歴史観について再検討しましょう
 今週のゲストは、高知市役所環境政策課課長補佐の佐竹敏彦さんです。今日のテーマは「歴史観について再検討しましょう」でお話を伺います。
 佐竹さんは佐竹家の800年の歴史を検証され「土佐佐竹由来紀」を発刊されました。その検証作業の中で、歴史観について徹底的に考察されました。
佐竹さんは戦後日本の歴史教育に「誤りがあるのではないか」と指摘されています。それはどういう歴史観であったのでしょうか?
 江戸時代以前と、それ以降で、領主と領民の立場が先祖は逆転しています。
 領主階級であった時代には、搾取をしているという見方を歴史教育はしています。どうも搾取ではない。年貢を上手く活用して、地域の行政を行う。いうのが領主の基本的な役割でした。それが出来ないのは駄目でした。
 単に搾取ということはいえないのではないかと。

 また農民になったとき、農民は「生かさぬよう、殺さぬよう」という具合に年貢を取り立てるだけの対象だと言われてきました。そういう風な歴史の見方をしている向きもあるようです。
 実はそうではないです。農民は苗字がないと言われていますが,苗字もちゃんとあります。家系図を調べた時にも、江戸時代の墓にも苗字が刻まれていました。


 どうもおかいいのではないか。あまりにも一方的な見方ですね。マルクスの唯物史観から見た歴史観ではないかと。西洋的なものの見方で見た歴史観が戦後日本の歴史教育ではなかったのかと思います。

 唯物史観」といえば「ただもの史観」という粗雑な歴史観が学会を支配していた時代もありました。経済構造が上部構造(政治・文化)を規定するという旧ソ連流の粗雑な歴史観でした。日本の教育界にも影響があったのでしょうか?

 そうでしょうね。教員になるためには大学教育を受けなければなりません。戦前はヨーロッパの学問が基本。その学問を学ばないと教員になれません。ヨーロッパが正しくて日本は間違っている。遅れているということになります。


 戦後は、マルクス・レーニン主義という唯物史観が学校の主流になりました。共産主義が勢いがありましたので、その視点から歴史を見るということもありました。日本の歴史を色眼鏡で見ずにまともに見れなかった状態ではなかったかと思います。

佐竹敏彦さん
 西洋型の歴史観とか、マルクス主義型の歴史観を日本のあてはめようとしましても説明できないことがあると思います。だからそのあたりの説明が「粗雑」ではないかと思います。
 そうですね。日本は日本なりに懸命にやってきています。地域共同社会はきちんとありましたし。それは家系図を見たときにつくづく理解できました。それがあまりにかけ離れた、ある一定の価値観から、一刀両断され、日本の歴史をこきおろしているのが戦後の歴史教育ではなかったかと思います。
 現在のように国が社会保障を国民に施策する以前は、地方の領主や地主が領民に対して社会保障や公共事業をしていました。一律的な歴史観は危険だと言う事でしょうか?
 現在の日本人も西洋流、アメリカ流の歴史観に支配されているのではないのでしょうか?日本はアジアの一部であるという意識が希薄になっているのではないのでしょうか?
 これはある意味ではやむをえない部分があるえしょう。特に戦後はそうです。完全にGHQの指導のもとに日本社会の全てのことが行われましたから。
 そういう状況ですから。アジアから切り離され、アメリカ流のGHQの考え方で物事を見るようになっています。やむをえない部分はあるのかなと思います。
 最近日本の伝統文化、郷土史にあまりに無関心な人が多いのはおかしいと思います。ではどうすれば歴史に興味を持つことが出来るのでしょうか?佐竹さんからのアドバイスをお願いしたいのですが。
 自分は「何者なのか?」というところから、我が家の歴史を探る。それが本来の歴史教育ではないかと思います。私も家系図を知った時に、父親が今ある話題になっていますタイのプーケットに大東亜戦争のときに行っていました。やはり父親の行った戦争はなんだったのか。あの戦争でアジアの解放が目指された。
 特に有名ですけれどもインドネシアの独立戦争のときは日本軍人が、独立運動を助けました。独立記念日には必ず日本兵の姿をした人が必ず1人で現れ、インドネシアの国旗を上げます、どれが記念日の式典になっています。
 日本はアジアの。全世界の白人以外の国を助けた。父親はその戦争に加担しています。父親がそういう戦争に加担したととは、我が家の歴史から見ればそうですが、学校教育では全否定されています。言うところで、日本人そのものを見ない。それが郷土史などをふりかえらない原因ではないでしょうか。
レトロ文化である炭焼き体験が、子ども達との交流に繋がっています
 
 「レトロ・フィーチャー」という言葉や「古きを訪ねて、新しきを知る」という言葉もあるようです。歴史を探索されて、佐竹さんが現代日本社会に対して感じる観点は何でしょうか?
 家系史を見てつくづく思いますのは、変な方向で教育されてきたなと思います。その基本的な部分が日本国憲法そのものではないかと思います。
 ゆがんだ視点の日本をこしらえているのではないでしょうか。子供たちが歪められている。歪んだ子供たちが日本社会をつくっています。毎日殺人事件が起こっています。
 日本人はおかしいと思います。「壮大な実験」を日本はされているのではないか。家系史を造った時つくづく思いました。日本の江戸時代は殺人事件は殆どありませんでした。ちゃんばら映画でありますけれど殆どありませんでした。
 江戸が人口50万人の大都市でしたが、警察官がたったの24人でした。町奉行所の職員が2つ(北と南)で300人でした。それくらいの状態で治安が維持できていました。
 今は、毎日のように殺人事件が起こります。母親の母性がなくなりました。平気で子供を殺す。根源はGHQのあとの歴史教育、またその国の形をつくってきたものではないかと思います。
 
2月番組に戻ります