高知を楽しんでまちづくり
 今週のゲストは、くろしお地域研究所研究員の松田高政さんです。今日のテーマは「高知を楽しんでまちづくり」でお話をお聞きします。
 松田さんは県内のイベントなどにも市民の立場で積極的に参加されているようです。おびさんマルシェにも個人で出店されたりしています。仕事から県内各地へ行かれるでしょうが、そこで楽しみを見つけけられるのでしょうか?
松田さんが現在楽しまれていることは何ですか?それを通じて高知を面白くすることが出来そうですか?私の場合はヨットと言う趣味で夜須の人たちとの関わりが出来ましたが。ついでにまちづくりに関与したこともありました。そのあたりはおかがでしょうか?
 現在楽しんでいますのは、お父さんの子育てサークルもありますが、子どもとの野外での遊びです。畑で作物を作ったりチャレンジしています。野外でキャンプなどしますが、いろんなことが出来る親父というか、お父さんになりたいと思います。娘と一緒にチャレンジしています。
 高知は海・山・川の中にいっぱい遊びの要素がつまっています。今娘が3歳でいろんなことにチャレンジできるようになったんで。でも道具や技術がないと楽しめないので、自分が父に教えてもらったように、何でもできる・どこでも遊べる親父になれるように、一緒にチャレンジしたいと思っています。趣味のスノーボードも子どもが生まれてからぜんぜん行けてないので、今年は雪山に行こうと思っています。
あと、マニアックな趣味でいうと、自分は食いしん坊なので地域のうまいもの探しを趣味としています。休日いろんな場所に行って珍しい食材や調味料・加工品を買ってきます。街中では、居酒屋や飲食店チェックもまめにやっています。
 おびさんマルシェにも出店されたそうですが、感じられたもの、得られたものはありますか?大変だったことはありましたか?準備などは大変であると思いますが・・。
おびさんマルシェの様子。左が松田さんのブースでしょうか。多彩でセンスの良い店が出店されています。
 以前から高知の街中は高知のものが足りないと思っていたので、マルシェの話しがあったときに、自分も実行委員になり,出店者の募集もしました。企画や出店者探し、自ら出店することは趣味と実益みたいなもので楽しいです。
 高知にはこんなにモノづくり作家がいて作品や加工品を作っているということが、あらためて分かりました。ですので準備は苦ではありませんでした。それを販売も兼ねてPRする場は、街中に絶対必要だと思いました。そのことがわかって大変良かったと思います。
 松田さんも学生時代は都会で過ごされ、高知へUターンされたのだと思います。都市部と高知を比較して、高知に足りないものはなんでしょう?また高知の強みは何でしょうか?
 大学時代は、都会には自然以外のものはすべてが集まっていると憧れて行き、買い物や夜遊びなどずいぶん遊んで楽しかったですが、お金がないと楽しめないものばかりで、卒業するころには、お金がなければ生きていけない、金を稼いで使い場所なんだと気づきました。
 高知は不便でお金で買えるものはバリエーション的に不足していますが、お金で買えない大切なものがたくさん残っている。言いかえれば、お金が少なくとも人が生きる上で大切な要素がすべて残っている。「貨幣(市場)経済でない、自給経済、協働経済」が根強く残っています。
 高知に戻って気付いたことがあります。東京にはすべてのものがあると思って出ていったら、「お金で買えるもの以外、実は何もなかった。」
 何もないと思っていた高知にこそ、「人が生きるうえで大事なもの」すべてがあったとようやく気づくことができました。
 そうですね。大月町の竜ヶ迫の知人宅へ行った時、昼食をご馳走になってことがありました。目の前の海で採れたきびなごの刺身がありました。小川では川海老を採って来てくれました。わさびがいりますねということで、少し上の畑からわさびを採って摩り下ろしていただきました。
 お金は1銭もかかっていませんね。このメニューを東京の六本木ヒルズで再現すれば何10万円かかるかわかりませんね。味は田舎が全然美味しいですね。
  高知にはかけがえなのい自然がふんだんにあります。
 それが東京へ出てはじめてわかりました。都会で刺身食べようとしますと3切れで1000円とか異常に高いです。田舎で貝とか牡蠣とかただでごろごろあったのに、都会では物凄い高い値段で売られています。
 田舎でどこにあるかを知り、道具もいりますが、そういうのがあれば楽しめますね。自分たちも子どものことは、当たり前だと思っていましたので、凄いことだとは思っていませんでした。
 凄いことであるということに普段は気がつかないのですね。
 都会へ出てみて初めて気がつきました。それが衝撃的でしたね。わたしが東京へ出て初めて気付いたことを、子どもの時から情報として知っておいたほうが良いとは思いますね。今は一方的に都会の情報が洪水のように来るのですね。
 田舎であっても自分の地域のことはろくに知らない。渋谷や秋葉原のことを詳しく知っています。わたしの子どもらもそうで、秋葉族の生態などホームページを見て詳しく知っています。「のまネコ」も毎日見て笑い転げています。

 高知の良さを子どもの時体験すれば違うと思いますね。
 私は沖縄にゆかりがありますので、沖縄の話しをさせてください。
 沖縄は高知同様失業率の高い県ですが、若者達は沖縄を愛し、Uターンする率が高いと言います。高知は少ないようなのですが。その理由はなんであると思いますか?高知と大きく異なるのは沖縄の若者達は沖縄を愛していて、誇りをもっています。その違いはなんであると思いますか?
 都会に出て高知のよさに気がつきました。子供の頃に高知の良さにはやく気付いておれば異なる進路もあったと思います。
 今私が思うのは、大人が「この地域には人が生きていく上で必要なものすべてがそろっている。」と高知の良さや誇りに思っていることを子どもに伝えることです。「高知は不便で何もない」と幼い頃から言い聞かされたら、誰でも嫌になって出て行くと思います。都会からの情報を見聞していましたので、都会に憧れ出て行ったと思います。
 幼い頃から高知の良さや、楽しみ方を大人と一緒に体感しておれば、Uターン率や流失率なども違ってくると思います。
 早く今の大人(特に私たち30代)がそれに気づいて、高知にあるものの良さを子どもに教えるだけでなく、自分で仕事をつくって稼ぎ、少ない収入でも人生を楽しめる術を身につけ、見本を見せることが必要だと思います。例えばかっこいい「農のある生き方」とか。
夜須の大手の浜にて(8年ほど前ですね。) YASU海の駅クラブの」子どもカヌー教室の様子
 仕事のあるなしも大きいと思います。
松田さんから高知の若い人たちを眺めておられて感じることはありますか?
彼らは高知の街で楽しんでいるのでしょうか?
 街を楽しむためには、その街になにがあるのか情報が必要ですが、その情報というのがタウン紙にみられるように、ファッションやグルメなど都会を向いた価値観による情報です。
 もっと、先日出版された「高知遺産」のような別の価値観による街の楽しみ方に関する情報が必要だと思います。都会の価値尺度とは異なる評価が必要です。 自分も体験してみました。旭の路地裏の食堂でラーメンライスを食べて、帰りにデザートに駄菓子でアイスキャンデー、夜は街中の銭湯で牛乳一気のみみたいな…。そうした情報も出して若い人たちも楽しんでいただければと思います。
 松田さんは「松田高政の地域づくりブログ」を作成され、人気blogになっています。blogを通じた反応などはいかがでしょうか?
 高知を楽しむための情報があまりにも不足しているので、楽しむための考え方や価値観と一緒に高知にあるもののすごさを発信し続けたいと思っています。まだ、始めたばっかりなので勢いがありますが、原稿を長々書くあまり仕事と子育てそっちのけにならないようにしないと、とは思っています。
 つい最近鎌倉の親戚から「子育てがんばって」って応援のメッセージが書きこまれた時はびっくりしましたけど、周りの人の誰かが見てくれていると思うと、相手の顔が見えて余計心がこもって文章が長くなってしまいますけど…。
松田高政の地域づくりブログ     http://www.kuroshio-net.jp/matsuda/index.php