11月の半ば頃からアフガニスタン情勢は急転,タリバン政権は崩壊、険しい山岳地域に撤退したようです。ビン・ラビンとかアルカイダとか、オマル師とかラマダンとか、普段聞きなれない言葉が多いようですが?
1)私もよくわかりません。「イスラム過激原理主義」(藤原和彦著・中央公論新社刊)を読みました。
著者によるとイスラム過激原理主義集団を解く鍵は、4年前の1997年11月17日エジプトの観光
名所ルクルールで起きたテロ事件です。テロリスト6人が,外国人観光客58人を虐殺した事件です
。
2)犯人達は高等教育を受けた知識層でした。自動小銃を乱射し、ナイフを使用する残虐さでした。
エジプトのイスラム過激原理主義者は1981年に、サダトエジプト大統領を暗殺したことがあり
ます。徹底的に取り締まりをされてきました。外国人の観光客による収入はエジプト経済に貢献
しています。犯人は警戒の厳しい政府要人暗殺ではなく、無防備,非武装の観光客を襲撃し、
エジプト政府に打撃を与えようとしました。
3)エジプトを始め,トルコやインドネシアやサウジアラビア、カタールなども穏健なイスラム国です。
それらの国々を「世俗化し堕落した指導者が支配する国」「アメリカに屈服した指導者」と非難し
ているのが,ラビンであり、そのテロ組織がアルカイダです。タリバン政権は彼らを支援し,かく
まっていました。だから米英両国が攻撃したのです。
* タリバン政権崩壊しましたが、イスラム教の古来の伝統を復活させたことです。カリフ制度の復
活です。オマルという名称は日本でいえば、「関東管領」「京都所司代」のような地域方面司令
官であるようです。一応イスラム社会から認知された地位のようです。
* 今回の同時多発テロの犯人も、貧しい階級の出身ではなく高等教育を受けた階層出身です。
彼らは西欧型の民主主義を否定し、少数の宗教指導者がイスラムの戒律に忠実に人民を
統治する体制を理想としているようです。
* 上意下達の宗教国家観は,理解不能です。主権は人民ではなく,神にあるという国家観は
異教徒には理解不能ではないでしょうか。理想実現のためにテロを使用することには、断固
として反対する勇気も私達には必要です。