イラク復興支援特別措置法の意義・目的は?
 
今週のゲストは前防衛庁長官で、衆議院議員の中谷元さんです。今日のテーマは「イラク復興支援特別措置法の意義・目的は?」です。中谷さんは衆議院にて「イラク人道復興並びに国際テロリズムの防止及びわが国の協力支援活動に関する特別委員会」の特別委員会の筆頭理事を努められていました。報道では反対、賛成の声が交錯し、今ひとつ法制定の意味が理解できません。また自衛隊はイラクでどのような活動をされるのでしょうか?また日本は国際社会でどのような評価を受けるのでしょうか?
 イラク復興特別支援法の成立に尽力されました。今一度その意義・目的を説明下さい。
今年の3月にイラクにて米英国による制裁が行われました、日本は武力行使を憲法で禁止されていますので、戦争には参加しません。長い国際社会からの経済制裁と、戦争後の復興支援に日本は力を尽くします。

自衛隊はイラクの復興支援に行くわけです。戦闘行為に行くわけではありません。交戦は憲法でも禁止されています。イラクは1991年の湾岸戦争以来、国際的な経済制裁も受けています。また長年継続した独裁政権による歪みもあります。経済復興支援のお手伝いをするわけですね

実際にイラクを視察されたそうですが、現地の様子はいかがでしたか?
  社会的に行政機能は回復し、復興している様子なのでしょうか?
イラクバクダッド市を視察する中谷元さん  

今年5月に南部に、8月にはバクダッド市内に行きました。50度を越す暑さでした。
 砂漠の真ん中にある都市でした。かつて日本が戦争に負けたとき食料意不足で困りました。しかしイラクを観察しますと食料は十分にありました。市内は米軍が管理し、厳戒態勢でした。それほど戦争の被害は目立ちません。政府や、軍関係の施設破壊されていました。バクダッド全体が破壊されたわけではありません。破壊された場所は市民生活には関係ありません。

(2003年8月バクダッド視察)

今一番の問題は就職口がないことですね。電力不足も深刻です。病院などでも電気がないた医療機器が動かないのが問題でした。子供や重傷患者の治療がままならない。やはり国際社会の支援が必要性です。長年の独裁政権の崩壊で、警察など行政機関が消滅しています。来年選挙で民主的に暫定政権機構が出来ますから、そのあたりも秩序回復するでしょう。長年の経済制裁で国民生活は逼迫してます。食料支援、医療支援などの人道支援も必要です。
心配しているのは日本国を代表して復興支援活動をされる自衛隊の人達の安全です。
  ニュースでは駐留している米英軍が襲撃され犠牲者も増加しているようですが?
  また現在何カ国の何人がイラク復興支援に来ているのでしょうか?
 日本は世界1安全な国です。イラクは現在は社会秩序が確立されていません。現在イラクは警察がいない状態です。歩道を車が走る。車が逆走する事態があります。わたし達は視察した期間では危険性は感じませんでした。
20カ国から復興支援に来ています。様々な復旧支援活動をしています。
 明治維新と敗戦が一緒に来た状態ですね。日本の場合敗戦で都市が焼け野が原になりましたが、行政機関はすべて残っていましたね。統治と秩序の維持は比較的簡単でした。
 イラクの場合はフセイン政権がすっきりなくなってしまったので、治安維持や行政機能が麻痺していることです。人材もいない状態ですね。独裁者がいなくなって国民には開放感がありますが、日常の生活が困っているのが問題でしょう。
 来年暫定政権を確立するための選挙が行われます。イラク人による民主的な政府です、そういう体制が確立すれば行政機構も徐々に安定するでしょう。
日本人はイスラム教の社会習慣とは無縁のイラクでは異教徒になります。社会教育は自衛隊の派遣部隊には十分にされていますか?習慣の誤解からイラク国民と敵対することにならないようにしていただきたいのですが。
当然現地に派遣され人道支援活動するためには、現地の習慣や言葉を学習しなければなりません。まして自衛隊は専守防衛が原則で国内訓練が主体です。人道支援活動を円滑に知るためには、50度の気候に適応するばかりでなく、現地の習慣も学習が必要です。
従来のPKO支援法やテロ対策法による海外での自衛隊の支援活動との違いはありますか?また自衛隊員の生命の危険度はどうなのでしょうか?
カンボジアPKO(UNTAC) ゴラン高原PKO(UNDOF)
基本的には変わりません。日本は武力行使をいたしませんので、戦闘はしません。それ以外の地域で後方支援や人道支援をします。戦争は終わっています。
イラク復興支援特別措置法は、時限立法なのでしょうか?期限は決められていますか?
4年間という限定でつくられました。
 実際にイラクに派遣される時期はいつなのでしょうか?来年ではないかと伺いましたが?
日本の自衛隊は現地の活動をスムーズにできるように、現地の事情に対応する必要があります。日本の自衛隊は専守防衛が目的でこしらえられています。支援活動にしましても50度の気候を想定していません。現地の言葉や社会習慣も勉強しなければなりません。周到な準備をして国際貢献活動をいたします。
自衛隊の派遣の場合は、社会基盤整備の支援が多いように思います。イラクの現状は  何が欠落しているのでしょうか?各国の駐留軍隊が治安を維持しながら、社会基盤整備事業を展開すれば、イラクはあと何年で復興できるめどがあるのでしょうか?
学校や産業おこしの支援も必要ですね。NGOの人達との協力も必要です。来年イラク人の人達による暫定政府が選挙で出来上がる予定です。そうなりますと急速に復興するでしょう。独裁政権による弊害、91年の湾岸戦争以来の経済制裁の影響もあります。多少の混乱はあるでしょうが、国際社会の支援で復旧するでしょう。
旧フセイン政権の残党、残存勢力はどうなっているのでしょうか?
  復興支援活動はイラク国民の支持を得ていますか?

 

散発的な衝突はあるようです。イラク国民は独裁政権の崩壊を喜んでいます。行政機構の建て直しは来年暫定政府の総選挙があります。それから本格的になるでしょう。
 国連の動きはどうなっていますか?今ひとつ動きが見えません。
今回開戦前国連で意見が分かれました。しかし終戦後は国連でもイラク復興支援の決議がされました。ドイツとフランスは戦争に反対しました。でも戦争が終われ、両国もば国連もイラク復興支援に動いています。世界の20ヶ国はすでに行かれています。日本のNGOの人達も産業起こしのお手伝い、地域支援を行われています。
今回のイラク支援での自衛隊派遣は断じて戦争に繋がるこおとはないのだといえますか?
日本人は戦争はこりごりなのです。戦争に繋がるおそれはありませねん。状況を見て危ない場合は、総理や防衛庁の判断で引き上げてくるという決断もします。