平和運動のありかたについて
 
今週のゲストは、自治労高知県職員労働組合中央執行委員長の山崎秀一さんです。今日のテーマは「平和運動のありかたについて」です。
 事前に頂きました組合大会の資料では、「民主主義の擁護」「反戦・平和」「護憲」が大きなスローガンになっていました。1労組のみならず加盟されている自治労の取り組みでもあると思います。
イラク復興支援特別措置法(4年の時限立法)も国会で成立しました。また有事関連法案も国会議員の9割が賛成して可決さました。反対される理由はどういうところにあるのでしょうか?
まずイラク復興支援特別措置法ですが、第一にイラク戦争自体に問題があります。フセイン独裁体制にも問題はありました。しかしアメリカが石油利権を確保するための侵略にすぎないと思います。ブッシュ政権閣僚を見ましても、石油資本や軍事産業との繋がりが深いのは常識です。この法律はどこまで行きましてもアメリカが起こした戦争の後方支援になります。戦争に加担するという法ということで、憲法上、国際平和を実現していく意味で大問題だと思います。
山崎さんの組合のスローガンでは「有事法制の発動を許さず、自衛隊の戦争参加を許  さず、平和憲法を守り抜こう」というスローガンを掲げています。
以前この番組に出演いただきました中谷元前防衛庁長官に聞いたことがあります。「有事法制は、国と地方の有事の際の役割分担が、現憲法では定義されていないので、定義した。また自衛隊はイラクへ戦争をしにいくのではない。人道支援活動をしにいきます。有事法案は、戦争法案ではありません」と言われました。そのあたりについては、どう思われますか?
法律の条文を読めば、これは戦争をするための法律であることは明らかです。
日本を戦争が出来る国にしてしまったことで、この法律(有事関連法)は大問題です。
日本は世界に誇るべき憲法を持っています。この憲法のおかげで50年以上戦争をしてこなかったのは事実です。しかし一方で所有している軍事力は世界有数であります。そこに矛盾があります。矛盾を解決するためには自衛隊を解体して非軍事の国際平和協力隊、災害救助隊に改組すべきだと思います。
北朝鮮の軍事的脅威についてはどう思われますか?核兵器を開発、反日宣言を繰り返している独裁国家です。隣人として付き合いできますか?また旧社会党は北朝鮮労働党に迎合し、北朝鮮による日本人拉致問題に冷淡でした。平和運動を唱える資格があるのでしょうか?
私は国の主権を尊重するという意味であえて朝鮮民主主義人民共和国と言います。拉致とか核武装は認めるわけにはいけません。ただ6者会談(米・露・中・日・韓・北)のなかでマスメディアはあまり報道しませんが、共和国が提起していますのは、朝鮮半島の非核化を提起しています。大変注目すべき部分です。
一方で核放棄を迫りながらアメリカは一方で、共和国を攻撃できる核配備をしています。日本の軍事力、アメリカの軍事力というのも共和国にとっては脅威になると思います。
そういう意味で日本が二次大戦の戦争責任を明確にして平和友好条約を締結すべきだと思います。未だに共和国と日本は戦争状態になっていますので。二次大戦を終わらせるということを打ち出すことが大事だと思います。

旧社会党の問題ですが、あまりに共和国擁護に過ぎた面がありました。拉致問題や、核武装の問題は、さっき申し上げました戦後処理問題があったにせよ、指摘すべき問題ではありました。いずれにしろ平和的手段での解決を主張します。
 この問題で在日朝鮮人の人達に、差別やいじめが広がっています。人権問題として心に銘ずる課題であると思います。

今年は広島、長崎への被爆58年になります。なぜ原水爆反対運動は統一できないのでしょうか?平和運動に政治党派の利害を持ち込むことは、おかしいと思いますが。既製党派の対立を超える新たな動きは出来てきていますか?
全く同感です。統一すべきだと思います。

反核平和リレー。室戸市と土佐清水市からトーチを勤労者が繋いで、リレーします。

8月6日高知市での反核集会がゴールです。

 
日本国憲法は理想の憲法だと思います。しかしなぜ日本以外に普及しないのでしょうか?内戦が終結したカンボジアや東チモールの憲法に、日本国憲法が影響を与えたと聞きませんが。どうしてなのでしょうか?
市民運動レベルでは国際的に広がっています。他国の憲法に影響を与えていないころは、政治レベルの問題であると思います。日本はこれほど素晴らしい憲法を持っているのですから、情報をどんどん政府が発信すれば、学ぼうとする国も増えるはずです。現実に中南米にコスタリカという国があります。日本国憲法をモデルに憲法がつくられました。日本より遥かに忠実に憲法にもとづき国づくりをしています。コスタリカには警察以外に軍事力はありません。中南米諸国を中心に平和外交を展開していますから、確固たる地位を占めています。
国民の教育水準、医療水準も非常に高いレベルです。学ぶべき点は大いになあります。
北朝鮮政策について。日本を常に威嚇し、覚せい剤などを国内に持ち込んでくる「迷惑な隣国」ではないかと思います。日本人の拉致問題も解決を先延ばしにしています。 民主主義ではない国との国交交渉は可能なのでしょうか?万が一北朝鮮が核兵器と弾道ミサイルを所有した場合、日本はどうすれば良いと思いますか?
共和国の政治体制については、共和国の国民の選択であると思います。日本に戦争を仕掛けてくるのであれば、国際世論を盛り上げてけしからんと言うべきでしょう。現実的に日本に攻めてくると言えば攻めて来ようがありません。あの国の軍事力は他国を攻撃するだけの力は持っていません。テボドンというミサイルが話題になっていますが精度が悪いです。日本のH2ロケットが遥かに精度が良いです。日本はいくつも原子力発電所がありますからあっというまに核兵器をつくる能力はあります。日本の「軍事力」」は共和国にとっては脅威なのですから。日本が平和政策に転ずるのが一番であると思います。
日本の自衛隊の軍事力は「国民が考えている以上に強大です。」
日本の世論はそうは言いましても「拉致問題」がありまして感情的になっていますね。これは中谷さんも伺いました。自衛隊の位置づけはどうなのでしょうか?有事の場合、国民を守る軍事力の行使はどういうシステムが良いと思われますか?

 アメリカと北朝鮮が相互不可侵条約を締結した場合、日本は憲法上の制約があり、北朝鮮が核兵器で威嚇攻撃をすると言った場合米軍は攻撃できません。そうなれば日本にも憲法改正と核武装の声が必ず台頭します。その場合の立場はどうなりますか?

共和国の軍事力は大きくありませんし、非現実的な議論です。もし万が一攻撃されたらどうするか「逃げれば」いいのです。極論ですが。あくまで軍事力ではなく、平和的に解決するべきであるというのが、私の持論です。