地方都市とフェスティバル・マーケットプレイス

 今日のテーマは「地方都市とフェスティバル・マーケットプレイス」です。昨年高知市周辺では、家電量販店のヤマダ、ベスト電気、大手地域量販店のフジ蔓島店、マルナカ一宮店、超大型ショッピングセンター「イオン高知」などが次々に開店いたしました。 既存の店舗や量販店は深刻な影響を受けているようです。現在も日本経済は長い消費不況が続いています。百貨店、大型量販店も報道によるとどこも売上はダウンしています。既存店舗、量販店と新しく誕生した量販店は、「共存」出来るのでしょうか?

また「フェスティバル・マーケットプレイス」という言葉は聞きなれませんが。

1)「お祭り」「市場」の概念でつくられた複合商業施設のことです。地域の歴史と文化を重視し、商業施設の建物の外との調和を図る設計思想でこしらえられています。この考え方は、米国のマスタ−プランナーであるジェームズ・ラウス氏の発想であります。

2)ボストンの「クインシー・マーケット」、セントルイスの「ユニオン・ステーション」、ボルティモアの「ハーバー・プレイス」、ニューヨークの「フルトン・マーケット」「ピア17」など。ボストン以外は実際に現地へ行き見学しました。観光地やテーマパーク以外の商業施設見学で感動したことはありません。人を引き付け、去りがたい魅力がありました。

3)食料品店舗中心のテナント構成。都市の中心に商業の核施設がなければならないというラウス氏の信念のもとにこしらえられています。

 「ハーバープレイスは,街の中心にお祭り気分を生み出している。人々は数多く集まり、ただそこにいることを楽しんでいます。最近台頭したコンピューター化され、テレビで宣伝され、セロファンでつつまれた品物であふれたチェーン店ではありません。暖かく親密な、カウンターの奥にオーナーがいるような、小規模な商人たちとの個人的な関係を人々は望んでいます。」(都市再生のパラダイム J・W・ラウスの軌跡  窪田陽一編・著 パルコ出版 1988年刊)中心市街地が全国的に寂れています。「都市再生」のあり方を考える際の重要な考え方だと思います。

ラウス氏を紹介したのは西洋環境開発であり、本の名前と同様の講演会も有楽町のマリオンにて1986年に開催されたそうです。昨年西洋環境開発は、「バブル経済」の清算過程で消滅しまし た。しかし紹介した会社が消滅したとしましても、ラウスさんの考え方は「消滅」していないと思います。バブル期のの「産物」や考え方のなかでは評価できるものであると思います。

  高知では「フェスティバル・マーケットプレイス」に近いのは、日曜市という江戸時代から継続している露天市と、大橋通りの「ひろめ市場」でしょう。いずれも食料品中心の対面販売で、「店主の顔が見える」販売形態です。店主との会話が楽しい空間です。 最近その「価値」に皆が気がついて、「観光客誘致」を行っています。しかしこの日曜市はあくまで地元生活者の「憩いの場」であります。だから他の追随を許さないのです。

 その食料品中心の日曜市と「ひろめ市場」と連動する形で。衣料品、ブランド品などを販売する店舗とがミックスすれば、高知でも「フェスティバル・マーケットプレイス」は高知でも可能ではないだろうか。確かにラウスさんの「作品」は大都市ばかりであります。地方都市の可能性については、ラウス氏自身も取り組んではいません。でも検討すべき課題でしょう。 具体的には高知市中心商店街である大橋通りから、大丸までを総三階建てのモールにします。食品、飲食、衣料、ブランド、書籍、雑貨、CDなどの店舗を入居させます。一階の家賃を安くし、若い人たちにもチャンスを与えます。 その上に、店主用と従業員用の住宅を建設します。

 また市営住宅や分譲住宅もくっつけます。街の賑わいを取り戻すためには、住民を増加させることです。 車の処理は大事です。しかしこれからは「歩いて用事が済ませる街」が理想です。すぐ歩けば商店や量販店があるのに、郊外に大きな駐車場をかまえた店舗が繁栄するのはいかがなものかと思う。もっと街のありかたを市民同士で議論をすべきであります。 

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2002年3月1日