市民として出来ることは何ですか?
 今週のゲストは高知市消防局警防課の神岡俊輔さんです。今日のテーマは「市民として出来ることは何ですか?」でお話を伺います。
 50年以内に襲来することが確実な南海地震。被害を最小限に食い止めるためには、市民自身の取り組み、自覚が必要だと言われています。どのような対策に留意すれば良いのでしょうか?
まず避難関連用品ですが、どのような備品が必要なのでしょうか?私の場合は、ヘルメット、靴、ロープ、飲料水、保存食、衣類、下着、ラジオなどをリックにまとめています。それ以外に何があればいいのでしょうか?
 なぜかと言いますと、自宅は1日のうち、一番長く過ごす場所であり、地震に遭う確立が最も高くなるからです。次の南海地震は100秒から120秒もの激しい揺れが予想されます。この揺れから何んとしても生き残らなければなりません。自宅が倒壊し、下敷きになれば、その後の津波からも逃げることが出来ないからです。

 平成7年に発生した阪神淡路大震災。僅か13秒の揺れで多くの建物が一瞬で倒壊し、犠牲者は最終的に6433名となりました。その倒壊した建物の多くは、昭和56年以前の古い基準で建てられた住宅で、犠牲者の9割が自宅で亡くなっています。

 高知市では地震対策の一環として、住宅課が「木造住宅 耐震診断士派遣事業」を実施しています。これは自己負担で3000円必要なのですが、ご自宅の耐震性能を知る上でも、診断を受けてみてはいかがでしょう。

平成7年の「阪神・淡路大震災」では、家具の転倒などで多くの人が犠牲になっったと聞いています。どういった状況だったのでしょうか?また家具の転倒帽子の具体的な方法を教えていただきたいのですが・・・。
阪神・淡路大震災でも昭和56年以前に建築された木造住宅の多くが倒壊しました。
 家具の固定の大切さはもう皆さんご存知だと思います。震度5を越しますと家具が転倒し始めます。しかもただ倒れるだけではなく、食器棚などは扉が開き、なかの食器類が床一面に割れて散乱します。テレビや電子レンジは宙を飛び、200キロ以上もあるピアノが天井に当たった痕があったなど、日常では考えられない現象が確認されています。
 たとえ建物が無事でも、家具の下敷きになって大怪我をしたり、出口に家具が倒れこみ逃げ道を塞がれたりと、家具を固定していないと思わぬ危険が隠れているのです。

 具体的な家具の固定方法としては、2つ以上の方法を組み合わせて固定するほうが良いでしょう。一般的にはタンスなどではL型金具と木ねじで壁へ固定することです。この際注意することは、壁内部の桟(さん)にしっかり固定することです。

 また簡単な方法として、タンス底の前のほうに新聞紙などを詰め込み、タンスが壁にもたれかかるようにすると、転倒の危険を減らすことがわかっています。ちなみにフローリングの床より、畳の上に置かれた家具が倒れやすいこともわかっています。
 畳はフローリングより柔ららかいため、沈み込む分、倒れやすくなります。畳の上の家具を置く場合は畳の上に合板を打ちつけ、その上に家具を置くと良いと思います。

地震での家具の転倒の様子。想像を絶する光景です。
 先日テレビで高知市の愛宕中学校が南海地震を想定した防災訓練をしていました。
自分の身を守るだけでなく、積極的に周辺地域に出かけ、救助活動をしていました。
大変良いことだと思いました。他の学校でもされているのでしょうか?
 たくさんの失敗もありましたけれども、失敗のほうが多くのものを学ぶはずです。この年代に身についたものは一生の財産になるはずです。今回の愛宕中学校の取り組みには,敬意を表したいと思います。

 実際の災害になると、地域の小中学校は防災の拠点施設として、多くの人達が集まり、たくさんの情報がもたらされます。将来の高齢化社会を襲う震災を考えると、その時、その場に居る小中学生も防災活動の上で重要な存在となります。
 私は元気であれば、小中学生も避難所で毛布にくるまっているだけではなく、積極的に現場へ連れ出し、救出や消火活動を手伝わすべきだと考えています。

 そのため、今後の重要な施策として、将来必ず震災に遭うであろう、この子供たちへの防災教育があげられます。防災教育はその成果が、子供さんを通じ地元へ波及し、結果地域の防災力が向上することにつながってゆくものでならないと考えています。そのための基本的な考え方として

小学生は地震に対する正しい知識を身につけ、まずは自分の身を守ること。

中学生・高校生は地域を守る一員であることを自覚させ、訓練により消化、救助、応急手当を学習し、いざ発災時は自ら率先して地域の人達とともに、防災活動を行えるように育てておくことではないでしょうか。
 将来の高齢化社会を襲う震災を考えると、大人も子供もなく総力戦で立ち向かわねばならないからです。

 私も学校時代は、火事の避難訓練はしたことがあります。実際に50年、51年は床上浸水の罹災者になったこともありました。水害に対する感覚はありますが。
地震は経験をしたことがありません。防災訓練などはどこでされているのでしょうか?
 毎年6月に、水害のシ-ズン前ですが、高須にある浄化センターのグランドで「高知市総合水防訓練」が実施されています。この訓練には自主防災組織の人達や、市内の小中学校も参加して、消防署員や、消防団員と連携して訓練を実施しています。
全国的に有名な沢田マンション住民も自主防災組織を形成し、高知市総合水防訓練に参加しています。
 98水害の後で、車両保険に加盟される人が増加したと保険会社の人が言っていまし た。財産を守る手段として適切なのでしょうか?
また地震保険は加盟したほうが良いのでしょうか?
 そのほうが望ましいと思います。防災の基本は「自分の命は自分で守る。」「自分の財産は自分で守る。」です。もし不幸にして災害に遭ったとしても、保険などのバックアップがあれば、経済的、精神的にも日常生活に早く戻ることが出来、その効果は大きいと思います。
災害時、生存したものの義務です。
 わたしは住んでいる町内の「高知市災害調査協力員」になっています。民生委員さんに言われました。何をするのか今ひとつわかりません。昔からある制度のようなのですが・・・
 ひじょうにわかりにくい制度なんですけれども。自分の父も災害調査協力員です。各地域の民生委員さんのもとで、災害の被害調査、実態調査を行います。任務とすれば、災害が終息し、危険がなくなった段階で、一定の被害の判定基準をもとに担当地区の被害状況を調査、市役所へ連絡をいただいたり、高知市の調査に対する協力及び、支援物資の支給などの協力が主な任務です。任期は3年となっています
救命救急法などを会得したいのですが、どうすれば良いのでしょうか?
子供が小学生の時、学校へ消防士の人が来られ、人形を使った蘇生方法をすこし学習しましたが、今やれといっても思い出せませんが・・・・
高知県庁前高知市消防署4階で、毎月第3日曜日に、定期救命講習を開催しています。

 連絡先は 消防局警防課救助係  088−871−7502 です。