災害に強い都市づくりとは
 今週のゲストは高知市消防局警防課の神岡俊輔さんです。今日のテーマは「災害に強い都市づくりとは?」でお話を伺います。
 高知県は地形的に台風災害や大雨災害が避けられません。また南海地震の到来も予想されています。しかし市民各位にはそれほど日常的に危機意識はありません。
災害に強い都市を定義するとしたら、どのような都市ですか?日本で災害に強い都市といわれる都市はどこですか?
地震に関して言えば、現在の日本にそのような都市は存在しないと思います。平成7年1月の「阪神・淡路大震災」(震度7・M7・死者643名)、平成12年10月には鳥取県西部地震(6弱・M7・3・負傷者182名)、平成13年3月には芸予地震(6弱・M6・死者2名)が発生し、西日本は地震の活動期に入ったようです。

 したがって内陸部ではまだまだ活断層が原因の直下型地震地震が続くでしょう。また日本の太平洋沿岸地域では東海・東南海・南海の海溝型巨大地震発生の恐れが日に日に高まっています。

 日本海側では昭和58年に「日本海中部地震」が北海道では平成5年に「北海道南西地震」が発生し、津波による死者も発生しています。昨年も北海道と宮城県沖を震源とする地震が発生しており、日本には絶対安全だという地域は存在しないでしょう。

 ただし水害に限りますと、高知市は強い街であると言えるのではないでしょうか。
ポンプによる排水能力は全国トップクラスです。しかし近年は98豪雨のような予測が非常に困難な集中豪雨による災害が増加傾向にあり、決して万全とは言えないのが現状です。

高知市は、「災害に強い都市」なのでしょうか?全国ランクはどの位置にいると思われますか?
そうですね。ひじょうにタイムリーな調査がありました。6月21日に総務省消防庁が、47都道府県が地震や風水害に対する防災、危機管理体制を検証.自己評価した結果を始めて明らかにしました。全国平均は100点満点で、43・5点。最高は東京都の69・5点。最低は群馬県の25・7点でした。
高知県は31・6点で、42位でした。 神岡俊輔さん
 この調査は、消防庁の示した指針に基づいて、各県が約800項目の質問に回答する形で行われましたが、消防庁は「一概に数値のみを比較して、防災体制の良し悪しを判断すべきだはない」としています。項目ごとに分析した結果によりますと、やはり東海地震の強化地域にしていされている団体の地震災害への取り組みが高い水準にあったことや、全般に地震対策は進んでいるのに対し、風水害対策が遅れていることが明らかになったようです。

 結果を見ると。本県は42位と非常に低いですが、地震対策はまだ始まったばかりで、いたしかたない面もありますが、風水害対策については全国的に見ても劣っているとは思いません。特に高知市では、ポンプの排水能力は時間雨量77mmにも対応できるだけの能力があり、全国でもトップクラスです。

堀川水門。震災時津波を防ぐために閉じられることが必要。しかし今だ自動化していません。
大災害が発生した場合、高知市の災害対策本部はどこに設置されるのでしょうか?
またそのおり、被害状況、避難勧告などは、市民にどのような方法で伝達されるので  しょうか?98水害時は全くわかりませんでした。
 高知市の災害対策本部は、市役所の第2庁舎3階に開設されます。
災害対策本部の体制は、注意報からの準備配備体制に始まり、順次、第一次配備体制から、第4次配備体制まで段階があります。配備の基準としては大雨洪水警報がひとつの基準になります。
 最終の4次配備体制は緊急非常体制とも呼び、高知市の全職員に呼び出しをかけ、市役所の総力を挙げ不測の事態に備えることになっています。

 この質問の伝達体制ですが、避難勧告は災害対策基本法により市長が勧告を出します。判断の条件は気象状況や過去の災害状況、地形等総合的に判断します。内容は「避難する理由」「避難する場所」「避難する経路」などです。

 伝達方法は報道機関に協力いただき、テレビやラジオを使用したり、あるいは広報車や消防車を出動させたり、また防災無線などで周知をはかります。
 しかしこうした勧告を待っていては手遅れになるかもしれません。台風や豪雨の際は皆さん方も気象情報や、周囲の状況に注意を払い、危険だと判断したら避難してください。行政も協力しますが、最終的には自分の命を守るのは自分なのです。

防災無線です。4方向に声が伝達できるようになっています。固定式で電柱の上に設置されています。
火災予防について。高知市の火災は増加傾向にありますか?またどのようなタイプの火災が多いのでしょうか?
 平成15年の出火件数は124件(21増)、死者6人(3増)、負傷者42人(19増)。損害額は2億2741万円(7793万円増)となっています。

 月別では2月の22件が最も多く、次いで1月、12月、3月となっています。
 
 時間別では午前9時台(11件)が最も多い。

 曜日別では日曜日が多い。(平成15年の傾向)

 出火原因は、放火(23件)、コンロ(20件)、たばこ(16件)、ストーブ(11件)の順番です。残念なことに「放火」は毎年火災原因のトップで、今年も「放火」と思われる火災が多発しています。

 放火犯は、人けがなく暗闇で、燃えやすいものに火をつけます。たとえば、不燃物収集日が近づき、家の周辺に放置した新聞や雑誌の束、マンションの階段の踊り場に放置したダンボール箱、あるいは車やバイクのボディカバーなどです。

 対策としては

 家の周辺に燃えやすいものを放置しない。

 犯人が潜みやすい暗がりには照明をつける。

 車のボディカバーは防炎製品にする。

 など放火されにくい環境を作っていく事が大切です。

私も危険物取扱者の免状は持っています。講習も行われ、点検などもされていますので、危険物施設での大きな事故は阪神大震災時にも起こらなかったのではないでしょうか?
阪神・淡路大震災でガソリンスタンドなど危険物施設では起こってはいません。、昨年の北海道の地震では苫小牧市の石油コンビナートの火災が発生しました。
 揺れの性質が違う長周期振動でした。
 料理時の火災なども意外に多いように聞きました。家庭用の消火器などは必要なのでしょうか?なにが良いのやら、どの業者がいいのかわかりません。
 一般的には粉末型消火器が広く普及しています。また最近では強化液を使用した消火器も普及しています。強化液は薬剤が液体であるため、炎に対する冷却効果も期待できます。また木材などの火災には薬液が浸透するため、粉末よりは効果が高いと言われています。

 業者などですが、電話帳などで消防設備という欄に業者の電話番号が掲載されています。お問い合わせをしてください。

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