四万十癒足隊(いやしたい)とは?

 今週のゲストは、フッとセラピストの田村一浩さんです。田村さんは四万十市で開業される傍ら、高新文化教室でも講義を持たれています。今日のテーマは「四万十癒足隊(いやしたい)とは?」でお話しをお聞きします。
 田村さんは四万十市でいろんな医療関係の専門職の人たちとチームを組んでいるそうです。
どのような職種の人たちでしょうか?また具体的なつながりや、連携はどうされていますか?
医師、看護士、ケアマネージャー、フットセラピスト、リフレソロジスト、アロマコーディネーターなど様々な経歴を持つ方々で構成しています。そうした繋がりは、指導した生徒さんたちが中心になっています。コンセプトに賛同していただいた方々です。
 田村さんの活動が掲載されているホームページを見ました。そのなかで、ラ・ムーという言葉が出て来ます。
「ラ・ムーは医療・福祉・ご家庭への”心の手当て”をお届けします。ということなのですが、治療ではなく「心の手当て」ろいう意味合いはどういうところにあるのでしょうか?
 正確には「心への手当て」であります。まず体と心は「不即不離」の関係にあると言います。これを東洋では、「心身一如」(しんしんいちにょ)と言います。医学の母と言われていますヒポクラテスも、心と体で医学としていました。
 東洋では長い歴史の間、心と体を一つとして、進んできました。日本には140年ほど前の飛鳥時代に漢方医学が入ってきました。日本人はそれらをうまく取り入れながら日本医学に発展させてきました。
 ですが明治の世になりまして、明治政府は西洋医学を医学として認め、科学重視の医療になり現在まで来ています。西洋医学は私たちにとって多大な功績を残してきました。皆、助けられてここまで来ました。それを決して軽視してはいけないと思います。

 最先端技術だけに頼って医学を追求した医療が、今どのようになっているのでしょうか?科学だけに偏った医療の結果が、今の現状を生んでいるのではないでしょうか?


 私は起こること、全てはプロセスだと考えていますので、それらはすべて意味のあることだと思います。それはそれで良いのですが、もう一度医療の原点に戻って、「心と体を一つにして患者さんを診ていく必要がある」のではないかと思います。


 昔中国では科学は実学のなかにありました。医学は「哲学(心の)」なかにありました。皆さんも「医は仁術なり」という言葉を聞かれたことがあると思います。この「仁」は何をしめすのかご存知でしょうか?実は「仁」とはその心を指します。私はそれをしたいのです。「ラ・ムーカルチャー」ではそういった心の部分の教育を優先して指導しています。

 ソニーの井深大さんは、著書@心の教育」のなかでこう言われています。「心が先で知識は後」だと。導管ですね。これは今の学校教育にも言えることではないでしょうか。井深大さんはその著作の中で「今の子ども達に欠落した3つの点」を指摘しています。それは「言葉と、仕事と、遊び」です。
 1の「言葉」は挨拶でありますし、2の「仕事」は家事手伝いのことです。3の「遊び」は野山で思い切り遊ぶことです。この3点です。3つ目の「野山で思い切り遊ぶ」は大自然に身を投じることでありまして、そのなかで感性と人格を養うということなのです。
四万十癒足隊(いやしたい)の具体的な活動事例をご紹介いただけませんでしょうか?
 
 四万十癒足(いやし)隊は、「足を癒すチーム」です。今まで指導させていただきました生徒さんを対象に、今年6月に結成いたしました。この数ヶ月の活動は、病院やイベントにボランティアで行きました。病院でのイベントには、お気持ち箱を置きまして、市民から募金と言う形でお気持ちをいただき、そのお気持ちは、その病院の実行委員長さんを通じて、入院患者さんの石鹸や、タオルなどの生活用品にさせていただきました。
 最近では未だ台風14号の爪あとが残る四万十川上流地域住民(川登地域)にセラピーボランティアに行った事です。当日セラピー1番でおばあちゃんが来られました。早速退院の看護士が血圧を測り、その晩はベットに横になりました。帰りにおばあちゃんは「助かった」と顔をしわくちゃにして笑った顔は今でも忘れられません。
台風14号の罹災地での四万十足癒隊の活動風景です。罹災者の方に喜ばれました。
 それからセラピー終わっても、しばらく天井を見つめて充足感に浸っておられた日本財団のスタッフ。そして一番印象に残りましたのは、セラピー始まってから、終わりまでずっと涙を流していた高知市からのボランティアさんがいました。きっと疲れで限界にきていたのでしょう。心の悲鳴が洗われた瞬間でした。
 私たちは東洋の医者でも、西洋の医者でもありません。私たちにしかできないことがあります。この仕事に就けたこと、この両手に感謝と喜びを感じています。
 医療関係者の反響はいかがであったのでしょうか?実際の医療現場で役立ったという情報は聞かれていますか?
 教育関係者もグループにおられるようですが、教育への波及効果として期待できるものはあるのでしょうか?
 それぞれの医療現場や、介護の現場で活躍されている生徒さんに、現場での生の声を聞きますが、「よく眠られた」「むくみが取れました」「尿が沢山出るようになりました」とかいう声を聞きました。反響はものすごく良いですね。
 これらはなにをしても、どの足の流派でも同じことが言えると思います。極端に言いますと、流派ややりかたが全くわからなくても、その人の流儀でやっても同じことが言えると思います。ただし気持ちさえこもっていればですが・・・

 わたしはこの数年ラ・ムーのフットセラピーをこういうところで広げて来たわけではありません。目的はもう一つのところにあります。それは「質の高い介護の実現」です。全国的にもそうですけれども、これからも拡大していく高齢化社会のなかで、ますます介護分野に注目が集まります。そして社会からは「質の高い介護の実現」が要求されてくると思います。
 では質の高い介護の実現にとって何が一番大切なことは何でしょうか?様々なことは上げられますが、特に介護を必要としている人からは「安心して任せられる」「満足が得られる」言葉に集約されてくると思います。


 つまり「信頼と満足」です。それはすべてにおいて基礎の部分ですよね。介護事業そのものの原点は、人間と人間の信頼関係の上に成り立っています。皆さんが学ばれた専門的技術・知識は直接的な能力です。その「直接的能力」を生かす基礎の部分として、私のやっていますラ・ムーセラピーの簡単な技術とノウハウをご活用いただければと思います。

黒潮福祉専門学校でのフットセラピーの実技風景です。
 
 介護を受ける側とのよりよい人間関係を構築していくことも大切なのです。どんな優れた技術を提供しても、相手との円滑なコミュニケーションと信頼関係をおろそかにすれば、より良い介護を望むことが出来ません。その基礎の部分に私のやっているラ・ムーセラピーの簡単な技術とノウハウを活用いただければと思っています。