三位一体改革と高知県 その1
 
 今週のゲストは、高知県県議会議員であり、自民党高知県支部連合会政務調査会長である中西哲(さとし)さんです。
 今日のテーマは「三位一体改革と高知県その1」というテーマでお話をお聞きします。
 三位一体改革とは国と地方の税財政計画のことであり、「補助金の見直し」「地方交付税の見直し」「国から地方への財源移譲」の3つの課題を関連して三位一体改革と言われています。
 三位一体改革の影響は、高知県の県財政や、市町村財政を「直撃」したのではないでしょうか?具体的にはどのような影響が出てきているのでしょうか?
 平成16年度予算編成中の前年度の12月に突然大幅な地方交付税の削減という問題がおきました。従って、県も市町村も平成16年度予算編成から大きな影響を受け、財源不足が起きました。

 地方6団体(全国知事会、都道府県議長会、市長会、市議会議長会、町村長会、町村議長会)は、地方交付税を削減する見返りとして、国の補助事業を削減して、地方への税財源委譲をすることで政府と合意しました。
 しかし、税財源委譲の地方への配分が大雑把に言えば人口比で配分することになったために人口の少ない高知県では予想していた地方交付税等の総額から大幅に減少いたました。


 県レベルでは平成16年度予算編成において約200億円のマイナスで、結果として230億円の財源不足が生じ、平成17年度は16年度と同様の予算編成をすると248億円の財源不足が生じるため、予算を縮小しました。(対前年度比マイナス6.2%、当初予算は4,521億円)それでも165億円の財源不足が生じました。

 平成18年度はさらに厳しくなると予想しています。16年度ほどではないと発表されています。。

中西哲さん

 また高知県経済は公共事業の比率の高い地域です。県の公共事業費も減少していますが、その影響は地域経済にどのように反映しているのでしょうか?

 高知県予算で見ますと、普通建設事業費は平成9年度の2,200億円を戦後のピークとして大幅な減少を続け、平成17年度には918億円と半分以下になっています。
 高知県の経済は県内総生産の業種別生産額の比率(2002年)で見ると第1位がサービス、政府サービスが第2位で16.8%を占め全国平均の約2倍となっており、公共支出依存の体質が強いため三位一体の改革によるマイナスの影響が(全国で1番出てきています)出ており、県経済は落ち込んでいます。
 また、全国的には大都市圏を中心にして景気は回復してきていると言われていますが、その中心になっているのは製造業である。同じデーターで高知県の場合製造業は10.6%と県経済第5位で全国平均の約半分しかないために景気回復の波に乗り遅れるという経済構造になっています。
公共工事の比率が高い高知県。大きな経済波及効果があるとされているため、「工事のための工事」ならないことが大事です。
 中西さんの地元である宿毛市にも影響は出ていると思います。どのような影響が具体的に出ていますか?

 宿毛市の景気は底にあるというのが私の判断です。私が宿毛にUターンしまして17年になりますが、最悪の状況ではないでしょうか。
 三位一体改革の中で「国から地方への財源移譲」とありますが、実際に目に見える形になっているのでしょうか?都市部にはメリットはあるが、中山間部が多く、人口の少ない高知県にはメリットはないのではないでしょうか?
 高知県としては国庫補助事業の廃止――地方への税源委譲はメリットがないので県議会は反対の意見書を昨年9月議会で採択しました。しかしながら17年度予算編成では県執行部と同一歩調を取りながら、中央への要望活動を積極的に続けています。
 先日も自民党の地方の組織の代表と、安部官房長官との会談がありました。その折、地方の声は自民党本部に届いたのでしょうか?
 高知県のような人口減少県の国会議員は人数も少ないのでなかなか地方の声は中央に反映されないのが現状です。
 義務教育費の国庫負担などはどうなったのでしょうか?かなり削減されたようにも聞きましたけれども。義務教育のありかたも変化するのでしょうか?日本の初等中等教育は世界1だと私は思っていましたが・・・。
 これは自民党の中でも大変議論がありました。 
 平成16年11月26日、義務教育費国庫負担金の問題は本年10月末に開かれる予定の中教審の結論をまって議論するという政府・与党の合意があった。
 にもかかわらず、政府は平成17年度予算で中学校分の人件費8,500億円の内、半額4,250億円を暫定的に税源委譲した。(高知県では約35億8千万円)、来年度は税源委譲が見送られた。
 高知県における影響を考察してみます。教育関係費は昭和60年度に旅費と教材費が、平成元年度に恩給費が、平成5年度には共済費の追加費用等が、平成15年度には共済費の長期給付及び公務災害補償基金負担金が、平成16年度には退職手当と児童手当が一般財源化され続け、残るは人件費のみになっています。
 高知県としては、教職員の人件費は共済費、退職金及び児童手当などが一般財源化され、この結果県の負担額は増加傾向にあります。(平成17年9月予算委員会、知事答弁)
 第1の問題は税源委譲された場合に、従来の国庫補助金と同額が配分されれば問題はありませんがが、個人住民税フラット税率による配分方法であれば本県は配分が少なくなります。
 総務省はその不足分は地方交付税で補填すると言っています。東京都のような裕福な自治体では高知県はありません。ですので私たちはその部分を高知県に配分を多くするように中央に働きかけをしています。

日本の初等中等教育のレベルは世界水準でした。国の義務教育費の削減は地方にも大きな波紋を呼んでいます。

裕福な自治体と、そうでない自治体(高知県など)で、公教育で大きな較差がつくのではないか。懸念されています。

自民党ホームページ      「三位一体改革の実現に関する決議」
高知県庁ホームページ    知事記者会見  「三位一体改革について」
自民党高知県連       政策に冠する報告