足元の生活から見直す方法は?
 今週のゲストは、スローフード高知会長・焼畑による山起こしの会会長の上田孝道さんです。今日のテーマは「足元の生活から見直す方法は?」でお話を伺います。
 量販店のチラシや飲食店のチラシでも安い食材や、安いメニューが見かけられます。「特売」されています。それで良いのでしょうか?
「安さを強調する食材は危ないのではないか」と上田さんとお話をしていて思いました。自分の健康を維持するために食品を購入するのです。安さばかりを追求することは「堕落」なのでしょうか?
 私は基本的には「食品の安売り、特売」には賛同いたしません。それは食品の尊厳、生産者への敬意が失われるからです。特売は安い価格の裏に、生産者とか、それに関わる人達の「悲鳴」が聞こえてくるようです。
 また食品の質が低くなっていることを消費者として覚悟しなければなりません。
 「良い食品を安く。安定的に」という消費者の夢ということ自体が無理があると思います。消費者地震が考えるべきだと思いますね。
 それから先ほど「堕落」というお話もありました。私は、家畜的な食事のあり方が問題ですね。伝統的な食文化と人の体そのものが包括しますね。安売りの代表格であります「無制限の飲み放題、食い放題」。これはアルコールで麻痺させ。自制心が失われます。一度に沢山のものを食べてしまいます。胃袋は大きくなります。病気にならない限りは、止まりません。
 食の誘惑に負けないというのですかね。そういうことをしませんと結果的に医療保険の負担が多くなります。

おなじみの量販店の特売チラシ。どの店舗も食料品、生鮮3品が「目玉」です。

値段に注目する前に、上田さんは「生産者の悲鳴が聞こえる」とのご指摘。自分の体への責任者は自分自身なのですから。

一方で国際経済の中で、WTOが批准され、世界中から安い農産物が輸入されるようになりました。工業製品と同列に農産物が扱われているようです。日本は工業国だから農産物の輸入は仕方がないという論法ですが。食料自給率は40%に日本ですが大丈夫ではないようなのですが・・
 大変危険なことです。先進国と言われている国では殆どその国の主要食料の自給率は高率です。しかしさきに発生したBSE問題で食品の安全性に対する意識は高まりました。しかし、主要食料の自給を中心とした食料の安全性(食料安保)に対する国民の意識は殆ど高まってはいません。
 工業製品の輸出に依存しています日本は政府は食料の輸入に歯止めをかけることはどんどん難しくなっています。残された道は一つしかありません。。それは食品を購入し、選ぶ権利は国民1人1人にあります。皆ができるだけ国産の食品を消費することです。
 これは自由経済の国民1人1人が権利や主張ですね。
イベント「スローフード意識で塩を探る」(完全自然塩保存会。高知県佐賀町)
 昔の日本人は「腹八分目」ということを言われていました。今の日本人は「過食・運動不足」で体調を悪くしています。上田さんのご経験からアドバイスされることがありましたら宜しくお願いします。
 スローフード運動の基本的な理念と関係があると思います。私たち国民の殆どは食べ物を生産する経験がなくなってしまいました。食事の誘惑と言いますか、必要な栄養以上の食事をしたくなるような、食事の情報が氾濫しています。ですから食事の誘惑に負けない精神構造を作らないと人生の不幸がやってきます。
 スローフードの言う「食育」はそのあたりを目的なのです。それからわたしの経験から、肥満や肥満でなくても偏った栄養を取りすぎることが、心身の病気や家族友人、職場などの人間関係を悪くしてゆきます。
 ですからスローフードのいう「食を中心とした」人間と人間の関係性をを修復することに「腹八分目」という思想は通じます。スローフード運動はある意味では、食の誘惑から、自分や家族や友人を守ることになりますね。残念ながら自由経済では経済優先ですから、人が家畜のように餌を食べるようにしくみになっています。
 スローフード運動はそれには賛同しないという思想です。私の胸にはスローフード運動のピンバッチであるカタツムリのバッチが付いています。このバッチは私自身が、食の誘惑から守るために付けています。またそのことを皆さんに食というものを自分自身を守るために、みなさんに知らせたいということです。
スローフード協会のピンバッチ。蝸牛です。
 今年6月10日に「食育基本法」が歴史になり法律ができました。この法律は、国民が義務として守らなければならないことが述べられています。健康に寄与する。食料を大事にするということですが、国民の義務に通しています。まさにスローフード運動に通じています。
*本文挿入の写真は上田孝道さんに提供いただきました。
8月番組に戻ります