男の子育てで社会が変わる
 今週のゲストは、くろしお地域研究所研究員の松田高政さんです。今日のテーマは「男の子育てで社会が変わる」でお話をお聞きします。
 松田さんは地域コンサル会社に勤務していますが、市民として「こうちパパ楽会」も昨年6月に結成され、活発に活動されています。
こうちパパ楽会を結成されるに至る動機はなんであったのでしょうか?
 こうちパパ楽会(こうちぱぱがっかい)は、平成16年6月1日に父親支援(子育て等)、父親と子どもまたは父親同士のコミュニケーションの場づくりを目的として設立した父親サークルです。」今、メンバーは何人ぐらいでしょうか?

 最初は2人ではじめて、昨年は8人。現在14人。もともとは子どもが生まれて1年は子育てに参加できませんでしたが、2年目に子育てに「目覚めて」子どもと一緒に買い物に行ったり、公園に行きました。


 でも周りがお母さんばっかりで、いろんなイベントもありますが、お父さんが参加してみたいものがありませんでした。友人と話しをしまして、自分達がやりたいことがいろいろ出てきました。親子のキャンプとか、ものづくりとか・・・学習したいこともありましたし。

松田高政さん
 グループであればいろんなことができるでしょうし。とりあえず2人でなにかやろうということでサークルを始めました。
 イベントをやるたびに徐々に親しくなったお父さんが入会してくれます。中にはイベントに参加する前から趣旨に賛同して入ってくれる人もいます。
 お母さんと一緒でもいいのですが、子どもは基本的にママにべったりなんで、父と子だけで遊ぶ・思い出づくりもいいかなぁと思って、その時くらいはママも自分の自由な時間にもなるし。
 わたしなど遠い昔の記憶ですが、子どもが保育園に早くから行きましたので、保護者会の活動が結構盛んで参加もしていました。松田さんの活動は、そうした「校区」や保育園などの地域を越えた活動ではないかと思います。
 自分も保育園の保護者会の活動は参加しています。
保育園の保護者会の活動は、園行事のお手伝いの要素が強く、子どものためだ、しかたがないという義務感でお手伝いしています。私たちの活動は、お父さん同士で、自分達が学びたいこと、子どもと一緒に体験したいことを企画して行っています。
 その点から言えば、校区の関係でなく、地区の範囲を超えて「テーマや趣旨に賛同した人の一種のコミュニティー活動」だと思います。
 保育園の保護者会の活動は園の行事と密接に繋がっています。
 男の場合はなかなか仕事以外は出不精です。会合に出てこらすには創意工夫が必要です。楽しい行事や、飲み会なども企画されたのでしょうか?

 室内のイベントよりも野外のイベントの方が人気があります。講義形式で机の上で学ぶより、自分でやったり・モノを作ったりする方が集まりやすいです。ただ、世の中のお父さんは仕事で忙しく、参加したいと思っていても休日も出勤で参加できないという声も聞きます。


 飲み会はいいですね。年に事前打ち合わせと反省会という名目で居酒屋で会議を開いています。お父さんの本音。妻とのやりとり。お小遣いが少ないとか。年頃の娘とどう話すかなど、お父さんの本音がぽんぽん出て、楽しいです。
 貴重な話しが続出します。パパ学会では、みんなニックネームで呼び合っています。自分だったら子どもの頃からのあだ名でたっくんとなっています。気軽にたっくんでお願いします。

この「パパ楽会」は、こうち男女共同参画センター・ソーレで主に活動されているのでしょうか?松田さんのblogで見たのですが・・・・・。
 ソーレは活動のために助成金を申請したり、室内イベントの時は会員なので無料で会場を使ったり、館長さんをはじめソーレのスタッフの人とは親しいので、良く相談に行ったりとお世話になっています。主な活動場所はソーレという訳ではなく、野外の活動も多いです。高知市周辺を中心にイベントや活動内容によって場所は変わります。

 参加者同士の掲示板やBBS、blogなどもこしらえられているのでしょうか?

「マパはあと高知」という子育て支援サークルのホームページがきちんとつくられています。そのメンバーの方もパパ楽会にはいられています。「マパはあと高知」のホームページを間借りして、掲示板を設けて、意見や情報交換をしています。
 そこには、ママさんサークルの掲示板もあり、たまにお互いに書きこんだり、マパはあとのおかげで、今では共同でイベントを開催したりと交流を深めています。

 パパ楽会の様子。野外活動や親子料理教室もされています。(写真は松田高政さん提供)
 松田さんは「男が子育てに参加することで社会が変わる」といわれています。具体的にどのように変化するのでしょうか?事例などはありますか?

 特に事例というのはありません。
子どもを育てるには、料理とか、掃除とか、食品、栄養、病気など研究しました。子どもとコミュニケーションをするために、勉強になります。様々な能力と知識、技術が身につき、自分自身、人間としての成長につながります。日々成長する我が子から、生きるために本当に必要なもの、大切なものに気づきます。


 女性が今まで担ってきた能力やストレスなど今まで知らなかったストレスなども知ることができました。
生きるためにはビジネスや会社経営や政治、言いかえればお金や出世・権力も必要でしょうが、思いやりや優しさ、食べ物や住む環境、自然や遊びなどもっと大切なことがあると気づくことができます。
 男が子育てをすることで、これまで女性が担ってきた、家事・育児の労力を軽減でき、女性がますます元気で地域の活動に貢献できる。男も女性が担ってきた分野を知ることができ、活動の幅やビジネスの幅が広がる可能性を持っています

 何よりも、夫婦仲良く、家庭円満が社会にとっても一番です。女性問題、男性問題、子どもの問題、少子化の問題に対して、男の子育て参加は有効な手段の一つであると確信を持って言えます。
 男の場合「育児休暇」なども取得していません。社会の変化はあるのでしょうか?
 自分も取得していません。
今の法律では、どちらか1人しか取得できないので、たいていは女性が取得しています。乳幼児期の大事なときには女性が休まれた方がいいと思います。
 私は育児休暇よりも、いかに働きながら家事・育児をやるか、通称「サラリーマン・子育てパパ」が増えていってもらいたいと思います。仕事をいかに効率的・効果的にこなして、家事育児をするか、本人の仕事の能力がより試されるいいチャンスだと思います。
 子育てと仕事を両立するためには、制度も重要ですが、お父さんの「子育てをやる」と会社に宣言する個人の勇気と行動が、ひいては社会全体の仕組みや制度を変えていくと思います。

パパ楽会でのキャンプの様子です。

(写真は松田高政さん提供)

松田高政の地域づくりブログ     http://www.kuroshio-net.jp/matsuda/index.php