国民の権利及び義務について
 

今週のゲストは、高知県県議会議員であり、自民党高知県支部連合会政務調査会長である中西哲(さとし)さんです。
 今日のテーマは「国民の権利及び義務について」お話をお聞きします。


 自民党の「新憲法草案」では、「第3章 国民の権利及び義務」についての項目に修正が加えられています。


第12条ですが現憲法は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又国民は、これを濫用してはならないのであって、公共の福祉のためにこれを利用する責務を負う」となっています。

 自民党の「新憲法草案」は、

「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。国民は、これを濫用しては濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び、公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う」とあります。
改正のポイントはどのようなところなのでしょうか?

 また「公共の福祉」が「公益及び、公の秩序」に自民党新憲法草案では変化しています。そのあたりの定義はどうなるのでしょうか?

 また第3章 第13条の「個人の尊重など」についてです。

 現憲法は「すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とあります。
 また現憲法は「又国民は、これを濫用してはならないのであって公共の福祉のためにこれを利用する責務を負う」となっていますが、自民党の新憲法草案では「国民は、これを濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び、公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う」とあります。

 自民党の「新憲法草案では」

「すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利について公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とあります。

 ここでも「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」と言い換えています。今一度その意味と意義を教えてください。 国民の義務が細かく規定されていますが、その理由はなんでしょうか?

 一連の質問に対して自民党本部の公式見解をお伝えします。

自民党本部見解です。

 現行憲法は制定以前の人権の歴史をふまえ"国家という公権力による人権侵害を食い止める"との発想を出発点としていますが、そのため、「義務」に関する規定が納税、教育、勤労と3つしかないのに比べ「権利」に関する規定が多く、バランスを欠いています。

 我が国の現状を見ると、行き過ぎた個人主義が横行しているように思えます。憲法の保障する権利や自由は、やりたい放題に何をしてもいいということではないことは言うまでもありません。
 自由社会では一人一人が他の人を個人として尊重することが不可欠であり、「自由」には「規律」「自己責任」が伴うのだという、ごく基本的なことをしっかり憲法に規定すべきです。権利と義務のバランスを考えると、「個益」と「公益」の調和が必要であり、権利の裏には義務があることを明記すべきであり、自由と権利には、責任と義務が伴うことを明記した。

中西哲さん
 また、現代社会に合わせた新しい人権の創出につとめており、権利の内容を具体的に増やしています。例えば25条にいう「健康で文化的な最低限の生活権利」とは、国民のほとんどが中流意識をもつ現代では、どのような意味を持つのか、環境権、プライバシーの保護、知る権利(情報公開)、なども付け加えました。

 国民相互の人権侵害を食い止めるために、国家が国民の生命や財産、生活や社会活動を守るという役割をもっと積極的に果たすことも規定することが必要だと思います。
 たとえば具体的には、

 「法律や社会秩序を遵守する義務」

 「環境保全義務」

 など、「権利と義務」では無く「義務と権利」であり、国民の権利は当然の事ながら守られ、主張すべきでありますが、その前提となるのはまず義務を果たす事が重要であります。

 この考え方は国民の自由とは何かの問題にも関係します。何をやっても自由というのは本当の意味での自由では無いと考えます。ある一定の枠内での自由と考えます。この自由のはき違いは国家そのものを危うくするものであり、義務と権利に関する憲法改正論議の際、一緒にこの「自由とは」も併せて論ずる必要ありと昨今の世情から判断致してます。

 現憲法の「公共の福祉」という概念は(社会構成員の共通の利益、基本的人権との調和が問題にされる――広辞苑)は一般の人にはわかりにくいので「公益及び、公の秩序」としました。

  第3章21条についてお聞きします。
 現行憲法は2で「検閲は、これはしてはならない。通信の秘密はこれを侵してはならない。」とあります。
 自民党新憲法草案では「検閲は、してはならない」とだけになっています。なぜ「通信の秘密を侵してはならない」という項目が削除されたのでしょうか?

収録の様子です。ご多忙な業務や議員活動の合間に収録に来ていただきました。

中西哲さんは、わたしの「中学生程度の」質問に、丁寧に、また平易な言葉で答えていただきました。

国際貢献活動をするために憲法を改正すること。現在の日本国憲法の精神をより発展した形で時代に合わせた憲法改正であることを説明いただきました。

 現憲法21条第2項の「通信の秘密は、これを侵してはならない」は新憲法では第19条の2第2項に移っております。「通信の秘密」には郵便はもちろん電話や電子メールも含まれます。また、この条文により公権力よる盗聴が禁止されております。この条文はインターネットの普及による情報化社会に対応するために新しく設けられました。
 この条文を受けて郵便法第8条『郵便物の検閲はこれをしてはならない』、第9条1項『郵政省の取扱い中に係る信書の秘密は、これを侵してはならない』 
 第2項『郵便の業務に従事する者は、在職中郵便物に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても同様とする』と規定されている。また、旧公衆電気通信法第5条にも同様の規定があります。電報や電話の通信の秘密も守られています。
 「憲法改正の手続きは?」お話をお聞きします。
 学校時代に習いました。日本では憲法を改正する場合は「国会議員の3分の2以上が賛成し、国民投票による過半数の賛成が必要」と記憶しています。
 日本では今まで「国民投票」をしたことがありません。国民投票をするためには、独自の法案が必要です。「国民投票法案」の内容について説明をお願いします。
 学校時代に社会科で習いました。憲法を改正するためには、国会議員の3分の2以上の賛成が必要であり、そこで憲法改正の発議がされ、国民投票により、過半数の賛成があって、憲法は改正され、公布されます。
 国民投票法については、与党において、昨年、法案を決定しています。本来憲法の条文に、改定手続きがある以上、立法府としてきちんと整備しておくべきものであり、次期通常国会において、成立すべく全力で取り組んでいます。