人の認識は間違えやすいものである。

 今日のテーマは「人の認識は間違えやすいものである。」です。 認識とは「物事を感じたり、理解すること」で、目や耳などによる知覚や 頭で考えて下す判断も認識だといえます。 ふだん意識せずに行っていることだけに、おもわぬ間違いをしてしまうことがあるようです。今日は科学やクイズ出題に情熱を持たれていますまさしさんにスタジオに来ていただきました。

(1)例えば、2人で向かい合っている時に、2人の距離が2倍になると、 相手  の長さは半分になって目に映ります。しかし、相手の身長が半分になったと  は考えません。それは、相手の身長を知っているために、その知識が目に入  った映像の変化を埋め合わせて、 私たちは相手の大きさを正しく認識できる  のです。 *このように、私たちが持っている知識が知覚に影響を与えること  を「解釈的知覚」といいます。 このはたらきのおかげで、私たちは複雑な外  からの刺激に混乱することなく的確に認識できるわけです。 しかし、この働  きには落とし穴もあるのです。

(2)UFO(未確認飛行物体)は地球外生命体の乗り物である、という説があ  ります。 各地で多くの目撃談があり、TVのUFO番組には根強い人気があ  ります。 このような「目撃談」はどのくらい信頼できるのでしょうか。

*自分は見たのだから間違いない、という主張は実はあまりあてに出来ません。   UFOの目撃談の場合、たいてい夜中で、色、大きさなどもわかりづらい状  況のものが多いのです。 さらにUFOはこういうものだ、というような強い  思い込みがあると、そこに「解釈的知覚」が働いて、全く別のものをUFO  だと間違えて認識してしまうことがあるのです。 もちろん見た本人は嘘をつ  いているわけではありません。

(3)UFOに関する証言のあいまいさを示すために、わざと偽のUFO発見情   報を流すという 実験が行われたことがあります。その証拠とされた写真は   偽造されたものだったのですが、 UFOの研究家たちはその写真が偽造さ   れたものとは疑わず、なんとかしてその写真が本物 だと説明しようと努力   したそうです。 強い思い込みが冷静な判断を失わせることになった例だと   いえます。

*人の知覚や記憶は、外からの影響を受けやすく、時には間違えてしまうことも あります。 しかし、神経質になる必要はありません。ただ、そんなこともある のだなと知っておくことは 物事を判断するうえで助けになるでしょう。

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2002年3月1日