電子・光システム工学とは何か?
今週のゲストは高知工科大学電子・光システム工学科助教授の野中弘二さんです。今日のテーマは「電子・光システム工学とはなにか?」です。研究分野は「生活・環境に貢献する光エレクトロニクス、通信システム」とのことなのですが、よく理解できません。
 電子と光のエレクトロ二クスを学んでいくようなのですが?どういった分野の学問なのでしょうか?
電子工学科というのは昔からありました。エレクトロニクスと言われるものですね。電子で皆さんが一番お世話になっているのは、LSI(大規模集積回路)だと思います。コンピュータだけでなく、携帯電話、テレビ、家電などもみんなLSIでコントロールされています。私の専門のほうの「光・エレクトロニクス」は、もう少し違う分野です。大きく別けて「見る」「送る」「調べる(計る)」という部分を電子よりも、より詳しくやります。
 例えば「見る」と言いますと「液晶のディスプレー」です。LEDの照明などもそうですね。

いわゆる日常生活に身近な部分で、液晶ディスプレー、パソコン、携帯電話をご紹介いただきました。

テレビも家電もそうと伺いました。またコンビニエンスストアのシステムにも関係あるように伺いましたが?


 そうですね。制御は先ほどのLSIでしています。信号を読み取る部分はレーザー光線でバーコードを読み取ります。これが「POSシステム」ですね。
野中さんの現在の研究分野はどのようなところでしょうか?携帯電話などに関連しているのでしょうか?
はい。携帯電話にも関係しています。今私の方は光のほうです。電波でやられているのが携帯電話です。わたしは光ファイバーと同じ速さで信号を無線で遅れないかと研究しています。光無線です。
 私もそのあたりはわかりません。さきほど光無線ということを言われました。光ファイバーが通信速度が速いと言われています。「光無線」というのは「飛んでいく」ということなのでしょうか?光フレッツのスポットなんて言われていますが、あれとまた違うのでしょうか?
光は先ほど言いました「見る」と「送る」「計る」の3つの大きな機能があります。「送る」という通信の部分で言いますと、光ファイバーでもわかりますように信号を送りますと物凄く早く送れます。ただし早いのですが、曲がれません。信号を無線に使うためには、いろいろと工夫しなければなりません。それを今一生懸命研究しています。
高度な研究課題だと思います。野中さんの研究室や、ゼミナールなんですが、学生たちは高校時代に学んだ知識でついていけるのでしょうか?
最終的なゴールはなかなか難しいかもしれません。まずは高校時代に物理が少し苦手であった学生でもなんとかなるように手順を追って教えています。「どうだ面白いだろう」という具合にです。
日本の「電子・光工学」の位置は世界ではどのあたりですか?アメリカ、欧州、中国、韓国、台湾の位置はどうなのでしょうか?
まず電子の代表技術であるLSIの技術は1980年代に日本は世界のトップに立ちました。その後にアメリカや台湾に追いつかれ、逆転されました。日本全体で自信喪失の時代が一時ありました。今は携帯用のLSIなどで巻き返しを図っている段階です。
電子部品などでは日本ならでは部分がかなりあります。高知にも「オンリーワン」の企業があります。一方光のほうは日本はもともと良い線をいっていました。立ち上げの頃から世界をリードしていた数少ない分野です。ただもっと上の先輩達が取り組んだ研究成果です。例えば光ファーバー通信、液晶ディスプレー、半導体レーザー、LEDなどです。
 でも最近液晶ディスプレーなどは、台湾などにかなり追い上げられています。競争の厳しい分野です。それでも世界のトップグループのなかに、光エレクトロニクスの分野はあると思います。
自動車以外に日本経済の景気を押し上げている分野が、デジタル家電とか、携帯電話、DVDとか言われています。その分野にも野中さんが研究されている「電子・光システム工学」が関係しているのですね。
私が直接関係しているわけではありません。光エレクトロニクスの分野では、プラズマディスプレーとか、DVDとか、液晶などはまさに日本が立ち上げの頃から頑張っていた技術です。但しそれは大学だけではなく、企業の研究者たちがかなり頑張って技術革新をしてきました。それがそのまま「産業で儲ける」ことが出来、うまく行った例であると思います。

ブロードバンド時代といわれていますが、どういうところで関係しているのでしょうか?
例えばADSLだ、CDMAのブロードバンドの携帯電話と言っています。アンテナや交換基地局のところから先は光ファイバー通信に置き換わろうとしてます。そのうち「ファイバー・ツーザ。ホーム」と言って家庭にもそれが届くでしょう。
ADSLが今は全盛のようですが、それが光にどんどん変わっていくのでしょうか?何年もたたないうちに変わる可能性があるのでしょうか?
そうですね。ADSLのユーザーも数が増えると、それをまとめた先は結局光になりますね。