人生の後始末の必要性について
 
 今週のゲストはNPO法人明日への絆副理事長の島本茂男さんです。島本さんは毎週金曜日は易者として、はりまや橋商店街にて人生相談や占いなどをされています。
 今日のテーマは「人生の後始末について」でお話をお聞きします。人は1人で生き、また生涯を1人で終えるわけではありません。必ず人の世話になっています。
「老後の不安」と言うものは漠然と誰もが思い浮かべています。その現実という ものはどのようなものなのでしょうか?
 老後の不安も色々あるのですが、体の具合が悪くなったり、病気になったりすることへの不安、つまり病への不安、呆けることへの不安、死んだら後、だれが面倒みてくれるのかという不安、もちろん死そのものへの恐怖と不安もあります。
 自分の体が動かなくなったとき、当然だれかの手を借りなければなりません。良い施設に入れるだろうか。家族はきちんと世話をしてくれるのだろうか。良いヘルパーさんや職員さんと出会えるだろうか。などなど不安があります。

 1人暮らしの場合には、具合が悪くなった場合、誰に連絡するか、すぐに来てくれるのか。という不安もあるでしょう。呆けた時の後の世話は誰がどのようにしてくれるのかということも大きな不安でしょう。


 1人暮らしの人には、突然の病気もそうですが、突然死した場合、だれが発見してくれるのかということも大きな不安もあるのではないかと思います。人それぞれですが軽いものから、深刻なものまで様々にあると思います。

島本茂男さん
NPO法人「明日への絆」は、定期的にセミナーもされているようですが、どのような内容のセミナーなのでしょうか?
 NPO明日への絆では、毎月1回市民の方にも参加してもらえる「絆の会」を開催しています。評判の良かったものは、五台山竹林寺で開催し、海老塚和尚に「縁によって生きる」と言うテーマで話していただいた会でした。今年の7月6日のことでした。
 そのほかには公証役場の公証人の人に来ていただきまして「遺言について」や後見人の問題、その多くは高齢社会に安心を築くことをテーマにしています。
 介護保険のスタートが2000年でした。同時に介護者が認知症になったときに「成年後見人制度」もスタートしました。この制度うまく機能しているのでしょうか?
 成年後見人制度は大切な制度ですが、まだ十分に知られていません。十分に機能しているとは言えないと思います。それはまず「呆けたらその時のことよ。なんとかならあや。後のことは知らんぞ」という楽観的とも言えますが、、無責任な考え方の人が多いことですね。
 契約してまでということに躊躇する人、少しお金がかかることを嫌う人いろいろです。趣旨を理解してもらい、制度を普及させることが安心のできる社会をつくる一つの方法であると思います。
人間だれも人の世話にならなくては生きてはいけない存在です。
 
 人生の後始末を他人に託す場合の心得などがありましたら、アドバイス下さい。
 人生の後始末を他人に託す場合、なにより大切なのはお互いの信頼関係です。お金や契約で人を縛り付けることは本当のところ出来ません。お互いの関係が確かなものとなり、受けた人が「やっちょらんと気がすまん」状態になるが一番です。
 会員の相談や、セミナーを開催された場合、多い相談事はどんなことなのでしょ うか?
 1人暮らしの方が多いので、いざと言う時の対処だったり、終の棲家の問題です。それ以外にも家族のトラブルや人間関係などの一般的な相談もあります。また伴侶を亡くした悲しみの相談もあります。
 いざと言う時の対処、終の棲家も1人1人の事情が違いますので、個人の事情に合わせてつめていかないといけません。
 人を癒す効果として昔から宗教の効用も言われていました。島本さんはそのあた りはどのように思われますか?
 宗教にも確かに人を癒す力はあるのでしょうが、自然との触れ合い、人との触れ合い、芸術、スポーツ、芸能などにも人を癒す力はあると思います。私も随分お笑い番組やドラマに癒されています。
 宗教には人を癒す力はあるのでしょうが、酔わせ、常識的な判断が出来なくなる力もあると思います。それが宗教活動に駆り立てるきっかけになっているのではないでしょうか。
 みなさんの周りにも宗教活動に没頭して熱心に入会を勧める人がいるかも知れません。善意で勧めてくれたり、相談にのってくれるのは良いかもしれませんが、この宗教に入らないと不幸になるとか、病気が治らないとか地獄に落ちるとか言われたり、あげくのはてには「あなたが入信しないと、わたしも不幸になる」と言われますとどうしようもなくなりますね。脅迫そのものですね。
 多くの宗教に関わる方々が宗教の持つ癒す力を使って、自らも生き、他人も癒してあげられるようであってほしいと思います。イエス・キリストは「汝の隣人を愛せ。仲良くしなさい。」と言っていますから、仲良くする道を見つけなければいけません。
島本茂男さん

 仏教においては全てのものは関わりあって存在しているのですから、より良い関係を築いていくことが大切です。日本古来の神道においては、全ての自然のなかに神が宿られているのですから、この世に生きることに感謝し、楽しく、美しく生きることに心を尽くしていけばいいのです。


 宗教は私たちに素晴らしい宝をあたえてくれますが、それを手に入れ、身につけるためにはその人の器の大きさと、大きくしていくための精進が必要だと思います。宗教活動以外でも素晴らしい人になってもらいたいと願っています。


 例えばイラクなどで自爆テロなどがありますね。死んだら天国へいけるという極端に過激な考え方もある宗教などもあるようなのですが・・。
 自分の宗教を絶対化させるということは、教団組織を拡大する時は良いのでしょうが、個人が教団組織へ入ってしまわなければならなくなるので、常識からはずれてしまいます。爆弾テロなど簡単にしてしまうようになります。
 どこまで行ってもやはり常識の中で行く部分がなければならないと思います。