人間らしい社会の実現の方法は?
 今週のゲストは、鍼灸師である辻恵子さんです。今日のテーマは「人間らしい社会の実現の方法は?」でお話を伺います。
 女性のクリニックリストの作成や、鍼灸院の治療現場、市民運動などで辻さんは社会と向き合っています。日本社会は、正規雇用者が減少し、契約社員、パート雇用が増加しています。懸命に働いても、子育て支援や出産後の女性の社会復帰がより厳しくなっているようです。
一方で物が満ち溢れ、ブランド品や世界の産物がいつでも購入できる社会。女性には天国と思える半面、雇用面や生活面では厳しい面もあるようですが。そのあたりはどのように思われますか?

 そうですね。経済力があって、買い物が好きな人にとっては、天国なのでしょう。でもそんな人はごく一部の人ですね。


 私は少し男女共同参画センターソーレに関わっています。そこの職員の方と話をしていますと相談が増えています。ソーレは相談業務があります。女性達の相談を受ける業務なのですが、去年は急に増えました。それは「何故だと思います?」と私が聞きましたら「ちゃんと分析はしていませんが、やっぱりこういう世の中ですからね」ことを言われました。

辻恵子さん
今の社会は女性の元気さが目立っているようです。男性に対して何かメッセージはありますか?また世の男性はどういうところが駄目であると思われますか?
 どういうところが駄目であるか。面白い質問ですね。別に私は男性が駄目であるとは全然思ってはいません。駄目な人はいないとは言いませんけれども、良い生き方をしている人がいると思います。
 男性に対してメッセージということですが・・。ソーレでいろいろしていますと「女性は、女性は」と女性のことばかりやっていると。わたしら男もしんどいやけんどそうにかしてくれんか。という話も聞きますね。でも最初私もどうなのかなと思っていました。
 ある方は「女性はいままで女性のことをやってきたからここまで来れたのです。男性がしんどいのであれば、自分で「男性はしんどいという声を上げてください。」という話をされていまして、私はそのとうりだなと思いました。確かに男性もしんどいと思いますよ。本当にしんどいようなら、そこでしんどいと言ってもいいのではないかと思います。そこで頑張らなくても・・・。
 女性は女性でしんどかったからここまでやってきました。男性も自分の事をしっかり自分の問題として自分でやってくださいとのことです。
 そうですね。やせ我慢するのは男の生き様だという考えもありました。それはしんどい話ですね。

 本当にそれぞれだと思います。ですので男性だから、女性だからというのはありません。

 いままでの話の中でも今の社会、かえって若い女性達は大変疲れているようです。疲れがなかなかとれないという話を伺いました。辻さん経営されているよもぎ鍼灸院のパンフレットによりますと「やわらかで、伸びやかな体と心をとりもどすために」という言葉が書かれています。
 やわらかな体と心を取り戻すためには、どのような心構えと、生活をしかたになるのでしょうか?
そうですね。やわからで、のびかかな心と体。そんな人がいるかなといいますとなかなか難しいのではないでようか。私自身も含めてですけれども。なにかいろんなものを背負い込んでいる。窮屈な感じです。話をしてきました女性だからこうだ。という枠のなかで生きていかなければならない生き方を女性だけでなく、男性もですが変えていくことで、枠にはまらないのびのびと生きていけるのではないかというのがあります。
 ひじょうに今の若い人達はまじめなんですよね。もう少しさぼっても良いと思います。自分がやりたいこと。それを中心に置いて、それを基盤に考えていく。他は少しぐらい。それでいいじゃないのかなと私は思います。
 

 収録の様子です。お互い初対面でした。でも辻恵子さんの落ち着いた話ぶりですべていまく行きました。

 私にとりましては未知の部分の多いテーマでした。対談を通じて理解を深めることができました。

 確かに学生達を観察していましても、私などが学生の頃より遥かに勉強しています。大学の3年次に就職活動しています。そうしないと就職できないプレッシャーがありますね。なかなかのんびりしろとは年配者として言い難い様な状況があるようです。
 やはり難しいといえば難しいですね。
 こうしなければいけないという生き方。こういうのがベストな生き方とか言うのが、あまりにも決められているから、そこから落ちると、入らないと生きていけない。そういう雰囲気なのでしょうか。
 だから価値観を勝手に自分でこしらえたり、ひとつの分類や評価基準で外れたら「もうだめだ」みたいに短絡的に考えないことですね。短絡的に考える人が多いようです。複眼的といいますか。いろんな生き方があるんだよとか。もっと楽に考えるべきでしょうね。
 ものも溢れていますし、働く場所もとやかくいわなかったらありますし。自分の生活設計さえ間違えなければどうとでも生きていけますね。気楽にやればいいのにな。という考え方はちっと無責任なのでしょうか?

 だから何が大事なのかを自分で考えたら良いと思いますよ。なにもかにもは無理ですよね。だから大切なものを大切にしていくことでしょう。私自身もそう言いつつも、ふらふらしている毎日なので、いつも自分にはそういう風に言うようにしています。
6月番組に戻ります