うえるぱ高知について
 今週のゲストは生き活きサポートセンターうえるぱ高知の下元佳子さんです。今日のテーマは「うえるぱ高知について」でお話を伺います。
 7月2日から4日まで、高知市かるぽーとを会場に「第3回高知福祉機器展」が盛大に開催されました。うえるぱ高知は主催者として、企画や運営にあたっています。
下元さんは理学療法士や、ケアマネージャー等の福祉関係の資格も持たれています。医療機関などで勤務もされていました。安定した職種ではなく、ご自身でうえるぱ高知を立ち上げた理由はどのようなところにあるのでしょうか?
 うえるぱ高知は今年1月に立ち上げました。まだ月日は浅いですが、今の活動の思いは数年前から持っていました。障害者の方々により良い生活の質を求めていただくために支援していくのが私たちです。
 障害をもたれている方はいろんなことを諦めてしまっている方が多くて、私たち支援者は知識や技術がなければ、その方たちを変えていくことが、なかなか出来ないことが凄く痛感いたしました。
 どうしても組織の中にいますと、関われるところに限りが出てきます。そういうところに組織の枠を通り越して関われるところと、目の前の人を1人変えるためにも、広い範囲で、例えば高知であれば高知県全部の底上げを出来ないと目の前の人も変わらないのではないか。そういう壁を凄く感じました。
 それで「立ち上げる」きっかけになりました。

第3回高知福祉機器展は、うえるぱ高知の主催で開催されました。機器展の企画・運営を担当されていました。

うえるぱ高知の資料を拝見いたしますと、「介護・福祉お助け隊」「介護寺子屋」「うえるぱ通信」「バリヤーフリー・フェスティバル」「福祉教育」などの活動がなされています。どのような活動なのでしょうか?
 基本的にひとくくりにしますと、当事者の方々への情報発信というところと、専門職向けの情報発信というところを核にしています。
 「介護福祉お助け隊」と言いますのは、その名のとうりお助け隊です。生活のなかで困っている当事者の方であるとか、あるいはその方を支援する専門職の方などからの電話相談が中心です。電話相談を受ける窓口を開設しています。電話だけで対応するだけではなくて、必要であればお家への訪問もしています。例えば私たちだけで解決できないことも山ほどありますので、確実に解決できる方をご紹介するだけではなく、きちんと繋ぎます。そういう相談窓口です。
 パンフレットをいただきましたが、活動の3本柱が「技術支援」「情報発信」「啓発活動」となっています。そのような活動をされているのですね。
 そうですね。「介護寺小屋」という活動があります。技術支援の普及ということで、専門職ですとか、一般の介護者の方も参加いただきまして、いろんな福祉用具とか、技術を2日間で学んでいただいています。
 入門コースとか、指導者養成コースも設けて、全体的な「底上げ」を狙った活動です。
 寺小屋方式と聞きますと、少人数で。「わかるまで教える」という印象があるのですが・・・学校方式のパソコン教室などでは、授業の進展が早くてついていけない人もいます。パソコン寺小屋を考案された西岡謙一さんは、寺小屋方式は、「わかったふりを」しないこと、させないことが大事だと言われていましたが・・
 そのとうりです。少人数で手取り足取り「技術支援」という活動ですね。みんばが納得するまで教えあうことは、分野は違いますけれども同じであると思います。
 企画中ということですが、「福祉教育」とありますが、具体的にはどのようなことを計画されているのでしょうか?
まだまだ模索中です。福祉教育を考える思いの発端は、福祉教育という言葉自体が好きではありません。教育というのはひとつではないかなと思っています。
 要するに福祉教育を考えたときに、健常者のレベルで、情報を知らないが故に「障害を持ったら大変だ」とか、「なにも出来ない」「可哀想だ」。「だから障害者にはなりたくない」という想いがあると思います

 ですから今の小学校でやられていることを見ていますと、障害者体験をしまして、「可哀想だ。だから手伝って上げようと思います。」という感想文を目にすることも多いですね。そういう気持ちは大事だと思います。そういうことばかりでなくて、周囲の人間が一緒に環境を考えることとか、今いろんな福祉用具がありまして、障害を持ってもいろんなこと諦めなくても済むんだよ。いろんなことがが出来るんだよ。今まで出来なかったことにチャレンジが出来るんだよ。というようなプラス面も教えていただきたいのです。そうした教育をしていただきますと考え方も変わるのではないかと思います。そういうところから「なにか発信」をと考えています。
うえるぱ高知さんが主催された高知福祉機器展には、福祉住環境コーディネーターや建築士、薬剤師などの福祉分野以外の人達も展示ブースや相談コーナーを出されていました。その狙いはどのようなところにあったのでしょうか?
福祉住環境コーディネーターである笹岡和泉さんも、下元さんと一緒に福祉機器展のスタッフとして運営に参加されていました。
1人の人が抱える問題は様々です。その方に限られた職種の支援者だけで、限られた専門職だけでは解決出来ないことが沢山あります。でも他の方の領域をある程度自分たちが知っておきませんと、繋ぐことすら出来ないと言うことになりますね。
 連携と言う言葉は今、福祉分野では盛んに今使われています。連携を実現するために大切なのは、お互いをよく知ることです。そのためにもう一歩進んだ繋がりを持つために、一緒にいろんなことを考えませんか。と言うことで、福祉機器展に参加いただきました。
 たしかに今まではそうですね。福祉は福祉だけの人達のつながりは強いものですね。行政もそうですし。建築は建築だけ。商業は商業だけ。どうしても分断されていますね。
 街づくりや、都市づくりの話をしていましても、商業は商業、福祉は福祉だけのまちづくりの話になりがちですね。
 そうですね。建築士の方とお話したときに、「どうしてこんなに使いづらい建物をなるのですか」と申し上げたときに、建築士の方が「障害者の方を知らない」と言われました。
 それは建築士の人が障害者の実態を知らないだけでなく、自分たちも建築士の人達との繋がりがないからこういうことになるのではないか。そう思いました。
その他、うえるぱ高知の活動についてご紹介をお願いします。うえるぱ通信なども発刊されているようなのですが・・
 一応目標は月1回の発行です。「情報発信誌」です。当事者の方ですとか、専門士の方がたとか、もの情報とかいろんな情報を発信しています。一応通信費がかかりますので、会員の方に限るということにしています。
下元佳子さん