寝たきりをなくそう
 今週のゲストは、元看護師で、自力整体指導員の外京ゆりさんです。今日のテーマは「寝たきりをなくそう」でお話をお聞きします。
 2000年4月にスタートした介護保険制度。予想以上に介護を受ける人が増加しているようです。最近政府も自治体も「介護予防」を声高に言い始めていますが・・。
 昨日の自力整体のお話を伺いました。自力整体を実行することは、結果として介護予防になるのでしょうか?
 私にとって自力整体のもう1人の師匠は南国市の岡田寿美子先生です。この方は「寝たきりを1人でも減らしたい」と市民学校やふれあいセンターなどで、5年ほど指導されています。
自力整体を続けていると、ボディイメージというか、体内感覚が鋭敏になるので、健康の自己管理がしやすくなると思います。「自力整体 で一生現役でいよう」と、呼びかけたいですね。
永野みどりさんと大塚理江子さんの指導されている「生き生き100歳体操」にも大変興味があります。将来連携して高知県から寝たきりになる人をなくしたいですね。
はりまや橋商店街での生き生き100歳体操の様子。
高知市内の宅老所で実施されています。
 人間の身体機能として二本足直立機能は大切だと思います。若いうちから気をつけておかねばならないことはどのようなことがありますか?正しい歩き方などはあるのでしょうか?
 「昔の日本人は足腰のつかいかたに長けていた」と斉藤孝さんの本に書いてあったけれど、現代の日本人はひよわになったという印象があります。肚をきめる「臍下丹田」の意識がすたれています。足のゆびで大地をつかんで歩くとか、大地に足を踏みしめるような感じはないですね。靴をはき、車に乗りはじめてからでしょうか。
 私自身は,昔ヨーガをしていたとき、「体重が足の小指側、外側にかかっているから、そのままでは婦人科系への負担が大きい。下駄や草履を履いて足の内側、親指に重心をかけて歩くように」といわれ、実行しました。東京の町中を、もんぺと草履で歩きましたね。それで、からだの中心軸も意識できるようになりました。草履や下駄という日本の伝統、日本人の知恵に感服しました。
 なるほど下駄や草履を履いて歩きますと確かに足の親指に力が入って「大地を掴んで歩く」という感覚になりますね。裸足で砂浜を歩くことなどが少なくなりましたね。
 腰痛などが増えているのもそのせいなのでしょう。
食生活や睡眠時間、気持ちの持ち方など生活全般のありかたはどうなのでしょうか?今の日本人のありかたはいかがでしょうか?
 

私は海でヨットのぎ装や後片付けをする場合はビーチサンダルをしています。確かに足元がしっかりし、長時間の作業でも疲れません。

足の親指に力が自然に入りますね。

 生活全般がもう、めちゃくちゃですね。
 以前がん専門病院に勤めていた頃、もう10年以上も前ですけど,23歳の卵巣がんの患者さんにどんなもの食べてるのか聞いたら「コンビニで売ってるスナック とドリンクが普段の食事」って。もう、うちのめされました。
 その後、看護教員になった時に看護学生に聞いても大差なかったですよ。「健康の専門家がそれではいけない。」と、若者の 食改善に取り組みました。人間の60兆個の細胞は毎日すこしずつ入れ替わっているのですから、食はその材料です。「からだを養うものを粗末に考えてはいけ ません」ね。
 睡眠は質が問題です。自力整体では、空腹睡眠、脱力睡眠をすすめています。夜遅く帰り、夕食をかきこんで眠ると、血液が消化器系統にまわってしまい、一 日の疲れを修復する本来のはたらきができなくなってしまいます。ストレスをかかえたまま、力んで眠るのも同じです。
 残業のときの夕食は早めにとってお いて、眠る前は消化の良いあたたかいものだけにして、お風呂に入りゆったりした心とからだで眠れば、睡眠中の自然治癒力がはたらくはずです。さらに、眠る前に自力整体をすると、とても気持ちよく熟睡できます。目覚めも爽やかですよ。
 介護や医療の現場などでは寝たきりをなくす努力はされていると思われますか?
 なにやら老人健康保険施設へ入居したりしますと余計に介護度が悪化するように思えます。私も以前介護の体験研修をある施設でしましたが、入居されいる高齢者は殆ど眠らされているようでしたが・・。おもつをあてがわれていましたし。介助スタッフもないようですし。これでは介護度がますます悪化すると思いました。
  介護は「マンパワー」そのものです。重労働です。介護施設でも訪問介護でも人手が不足しています。
 私は福祉の施設のなかのことは詳しくはわかりません。
現状では寝たきりをなくす努力は、かなり難しいと思います。福祉の現場もおなじでしょうが、医療現場では事故を極端におそれます。それで、人手のない病棟で は「危ないことは避ける」のが鉄則。
 そうしますと動き回る人は縛りつけられるので、問題になりましたね。日本はほんとうに人が粗末にされています。老人介護施設の一 番の問題は人手不足だと思います。
 都市生活のなかで、安全に歩行することもなかなか難しいようです。外京さんはなにかトレーニングをされているのでしょうか?
 昔、東京の看護学校の学生時代に、体育の最初の授業で、バスケのコートくらいの空間に50名がはいり「みんないっせいに思い思いに、誰にもぶつからないようにできる だけ速く歩き回る」トレーニングを受けました。すごく楽しかったです。東京の雑踏でも、大病院の中で汲々の場合など全速力で必要な物品をかき集めるときにも役立ちましたね。

 最近に日本人は過食気味で、運動不足で、生活習慣病が増加しているようです。
その原因は何でしょう。その解決策はあるのでしょうか?
 私の意見です。日本人は、油のとり過ぎですね。心臓疾患や糖尿病など欧米型生活習慣病が増えたのは、「油のとりすぎと食物繊維をとらなくなったせい」だと、私は考えて います。体内にぜい肉をためこんで運動するのがおっくうになり、運動不足でますますぜい肉がつくという悪循環にはまっていると思います。
 腸の長い農耕民族である日本人にふさわしい、究極のスローフードは穀物菜食(玄米雑穀菜食)ではないでしょうか。それに、よく噛めば、たくさん食べる前に満腹感が味わえます。