建築家としての心構えについて
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今週のゲストは 建築設計士の田上圭一さんです。今日のテーマは「建築家としての心構えについて」でお話を伺います。 設計士は、施主の希望を聞いて、家を設計する仕事です。でもそれぞれ建築に対するこだわりや思いがあると思います。それは何でしょうか? 設計士のなかには、コンクリートや木にこだわりのある人もいます。田上さんの場合はどうなのでしょうか? |
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材質的なこだわりよりも、基本的には耐久性、安全性を考えます。 実は住宅に関しましては施主さんのこだわりがあります。木造にしたい。コンクリートにしたいとか。 逆にそれを引き出すのが設計士の仕事ではないかと思います。どうしても適材適所ということがあります。駄目なものは駄目と言うことも含めて全体のバランスをお話します。 |
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設計士は「生活観」をどのように感じどのように表現されるのでしょうか?新築と、リフォームでは異なるのでしょうか? |
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生活観に関しましては、今住んでいるところを見せていただきます。と言いますのは新しい建物になるからと言って、全てが新しいものになるとは限りません。やはり過去からのものをひきづってて来るものです その方が今までどのような生活をしてきたか。それは昔の家を見ればある程度わかります。 |
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施主さんのライフスタイルを考慮した形で話をするわけですね。 |
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その上で提案しています。本当にこれで良いのですかと提案させていただいています。 | |
高知の風土と気象を考えた場合は、どういう素材を使用した建築物が良いのでしょうか? | |
これも敷地の広さ、場所,階数によって変わってくると思います。と言いますのは、木造であれば軒が深かれば、外気に対しても良い物が出来ます。 街中でやりますと軒が出せないと言うこともあります。隣家からの延焼など火の問題があります。コンクリートにした場合いが良い場合もありますし、鉄にしたほうが敷地の関係などでよい場合もあります。 結果的に言いますと材質の問題ではなく、バランスの問題であると思います。 |
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素材にこだわるるのではなく、施主の希望を聞いて実現するためのお手伝いをしていることですね。 またメンテナンスフリーは理想ですが、むしろ使い込んだ方が家はよくなると言うことで、「手入れをする」ことも考慮していただきたいのです。そういう素材や材料の提案はさせていただきます。 |
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家も建築時は100%の新築で、年月ともに劣化していきます。物には寿命があります。家も寿命があると思います。 田上さんが設計される時にとくこだわっている部分はどのようなところにあるのでしょうか? |
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できる限りメンテナンスフリーは考えています。それではメンテをしなくては良いかと言いますと、メンテをしていただきたいのです。 メンテをすることで、家に対する思い入れが濃くなります。それから材料に関しましても、出来た時が一番ではなくて、経年(年がたつにつれて)本物になるようなことをなるべくお勧めしたいのです。 なかなかコストの問題がありまして、すべてそのとうりにはなりませんが・・。 |
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私も材質のことはわからないのですが。白壁を内装に使用しますと,普通ならヤニで黄色になりますね。それが汚れがあまり目立たない素材もあるようでしたが。そういう材料があるのでしょうか。 | |
ありますね。一般に言われているのは珪藻土ですね。多穴室のものを使用します。それが何年もたせるのかを、こちらも把握しています。 | |
普通のフラット(平滑な)内装であれば、壁紙だとかクロスを貼り付けた場合、継ぎ目だとかが目だってしまいますのですが・・・。汚れも。 (ビニールクロスの継ぎ目は目立ちますね。) |
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ビニールクロスなどは、ピッチが90センチくらいになります。そうしますと継ぎ目がどうしても剥げて来ます。 それよりは1枚のものが良いとか、パネル状にして、最初から目地を取るとかします。 |
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下地のボード面の継ぎ目はパテ上でしごいていまして、クロスが長年たつと浮いて、見えるようになります。やはりこれも設計上出クリアできるのでしょうか? | |
出来る場合もありますが、最初から見せる場合もあります。たとえば90センチで目地を作れば、継ぎ目はなくなりますし。 | |
外観の問題ですが、高知などは雨もきついし、日差しもきついですね。壁面の雨だれなどが見苦しいような壁面を良く見ますが、これに対しても最初の設計でなんとか出来るものなのでしょうか? (雨だれは目立ちますし、気になります。) |
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出来る限りやるようにしています。難しい問題なので完全にはなかなかできません。 雨だれは、煤塵とか埃です。それがひさしとかフラットの部分に溜まりまして、少量の雨の時に流れ壁面につきます。ということは、そういう箇所をあんるべくつくらないことです。 もしくは外壁に水を流さない。ということをすれば随分は防げます。 |
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最近の建築業界で注目されることがありましたら、おかまいない範囲でご紹介下さい。一時は「ポスト・モダン」とか言う言葉も聞きましが・・・。 | |
もう今は色々なのかも知れませんね。むしろそのスタイルにこどわるのではなく、自分のスタイルにこだわるのが良いのではないかと思います。 建築はどちらにしても長いものです。1年や2年で変わるスタイルに乗っかるのは賢明ではありません。商業施設はスタイルに乗る場合もあります。 住宅の場合は自分のスタイル。その形が良いのではないでしょうか |
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3月番組に戻ります |