情報管理力を高める方法は?
 今週のゲストは高知工科大学工学部(フロンティア工学コース)大学院生の石井勇太さんです。今日のテーマは「情報管理力を高める方法は?」でお話しを伺います。
 情報管理力と言いましても、大学での専門課程で使用される意味と、私など市井の市民が思っている意味には違いがあると思います。
最近ではblogなど、簡単にホームページが開設できるようになりました。それにより情報の受発信量が各段に増えました。その場合、注意しなければならないことはどのようなことなのでしょうか?
 まず受信側に言えることなのですが、インターネットを利用して情報を得る場合には注意しなければいけない点があります。それは「情報の見極め」です。
 最近ではGoogleであったり、Yahooなどの検索エンジンが発達しています。そのためホームページから簡単に情報を引き出せることが出来ます。
 1昔前はURLというインターネットの住所(ホームページアドレス)を知らなければ、ホームページにはアクセスできませんでした。ホームページにアクセスできる範囲が友だちであったり、雑誌で見たURLとかある程度「信頼性の補償されている」ホームページしか見ることができませんでした。
石井勇太さん
 検索エンジンの発達によりまして、「キーワード」で簡単にホームページにたどり着けるようになりました。そうなりますと信頼性の低い情報や、いろんな情報が氾濫してきます。そのなかから自分が必要な情報を取り出せる技術が必要なことはもちろんなことです。
 そのなかから正確な情報、信頼性のおける情報を取り出せる能力が必要です。
今の検索エンジンに利用されている技術では、上位に表示される結果が必ずしも正しい情報とは言い切れないのです。

 次に送信側、つまりブログサービス等を利用してインターネット上で情報を配信する場合の注意すべき事として、『公開する情報の範囲』を決めておく事を挙げたいと思います。

 個人情報保護法が施行され、誰もが自分のプライバシーがどこかで漏れていないか、とてもピリピリしています。それに関連した最近の話題では、5年に一度の『国勢調査』でのトラブルがあります。
私達がブログサービスを利用して情報を発信しようとする場合でも同じ事です。例えば私が今日のラジオ収録という出来事をブログの記事にする場合、私は何となく『けんちゃんさん』の名前を出したとします。けんちゃんさんは実名でブログを開設されていますし、問題にする事は無いと思いますが、人によっては自分の名前が出されただけで不愉快に感じる人もいます。
それだけではありません。例えば匿名でブログを開設されている方も多くいます。そんなブログでは自分の周りで起きた出来事を辛辣に公開していたりしますが、例えば相手の名前を明かさずに誰かの批判を行ったとします。自分や相手の名前は伏せてあるし、絶対分からないと思われていますが、そんな事はあり得ません。


 高知県に住んでいると分かれば約80万人にまで絞れます。性別が分かれば約半分の40万人、年代が分かればさらに分母は小さくなっていきます。さらにどんな大学・学部に通っているという記事や、何月何日にあるイベントに参加したという記事があれば、その人の知り合いであれば分かってしまう可能性が高くなります。さらに普段のメールのやり取りからその人の文章を書くクセが分かっていれば、○○さんだとほぼ確定できるでしょう。
 

インターネット上に一度配信された情報は誰でも閲覧する事ができますし、100%回収することは不可能です。ですので、自分が何気なく載せた情報から、自分や誰かが被害を被る前、つまり情報を公開する以前に「本当にこの情報は公開してもいいのか?」と確認する事が大切です。これはこの番組でvelocityの武田幸恵さんがいた話されていました『情報管理力』にもつながってくる事だと思います。
 ホームページ制作ツールとしてのブログは、私達一般ユーザとインターネットとの間にある『垣根』を低いものにしてくれました。しかしツールがあるからと言って何でも情報を公開してもいいという事はありません。先の受信側の注意で問題にしましたが、インターネットを誰もが気持ちよく利用できるように、私達送信側は質の高い情報を提供していくという心構えが必要だと思います。
 その話ですが、検索エンジンはYahoo,Google ,Msnなどあります。ただ言葉(キーワードを入れて検索しますと確かにホームページにはたどり着けます。
 しかしなかなか自分の知りたいこと、探したい事柄を説明しているホームページにたどり着けないことがあります。
 先ほど石井さんが言われたように、ホームページの情報が本当か嘘かを見極める能力がありませんといけないと思います。そのあたりは大学はどのようされれているのでしょうか?

高知工科大学キャンパス

情報関係には特に力をいれています。
 

 大学ではインターネットの使い方というものもそうですが、コンピュータ全般の知識。コンピュータ・リテラシーという講義を受けて来ました。そのなかでは一般的な操作のみの講義でありまして、情報の見極めについては学ぶことはありませんでした。
 具体的に自分がどうやって見極めるかと言いますと、自分がホームページを検索していて、自分が判断していく。誤りがないとかは経験で判断するしかないようです。
Googleにある「ページランク」というのが、Googleツールバーにあります。これはどのようなことを表しているのでしょうか?誰がランキングをつけているのでしょうか?ホームページの査定をしているのでしょうか?
 一般的にはアクセス数が多いものとか、ページに価値があるとGoogleが独自の判断でアルゴリズムの計算式で適合を判断しているようです。
 自分のページにリンクしている数とか、自分のページからリンクされている数とか。情報の更新度とか非公開の項目が集合して検索エンジンの結果になっています。
 適合度がページランクとして見れるようになっています。ただページランクの評価の基準がわかれば、ホームページ制作の業者などが、解析をして、それを目指して作成します。Google側も、Google対策を意図してつくられたホームページは、つまり上位に食い込むように作成されただけのホームページは、内容面での充実度とは関係ないので排除しようとしています。ですので、アルゴリズムもどんどん変化しているようです。 
 昔はメタタグを記入しろとか指導を受けたことがありました。最近ではSEOとかなんとか言う人がいます。よくわかりませんが。
 ある程度のSEO対策は必要であると思いますね。Googleがページランクを決まる上で、文章の構造部分であるとか、リンク数であるとか、タグをちゃんと利用しているのかとか。
 そういうことでhtmlの文章として正しいものになっているかどうか。総合してみていきます。SEOと言いますのはインターネット上の秩序をつくるうえではとても大事です。
 先ほど申しましたように、「行き過ぎた」対策が先行し、検索エンジンの本質である有益な情報を提供する部分が損なわれる可能性があるので、検索エンジンの運営者側も変化しているように思います。
 検索エンジン対策、Googleのページランクのお話もお聞きしました。でも専門的な話であり、一般的には市民がなかなか理解しにくい部分でもあります。
 そのなかでblogやXoopsが広く活用されるようになり、「技術の壁」が下がってきたように思われますが・・。
 blogyやXoopsが出てきまして、情報の壁は低くなってきたと思います。昔からホームページを開設されている人は、日頃からWEBページをつくるアプリケーションを開いて編集をしてそれを保存して、サーバーにアップロードして確認するという作業をしています。結構な労力です。
  blogyやXoopsなどは、WEBページ上で編集も配信作業も出来ます。アクセス解析なども行えることも簡単にできるようになりました。昔は技術者側と、市民側との間に壁があり、なかなか技術がうけいれることが難しかったです。
 また私たち技術者側が市民よりの情報やツールを提供できませんでした。
 言われるようにタグの一つにしても、文字の大きさや、背景色などもすべてタグで決められますよね。タグ用語を覚えないとホームページは作成できませんでした。
 また自分のパソコンでなければ作成できませんでした。言われるようにホームページを従来型でこしらえると労力がかかって、時間もかかるります。
 これは注文住宅のようですね。自分で図面を書いて、画像や文章の保管庫(フォルダをこしらえ、形を整え、呼び出して貼り付けます。これは大変な労力です。その点はblogyやXoopsなどは画面に、WEB上から入れますから楽ですね。
 問題点はどうなのでしょうか?良い事ずくめで考えてよろしいのでしょうか?
blogにも問題はあります。操作性の問題で「使いにくい」ということはあります。コンテンツの部分の話ですが、新しい情報がblogの場合は常に画面の上に行きます。昔の情報を掘り出すのがめんどいというのがblogの欠点ではないでしょうか。

 最近はblogの場合は「カテゴリー」欄がblogにあり、記事を書く場合にカテゴリーを決めて書きますとあとで、記事はカテゴリー別に整理されます。時系列的に整理して検索できるようになります。随分便利になりましたが、まだまだ問題なのでしょうか?
 時系列と言うのが問題でしょう。10年前の情報とか、ニュースとしては価値はありませんが、資料であるとか昔の思い出とかそういうy部分で有益な情報はあると思います。
 それを検索エンジンで検索しますと昔の情報だとか、リンクが少なくなっているとかになっています。blogのトップページにはカテゴリーがありますが、リンクを何回もたどらないと目当てのページに行き着けないとか。
 古くなっていましたし。その情報が価値がないとみなされ、なかなかトップのほうに行かないようになっています。そういう面でblogもまだまだ課題をかかえていると思います。
 その部分を研究してみたいと思っています。
 石井勇太さんも「open Gate」というblogを制作されています。blogによる反応、反響はいかがであったでしょうか?
 私は、ブログを開設する前には、『mixi』というソーシャルネットワーキングサービス上で日記を公開していました。開設後は替わりにブログの更新情報を載せているため、mixiから興味を持って来て下さる方が多いです。アクセス解析は性に合わないのでしていませんが、mixi等を介して様々な地域からアクセスがあります。あまり周りには宣伝はしていないので、高知県からのアクセスは少ないと思います。
 ブログにはコメントとトラックバックという記事に対して主に2通りの反応の仕方がありますが、友達や知り合いからのコメントをもらえると嬉しいですね。たまに何年か会っていなかった人からコメントや個人的にメールを頂ける事もあります。もちろん、会った事も無い方からも。
 自分の書いた記事を読んで誰かが楽しんでもらえた時、ブログをやっていてよかったなと思います。ただ、私は文章を書くのに人より数倍時間を掛けるため、更新が遅くなっています。けんちゃんさんのブログも拝見させて頂きましたが、毎日のように更新されていて感心してしまいます。私も新しくそして質の高い情報をお届けできるように努力していきたいですね。
 Xoopsなどにもコメントされているようですが、Xoopsの良いところはどのようなところなのでしょうか?最初の取り掛かりが難しいように感じるのですが?
 Xoops は高知県庁のホームページで採用されていますね。大学時に調査しただけですので、あまり詳しい事が言えませんが、ブログと比較してとても自由度が高い事が利点だと思います。ただ自由度が高いことで操作や設定等の学ぶ必要のある項目が多く、逆にコンピュータ初心者の方には敷居が高いと思います。
 ただ、開発コミュニティはとても活発で、日本人が開発に多く関わっているので、ブログのようにこれからさらに身近なツールになってくると思います。
 blogなどで手軽に情報が発信できるのですが、相手のblogの情報の真偽がなかなかわかりません。
 信用しすぎないという事が重要だと思います。ブログサービス等によって誰で
も簡単に自分の考えや主張をインターネット上に配信することができるようになりました。そこに載る情報の多くは、あくまで配信者の主観によるものです。最終的には自分でその真偽を見極めることが必要でしょう。テレビや新聞等の『公器』では無い以上、情報の裏を取る義務も無いわけですから。
情報管理力を高める方法はあるのでしょうか?具体的な方法についておかまいない範囲でご披露下さい。
 私自身、情報を管理する能力を向上させたいと常に思っているのであまり良いアドバイスはできませんが、常に自分が持つ情報に整理し、優先度を付ける事には日頃心がけています。その方法ですが、やるべき事や聞いた事はすぐに手帳に書き込み、そして必要な時にすぐ引き出せるように、時間を作って整理をします。
 最近はブログに記事を書くことにより、その日の自分を振り返って、情報を整理するという事もやっています。人が読む文章にすることで、自分という存在を客観的に見る事ができてとても便利ですね。話題も提供できますし。


 よく「情報リテラシー」という言葉を聞きます。正確な意味はどういうところにあるのでしょうか?IT関係での「情報リテラシー」とはどういうことなのでしょうか?
 一昔前は『情報リテラシ』の事を『読み書きそろばん』と表現していました。つまり、電源を付け方から、マウスのダブルクリックの仕方、オペレーティングシステムやアプリケーションの操作方法、俗に『ネチケット』と呼ばれるインターネット上の注意事項の確認…といった、コンピュータを利用する上で誰も知っておくべき事の学習です。
 これまではそれらの基本が出来る事を『情報リテラシ』と呼ばれて来ましたが、私個人の意見ではこれからの情報社会ではそれでは不十分だと思います。これから重要なのはアプリケーションの『操作』を学ばせる事でなく、自分のやりたい事が何を使えばできるようになるのか、という視点を学んでいく事だと思います。
 例えばワープロソフトや表計算ソフトの操作も学んだりしますが、それだけでは何に活かせるのか理解しにくいと思います。「この機能はこれに応用できるな…」とか「これを実現にするにはこれが必要だから教えてもらおう」というような『想像』を学び手させる事ような情報リテラシ教育や講座が必要になってくるでしょう。
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