職業選択・就労のありかたについて
 今週のゲストは、独立行政法人雇用・能力開発機構高知センター企画部門長代理の中村美枝さんです。今日のテーマは「職業選択・就労のありかたについて」でお話を伺います。
 高知県は就労率が低く、特に15歳から24歳までの若者層が深刻です。行政や企業の助太刀も大事ではありますが、勤労者、学生の努力も必要です。
「1つの会社に定年まで勤務する」人は、少なくなったと思います。
遅れず」「休まず」「働かず」というかつてのサラリーマンの勤労観は変化したと思います。どのように変化しているのでしょうか?
 就業形態の多様化ではないでしょうか。終身雇用は、生活の安定性をもたらし、企業への忠誠心をはぐくむ反面、マンネリにもなりがちです。労働者個人がみずからのスキルアップを行い、企業として必要な人材となること、転職し得るスキルを確保することを意識する時代だということでしょうか。それと、コンピュータの普及によって、社会の流れが早くなってきています。
たしかに10年前に比べると格段と大変になってきていますね。
 サラリーマンの今の過酷な状況は、痛感されていると思います。ただ、人が減り残業が多くなっている中、毎日をこなすことが精一杯になっているのが実際のように思います。
 観察していますと、大企業ほど、「外部会社への業務委託」が進行しています。また「サービス残業が増加」し、労働環境が悪化し、劣悪化しているように言われていますが・・・
 外部への業務委託は、できる職務とできない職務があります。単価だけで、なんでもかんでも外部委託をしていると自社の人材が育たず、結局は、企業にとってマイナスをもたらすことにもなりかねません。たとえ、派遣社員であろうとも人材育成をすることが、企業全体の底上げにも通じると思います。実際にこれをやっているのがトヨタです。
 派遣の人に「こういうことが出来ていないよ」と紙をつけてお話をされるようです。それを見てその方が頑張ります。派遣社員の方も「自分のことを見ていただいているのだ」と頑張れるそうです。
中村美枝さん
 個人的には、サービス残業の増加があるように聞いています。私達が、それを容認すべきではありませんが、「残業代がただでもいいから、クビにしないでほしい」という声が労働者側からあがっているようです。
 一部では、景気悪化を理由に、便乗的にボーナスカットや給与カットがあるかもしれません。以前でしたら、辞めて新たな職場を探すことも選択肢としてあったと思いますが、今は、次がないということで我慢しているのではないでしょうか。しかし、それでは、社員のモチベーションが下がります。業績が厳しいのなら、ある程度まで財務を社員に公開し、社員の同意を得て、一緒に頑張る姿勢も事業主にほしいと思います。
 時代の流れで、派遣社員が増加しているようですが、勤労観に変化が現れるのでしょうか?
 派遣であっても継続雇用により3年まで働くことができます。また、1年以上の派遣であれば、職務履歴書にも記載できますので、1つの労働形態といえるのではないでしょうか。以前は女性は「M字型雇用形態」と言われていました。結婚、出産で退職して、子育てが終わってからまた就業する事例が往々にありました。
 ただ、数日間単位の労働であれば、アルバイトと大差なくなってしまいます。キャリアアップと程遠い存在ですね。

 派遣の場合ですが、派遣しやすい人とそうでない人がいるそうです。スキルはさることながら、本人の意欲や態度など派遣先は、シビアに見ています。厳しい言い方かもしれませんが、「一生懸命やっている」ということは、第3者からの言葉として貰いたいものです。
 派遣だから「時間だけ居ればいいんだ」ではなくて、その人がそこに居るだけで雰囲気が明るいとか、そういうところは必要ではないかと思いますね。

 学生が就労選択をする場合、学校の進路指導、ジョブカフェ、ハローワーク、雇用・ 能力開発機構の上手な活用の仕方についてアドバイスをお願いします。
 まずは、気軽に足を運んでくださいということです。行きやすいところで結構です。進路指導室へ行きにくかったら、ジョブ・カフェでもかまいません。あるいは雇用・能力開発機構でも構わないのです。

 職業・能力開発機構では、職業興味検査を実施しています。自分が興味のある分野を見つけることも1つの手です。職業興味検査は早い時期にやることが大事です。
 皆さんは「自分が興味を持っている」「適正だ」と思っていますが、逆なのですよ。
 「全く向いていない」「全く興味が持てない」ものを排除するのですね。少しでも興味のある分野を見つけることが、まずは仕事を探す場合の一つの手段になると思います。
 そして面接のしかたのアドバイスもしています。自分ではこれでいいかなと思いましても、おじさんの目で見たら違うと言うこともあります。少し就職とか動きを出す前にやってみたらどうでしょうか?
 何か技術を身に付けたい方には、若年者向けの職業訓練もあります。
もし、決まってなければ、ちょっとのぞいてください。
面接の受け方、履歴書の書き方や、各種の的確なアドバイスを受けることが出来ます。
 また、2月2日には、カルポートで、今春、及び来春の卒業生を対象とした就職面接会を開催します。就職の決まっていない学生は、ラストチャンスを有効に活用してください。
 卒業して、すぐ仕事がないとフリーターになる確率が高くなるそうです。なってしまえば、なかなか時間帯とかで、自由に暮らしてしまいますと、「拘束されるのが嫌だ」という気持ちもでてきます。
 卒業時にもし就職が決まっていなければ、若年者向けの職業訓練も行っています。「何か技術を身につけたい」というふうに考える方は、高知センターにお問い合わせください。テキスト代のほうは出していただいていますが、受講料は無料です。
 学校で出てからとか、いい加減な年になってから仕事をしようと思っても、遅いということが学識経験者からも言われています。
 場合によっては、小学生のときから。言葉を素直に理解できる若い人。仕事に対する
啓蒙を出来ればということで、本年度から京都のほうに機構では「私の仕事館」というものをつくっています。
 仕事館のほうでは、いろんな職業の詳しい内容や、あるいは職業体験が出来るようになっています。高知県のほうでは、佐川中学や追手前高校のほうが、立ち寄っていただきました。

 小学中学の修学旅行のときに立ち寄るなど、先生方も考慮いただければと思います。
「わたしの仕事館」の体験コーナーの様子です。
就労教育は小学校からでしょうか。そうなりますと村上龍の「13歳からのハローワーク」の世界になりますね。
 そこまでいかなくても、「働かなければ生きていけない」というのを意識的に考えていただかないといけないですね。
 今の時代スーパーやコンビニで物を言わなくて無言で買い物が出来ますね。
昔はお豆腐ひとつ買い物をするのも、つくる姿を見ていました。八百屋さんはどのような仕事をしているかわかりました。
 やはりそういうことがありませんと、「お金を出せばいい」とか無言でかごに入れるとか。そういうところが問題ではないかと私は思います。
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