福祉の専門家の役割とは?
 今週のゲストは生き活きサポートセンターうえるぱ高知の下元佳子さんです。今日のテーマは「福祉の専門家の役割とは?」でお話を伺います。下元さんは理学療法士の資格を持たれています。
 また福祉関係での資格といえば、作業療法士、介護福祉士、などの資格があるようです。なかなか取得が難しいのではないでしょうか?
 福祉関係の資格を取得するためには、大学や専門学校へ行ったほうが良いのでしょうか?資格の難易度は高いのでしょうか?
 そうですね。資格によって学校へ行かなくてはならない。学校を履修して国歌試験を受けなければならないものもあります。経験年数と受験をすることで対応することの出来る資格もあります。
 いろいろです。難易度も資格によって異なりますけれども、いずれにしましても福祉系の職種、医療系の職種、を志望する学生は多いです。
 介護保険制度進展などにより、資格取得を目指す人が増加しているのではないでしょうか?しかし人間を相手にするお仕事ですので、難しい問題もあるのではないでしょうか?
福祉機器を実際に使用される方の立場にたって説明する能力が、専門家には必要です。福祉機器展は、その交流から、絶好のトレーニングの場になっています。
 そうですね。制度の問題もあるでしょう。経済的に不安定な時代ですので、資格の必要な職種に人が集まることもあります。高齢化率はどんどん高くなる一方ですし、こういう職種(福祉系)になると「食いはぐれはないのではないか。」ということで人気が高くなっていることもあります。
 でも今言われたように人間を相手にする仕事ですから、仕事というのはどの仕事でも向き不向きはあります。基本的には人と関わるのが好きというのが第一条件です。
 器具を相手に仕事はしているのでしょうが、それだけではなく相手の人間ともコミュニケーションが上手く出来る人でないといけないと思いますが。
 医療も、福祉も「病気を治す」だけではなく、目の前の人をどうやって元気にするか。出来るだけ元の生活に近い状態の生活までにする。それがいわゆるリハビリテーションなのですね。
 それを支援するのが、医療や福祉の職種の仕事なのです。それを考えますと病気や疾病や障害だけを見て対応するのではなく、目の前の人をどう支援するかを考えることが大事ではないかと思います。
以前下元さんは、以前は医療法人などにお勤めされていたりされていました。 下元さんが現場で問題であると感じられているのはなにでしょうか?
福祉機器展では、専門家を対象にしたセミナーも開催されています。足のリラクゼーション法の講義です。
 たくさんありますね。病院のなかだけではないですけど、医療・福祉の資格の歴史は浅いです。理学療法士は40年ぐらいです。介護福祉士などは、10年ぐらいのものです。毎年学校がどんどんつくられ、大量の有資格者が送り込まれています。そんな状態ですので教育が追いついていないのです。
 学校教育という問題ではなくて、現場に出てからの問題ですね。行政側は福祉施設といえども、営利事業だから、税金を投与しての教育をどんどん打ち切る方向で来ています。だから施設任せの教育になりますね。その職員の教育ではなくて、1人1人の利用者にとって、良い支援が出来ることを考えますと、もっと(行政側が)手を貸していただいても良いのではないのかなと思います。
 手を貸さないのであれば、もっと基準をこしらえていただきたいですね。最低ラインはこれぐらいのレベルには施設はあるべきだとか、施設とか職員の評価をもっと外に出し、利用者が選択できる材料として出すぐらいことはしていく必要があります。

 カナダのバンクーバーなどでは、資格を取得しても、その後に国の基準があり、これぐらいの時間数(何10日もありますが)の講習や教育を通過しないと、人相手の仕事はさせないような仕組みになっています。
 私たちの福祉関係の資格でも外国では、「書き換え」が必要。だからスキルアップは常に必要なのです。

 下元さんは福祉教育のありかた事態が問題があると言われていますが、具体的にはどういうことなのでしょうか?「方法論に走って、本質が掴めていない」のでしょうか。
高知福祉機器展でのスタッフミーティングの様子。利用者の立場に立った福祉機器の説明の確認をされています。
 そうですね。福祉教育と言うのではなくて、教育というのはひとつだと思います。専門職に対して考えたときに、私たち専門職は障害者をどういう風に支援をしていくのか。というのも福祉の教育としてもっともっと考えて行かなければなりません。学校でも討議していかなければならないと思います。目の前の方が、「こういう風に生きてみたいのだ」「こういう風にしたいのだ」と言われたときに、それをどう実現していくのか、そこが足りないからここだ。ここを支援しよう。
 それが正しい支援のやりかただと思います。やはり専門職も技術とか知識がないとそれを支援することが出来ません。「障害があるのだから、このへんで諦めましょう。」とか、「あなたの障害ならみんなそんな生活をおくっていますよ。」と言うようなところでくくってしまいがちです。
 生き方はその方が決まるはずなのに、それが今出来ないのが現状ではないのかなと思います。
 下元さんは「生活を変えていける力が必要なのですが、相変わらず、手足を動かすことしかできないセラピストが多いのが現状です。」とご指摘されています。「生活を変える力」はどのような力なのでしょうか?
 要するに病気だけや障害だけを見ていくのではなくて、その人の24時間とか、何年後だとか。相手の人を人間として見ていくことだと思いますね。たとえば理学療法士でしたら、理学療法士としてその方にどう支援できるのか。生活を主体とした目標のところを見れて、私の知識をどう使うのか。そういう風に考えます。でも限られている知識なら、まず手足を動かすことから始めると思うんですね。
 総合的な専門家としての知識も必要すし、人間を見る目も必要であると言うことなのですね。
 凄く奥が深いと思いますね。私は3年ぐらいしたら、別の仕事がしたいと思っていましたけれども、何遍やっても中途半端でまだまだの連続ですね。
介護予防の方法として、いきいき100歳体操やパワーリハビリは大変効果がありました。」といわれました。下元さんはどう思われますか?
生き生き100歳体操です。高知市では盛んにされています。
関わらせていただいてもいます。効果はあります。活動量がある程度確保されませんと、「使えない」体になっていきますので。効果はあると思います。
 体操するだけではなくて、様々な問題も解決していきませんと、その人の生活は変わっていかないと思います。