墓と人生をどう考える
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今週のゲストは寺尾産業有限会社寺尾石材店代表取締役の寺尾晴邦さんです。今日のテーマは「墓と人生をどう考える」でお話を伺います。 今でこそ人生80年時代ではありますが、昔も含め人間の寿命は短いものです。現代人は死生観を日常考えることはありません。生きている時間よりは、死んだ後の時間が遥かに長いにも関わらずです。武士は確固とした死生観がありましたが・・・・ ピラミッドや巨大な古墳、中国の兵馬陵など権力者は巨大なお墓を生前建設して いました。亡くなった後の生活も考え、多くの生活用品も埋蔵されています。その考え方についてどう思われますか? |
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今の日本人は死生観がないですね。仏教が入ってくる日本では、死は穢れであり、親しい人との別れとともに、新しいものを生み出す力がある。という考えだったようです。これは事実としては変わっていないと思います。 ただ今は病院で、医師により医学的に伝えられた事実から肉親の死を知ります。昔は棺おけから生き返ったということが現実にありました。だから本当に亡くなったということを判断することと、お別れをすることが葬式でした。「死に方を忘れた日本人」(碑文谷創/大東出版社刊)という著作があります。 今の日本人は高度経済成長時に捨ててきたいろいろな文化を取り戻そうとしています。捨ててきたものは戻りません。新しいものを取り入れて昔の人はこれをどうしていたのだろうと思いをめぐらすこともたくさんあります。 |
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田舎から都会へ出ていて仕事をして懸命に生きてきた人達が、リタイヤしてUターンで田舎へ帰りますね。お墓をこしらえたりする人が増えると思います。ずっと都市生活をしてきた人は、地域社会から長い間隔絶されてきていますね。習慣や、先祖供養の考え方も一切忘れているのではないでしょうか。なかなか大変な時代が来るのではないでしょうか? |
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沖縄のお墓。日本本土とは様式が違います。昔から家屋よりも費用がかかると言われています。 女性の子宮の形になっています。お墓の前は一族が宴会できる広さがあり、暑さをしのぐために木も植えられています。 沖縄戦争中は防空壕がわりに納骨堂で、戦災を逃れた人も数多くいたと聞きました。ただ長子相続なので、次男以下は自分で建立しなければなりません。 |
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お墓を造る事が、昔は当たり前の人間のすることでした。それを最近忘れてきているようです。お墓を造るということは、人生を振り返ることにもなります。後々の人にちゃんと教えを残すことになります。お墓をつくることは大変大事なことだと思います。 |
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市民レベルでも同じなのでしょうか?王侯貴族は昔から考えていたようなのですが | |
そうです。生きている間にお墓のことを考えることは昔は当たり前のことでした。今はそれを「タブー視」しています。 | |
個人的な話で恐縮です。私の家内は沖縄出身です。義父が常にこんなことを言っていました。沖縄では家を建てる前に、お墓を立てるのが1人前の大人のすることのように伺いました。結婚したばかりのときに、義父に連れられ、一族のお墓に連れていかれたことがあります。そのときは理解出来ませんでしたが、今思えばご先祖と対話したような記憶があります。その考え方は高知でも大事にすべきだと思いますが・・・・。 | |
沖縄では清明(チーミー)といいまして、4月に一族がお墓の前に集まり懇親(飲食)するならわしがあります。 | |
お墓をつくること。先祖をお祭りすることは同じことです。自分の始末をつけるということです。これが出来るのも1人前の大人です。家族の概念が変わってきています。昔からあったのは家の墓でした。最近は家の墓と言うよりは、自分の墓、個人の墓が増えて来ています。それをただ流行りと考えるのではなく、自分のお終いをつけるという考えるべきだと思います。 | |
たとえば「わたしはあの人と同じ墓に入りたくない」と奥さんに言われるような事例もあるのでしょうか? | |
ありますね。でも死ぬとき、どのように死ぬかを決めて置くのは大事なことですね。 | |
墓地やお墓がありません。その場合の相談窓口と、だいたいの費用の目安をアドバイ スしてください。葬式費用、埋葬費用、墓地費用は標準でどの程度の予算が必要なの でしょうか?公正公明にアドバイスいただける人がいませんので。 | |
どこからの情報が的確かなかなか判断ができないと思います。あえて申し上げるのであれば、石材産業協会に相談ください。高知県支部もあります。石材産業協会のホームページからアクセスしてください。その加盟の業者に相談いただきましたら、間違いありません。 |
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現代人は刹那的になっていまして、「死んだら終り」という考え方です。そのあたりは寺尾さんはどう考えますか? | |
今を生きることをやっきになって自分を見つめることが戦後の日本人は出来ませんでした。肉親や自分の死も他人事、今は見なくても良いこととして扱ってきました。それだけでは日本人がどこへいってしまうのかという不安はあります。死ぬこともちゃんと考えてお墓を造る=先祖を守ることが大事であると考えます。 | |