デタ・コタ編集室の役割は?
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今週のゲストは、スローフード高知会長・焼畑による山起こしの会会長の上田孝道さんです。今日のテーマは「デタ・コタ編集室の役割は?」でお話を伺います。 上田さんは中山間部と都市部の交流を推進し、焼畑作業などの野外活動もされています。畜産や食糧などの問題で地元の大学でも非常勤講師もされています。 そもそも「デタ・コタ」とはどのような意味なのでしょうか?上田さんの思いがある のでしょうか? |
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私の屋号でもあり、名刺にも刷り込んでいる「デタ・コタ編集室」。本気で聞いていただいたのは今回初めてです。実は「デタ・コタ編集室」にて本もいままで3冊書いたりしました。それより私の想いは、農村や地域全体の発展は、「流域の発展」だという考え方にもとづいています。 インドネシア語でして、「デサ」というのは田舎のことです。「コタ」というのは港のことです。港と山の奥のことです。語源は「童話万延亀の如し」という渡部忠世さんの著作があります。 このなかに「日本の文化はヨーロッパの城壁文化とは異なります。流域が混然と発展をしている。」だからアジアの文化を発展させるためには、田舎と都市部が一体となって発展しなければいけないという考え方に感銘いたしました。 |
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もう一つ「編集」ということです。本をつくると言うよりは、現在になってやっと山間地域も見直されて来ました。こういう都会と田舎との関係をもう一度「編集」しなおしてみよう。そのような思想があります。本当は「デサ・コタ編集室」なのですが、私のでたらめ人生をもじって「デタ・コタ編集室」となっています。落語のような話ですね。 | |
収録の様子です。牛については全くと良いほど知識のないけんちゃんにわかりやすく丁寧に、「日本人と牛との関わりと歴史」について説明いただきました。 その上にスローフード高知の活動があるのだと理解することができました。都市部と中山間部を実務的につなぐ活動を焼畑も含めされていることには敬服したします。 |
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3月に放牧シンポジウム「牛の力で農林地を管理しよう」という会合が開催されました。高知県農林水産部の行事ですが、行政職員と農家が参加されていました。上田さんがパネルディスカッションのコーディネーターをされておられました。結論はどのようになったのでしょうか? | |
コーディネーターが下手だったので、ちょっと申し訳なかったのかなという感じはしています。参加者の熱気を感じました。主催者の予想以上の参加者があり、会場は満席になりました。驚いていました。 それだけに耕作放棄しますと草に覆われてしまう農地をどうするのかという関心が高かったのです。そして牛たちが食べ歩くことで、農地や林地を管理することが可能になります。そのことを参加者のみんなに理解していただいたと思います。利益を生まない草刈というのは大変です。 野山は牛が草を食べることによって,野山の草が短くなり、美しい景観が演出できます。尚且つ牛からは子どもが生まれます。一石二鳥の取り組みであることを参加者に理解いただきました。 |
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実際に牛の放牧は始まっているのでしょうか?国や県も注目しているのでしょうか? 他県などの事例もあればご紹介下さい。 |
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高知県は山地酪農の先進県ということもありまして、急傾斜地での牛を飼うことは先進県です。特に1991年頃奈半利町で水田に牛を放し、そこに芝を繁殖させたという歴史は日本では初めてです。本当に美しくなりますね。 その後、国や県の支援もありまして、嶺北(れいほく)地区や、高北地域などにも広がりつつあります。熱心な若い技術者も生まれつつあります。他県の例は中国地方や九州、近畿、北海道日本国中、耕作放棄地とかたくさんあります。そういうところに広がりつつあります。 高知県では林業研究センター、畜産試験場、それに私たちが一緒になりまして、共同研究で植林地の下草刈りとか、そういうなものに取り組んでいます。山地の利用にしても、家畜の利用にしても時代ともにこれからは変化していくものと思います。 |
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山地酪農の様子です。写真は上田孝道さん提供。
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国の人の発言は「畜産サイドで放牧してください」と言われていました。そういう幅の狭い観点ではなく、広い分野で放牧をと考えていたのですが・・・。高知県では傾斜地での放牧は先進的にしていますので。 | |
編集室では他にはどのような事業をされているのでしょうか?おかまいない範囲でご 紹介下さい。 | |
ほぼ全てをお話しました。安芸郡の北川村の新田久美恵さんというゆず園があります。このゆず園の管理を無名の県民が30人ぐらい集まりまして、年に4回ぐらい草刈をしています。秋には収穫をしています。その代わりにゆずのジュースをもらってきます。 この活動が私の歴史では一番長い活動ですね。 |
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デタ・コタ編集室の将来の構想ですが、上田さんは都市部と中山間部をつなげる手段をいくつもお持ちであると思いますが、構想などありましたらおかまいない範囲でご披露下さい。 | |
私は1人ですからそれほどおおげさなことは出来ません。私の夢を申し上げます。家畜と人間との関係を通じて山おこしをします。特に教育というものは、勉強の得意なものもいます。勉強は得意ではないが、遊びは得意、いたずらが得意という私もそうでしたが、そういうこどもたちが半分遊びで、半分本気で日本の自然を利用する。いう風な教育の場をこしらえたいですね。 ただ採点されるだけではなく、人生の方向を見つけるために、牛や自然が活用される。そうできればというのが夢です。 |
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放牧シンポジウム「牛の力で農林地を管理しよう」(2005年3月16日)
http://web2.pref.kochi.jp/kisya/inet/html/00009/00009101.html |
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*本文挿入の写真は上田孝道さんに提供いただきました。 | |