公共建築物はどうあるべきなのか?
 今週のゲストは建築設計士の福島高明さんです。今日のテーマは「公共建築物はどうあるべきか」でお話を伺います。
 とにかく効率本位の最近の公共建築物。しかし建物は孤立して存在しているのではありません。自然景観のなかにあります。公共建築物のありかたはどうあるべきなのでしょうか?公園や街路のありかたもお話を伺います。
公共建築物というものではありませんが、高知城。400年経過しても建物に風格があり、お金を払っても見ようという気持ちになります。それはなぜなのでしょうか?
 私は個人的に感じることですが、高知城は「プロポーション」が良いですね。まず建築でも形がいいです。女性でもプロポーションが良いというのは褒め言葉ですね。
 まず本物であるということです。使っている建築素材も分厚いです。例えば板の1枚が6センチも、7センチもあります。そういうものをふんだんに使用しています。そこにポテンシャルがあります。
 ポテンシャルを辞書で引きますと、「潜在力」という意味と「電位」という意味があります。例えば五感で感じることがあります。
 視覚障害者の人が高知城に行かれても、白い部屋と赤い部屋に入ると、わかります。色に周波数がありますから。五感で感じるのですね。
 例えば軍用ヘリコプターと遊覧ヘリコプターがあります。近くへ行かれて見るとわかります。軍用のほうは使用している鉄板も厚く威圧感があります。同様の魅力が高知城にあります。

高知市旭にある浄水場の水道局の建物は保存されているのでしょうか?近代建築でも古いものは良いものがあるのでしょうか?

 そうですね。旭の浄水場は大正時代に建築されています。ルネッサンス様式などいろんな様式が混在した建物です。
 高知の場合は維新以後、明治政府のほうから「干されて」いましたから、近代建築へのコンプレックスがありました。
高知の公共建築物で、福島さんから見られて評価できる建物はありますか?
 近代建築で評価されましたのはオランダでDOCOMOMOという組織がありまして日本のなかで景観形成、環境形成で評価された建物があります。

 高知県では、土佐清水市の海のギャラリーがあります。林正子さんという建築家が設計されました。建築は伝統というなかで「若く」ないと駄目だと思います。
 「伝統の保存」だけで駄目だと私は思うからです。

はりまや橋商店街の木造アーケードは、特色があり評価が出来るのでないでしょうか?
木造アーケードの下で毎週金曜市が開催されています。(高知市はりまや橋商店街)

 木質化として積極的に木を取り入れたアーケードは良いですね。穏やかな落ち着いた評価が出来ると思います。

 公園などで評価できる構造物はありますか?ヤ・シーパークなどは評価できるのではないでしょうか?

 私もヤ・シーパークも好きな場所のひとつで、月に一度は家族で行きます。ひじょうに計算して設計された公園ですね。ランドスケープというものは「主になるものと、従になるものとか」計算されてバランスよく空間構成されたものです。高知の中では良い公共物になると思います。
高知県夜須町のヤ・シーパーク 。造園設計は稲田純一さんです。
 高知の共同住宅のありかたは変化はありますか?市営住宅などは高層化しているようなのですが?
 財政上高層化は致し方ない面はあります、整備された社会資本を活用するためには仕方がないと思います。スプロールして郊外に都市施設を整備する経費は高知市は負担するのは難しいと思いますね。
 子供の情操教育の観点からは、人間が米粒のようにしか見えない建物に生活することは良くないと思います。人を大切にすると言うことは、人間のスケールでなければならないと思いますね。
 友達が「遊ぼう」と声をかけたら、2階や3階なら、「遊ぼうよ」と返事がすぐ出来ますね。それが本当の意味のコミュニティですね。
トップページへ戻ります