見た目の景観に配慮していく。いろんなことに取り組みに強化されてきたと思います。それから、公園とか下水道とか環境保全というところの事業もどんどん進められてきました。
 特に河川が一番良い例ではないかと思います。平成9年に河川法が改正になりました。河川環境の整備と保全という法律の目的になりました。これによりましていろんな多自然型の川作りがされるようになりました。全国的に展開されるようになりました。
 河川全体でどういう風に環境を保全するか、整備していくかになりました。最近になりまして流域で考えるようになりました。自然再生法も一部なのですが、2000年以降は、山の問題であるとか、そこから流れてくる河川や面的にいろんな問題を環境を考えていくようになりました。単に河川の問題だけではありません。海岸にしましても、侵食されていますし、土砂の流失はどうなのか。流域の問題を目を向けまして、そのなかで何が出来るのかを模索してきています。広くなればなるほど、調査も大変です。
仁淀川での紙のこいのぼり(いの町)
仁淀川の源流は愛媛県の石鎚山です
 今までの土木建設工事のイメージは、日本は大雨が降った場合には、河川に流入する水を一刻も早く海へ流そうとしまして、護岸や河床ををコンクリートで固めてしまう。砂防ダムや、堤防をコンクリートで分厚くしたり、そんなイメージがありました。
 最近の国土交通省の考え方はそれだけではないように聞いているのですが・・・・。
 先ほど河川法の改正の話を少しいたしました。河川環境を守っていく。整備していく。それが法律の目的に加わっています。河川がもともと持っている河川の環境を大切に守っていこう。そういう取り組みを強くしようと言う動きがあります。
 多自然型川作り。ちょっと聞かない言葉だと思いますが、もともと川の自然を生かした川作りの取り組みがあります。これは、2002年頃から、取り組んでいます。最初は水際の護岸を単なるコンクリートではなくて、植物が生えやすい工夫をしてきました。それがだんだん、川の中の植物、河畔林という林のようになっていますが、そういうものを活かしたりします。
 川の中に,、たまり水があります。湾土と呼んでいるのですが、ここは魚の稚魚が生息していまして、生物の生きる場所としましては貴重な場所です。そういう場所を守って行こうということに変わりました。
 改正以降は、川全体でそうした取り組みを一体的に示して行こうということになりました。最近さらに河川という線ではなくて、流域全体で、山から水や土砂が流れてくる。川に流れて、海へ行きます。流域全体でどういう自然のシステムと言うものを守っていくのか。復元していくのか。
 幅広い川作りで、変化があると思います。
 話を聞いていますと河川の流域ということになりますと、大変幅が広くなりますね。
 ひじょうに、広いですし、調べなくてはいけない範囲が広がってきます。単に川にいる生物という問題ではなく、山がどうなっているのか。街がどうなっているのか。あるいは田畑でどういうことが起こっているのか。その全部状況を見て、流域の河川で何をやっていくべきか。
 砂防事業として何をしていくべきか。そういうことが必要になってきます。
物部川 仁淀川
物部川河口付近
仁淀川河口付近
 工事事務所から、「総合」事務所になったのは、そういうところもあったからですね。
 そうですね。いろんなことを勉強しなければいけないことが増えました。
 その話をお聞きしますと、確かに国土交通省は変わったなと思いますね。
いろんな意味で幅が広がったなと思いますね。
国土交通省のホームページは こちら  http://www.mlit.go.jp/