ねこの話がわかるイヌと イヌの話がわかるネコ について
 今週のゲストは、ジョブカフェこうちのセンター長の竹内隆志さんとスタッフの皆様であります松木瑞恵さん。高鴨美和さん、大利忍さん、堅田典子さんに来ていただきました。また香川県からキャリアコンサルタントの小亀重喜さんにも来ていただきました。小亀さんの同級生で同じくキャリアコンサルタントである石井秀臣さんにも来ていただいています。。
 今日のテーマは「ねこの話がわかるイヌと イヌの話がわかるネコ」についてお話を伺います。小亀さんはその題名の絵本の作者でもあります。小亀さんに伺います。丸亀市の四国ポリテクカレッジのキャリアコンサルタント養成
講座の第一期生と伺いました。もともと企業にて従業員の能力開発と労務管理も担当されていたどうなのですが、キャリアコンサルタントは、従来の労務管理・能力開発と異なる部分はどういうところなのですか?
小亀重喜さんの著作です。
小亀 実は私従来の「従業員の能力開発と労務管理」というというものが、さっぱりわかってはいません。だから恥ずかしげもなく、絵本が作れたのではないかと思います。
 ただ直感的には従来の能力開発うんぬんというのは、「首に縄をつけて引っ張っていく。そんな感じがします。それに対してキャリアコンサルタントというのは、従業員さんの後ろにいて、一歩踏み出す際に、前進しやすい際に肩を叩いてあげる。
 最近あまり使われすぎている言葉ですが、キャリアコンサルタントの大前提として「自己責任」「自己決断」があります。個人が自分自身で進路を決断する場合の「補助者」がキャリアコンサルタントです。
 それがお仕事ではないかと思います。
 ただ私自身が「コンサルタント」と言う言葉が、「先生」みたいな感じがしまして、あまり好きではありません。自分自身は「キャリアサポーター」であると思います。従来の労務管理、能力開発というのは「他者責任」「会社の責任で持って決める。」というのが、ひょっとすると根底にあったのではないかと思います。
 そのあたりが大きな差異、違いではないかと思います。
小亀さんは「人事と労務関係の講義内容は難解。一読だけでは理解できない。」と言われています。どういうところが難しいのでしょうか?用語ですか、表現方法なので
しょうか?
小亀 これも難しいですね。どこが難しいのか明快お伝えできないところが、そもそも難しいと思っています。キャリアコンサルタントの養成講座のほうは、約半年間、120時間の講義がございました。それこそ今日の社会情勢の理解から、コンサルティング、カウンセリングの修得ということもありました。
 私の頭は恥ずかしながら、4回目の講義ぐらいで、「沸騰」しておりました。ここにテキストもありますが、見ていただいたらわかるように、非常に深い内容なのですが、皆さん見ただけで嫌になると思います。
 実際に物事に取り組む場合は「手段の目的化」が起こりがちです。何のために勉強するのか、それが一番大事なのに、一手段である試験を突破することが目的に摩り替わってしまう。講座を受講しにようわからんぞということがありまして、そんな不安を拭い去ることが実を言えば一番難しかったのでした。
 そんな風に思っています。
「ねこの話がわかるイヌと、イヌの話しがわかるネコ」という絵本を構想し、最初は自費出版されたそうですね。経営者と従業員がイヌとネコで通じない言葉を話して、反発ばかりしていました。労務担当のねずみがお互いの言葉が通じる翻訳機をもってきて両者がつけると相手の考えることが理解でき仲直りした。やがて翻訳機がなくて  も意志が通じるようになった。というお話ですが・・・。
この場合の「翻訳機」がキャリアコンサルタントの役割なのでしょうか?
小亀重喜さん

小亀 ねずみが、犬とネコの同じ社内にいるかどうか。その点が実は微妙ではあります。翻訳機だけではなくて、ねずみさんそのものが、キャリアコンサルタントである。というつもりで書きました。


 キャリアコンサルタントができる労務担当者が社内にいましたら、ベストではないかと思います。実はキャリアコンサルタント講座では、被雇用者、雇われる側へのアプローチが主でありました。私自身は自己理解しなければいけないのは、会社のほうも同じではないかと思いました。経営者も雇用者も同じであると思います。企業側にそれに答える意志が泣ければ能力開発などは実現できるはずはありません。

 キャリヤコンサルタントは雇用者、企業のどちらにもおもねることなく、両者の共通点をリファインして、ミスマッチを解消することが役割ではないかと思います。ですからねずみさんを出来るだけ「ニュートラル」な立場に登場させました。犬とネコ双方が自分の欠点に気がつかないとき、ねずみが取り出した手鏡、これは自分自身をつめ直すツール「キャリアシート」として捉えていただいても結構です。
 また言葉の翻訳機「わんにゃんインカム」です。これは雇用者、非雇用者双方に合意された能力開発であるとか、職務文書規定とか、決済規定などを含んだ企業ごとのシステムを表しているのかもしれません。ねずみさんが取り出した道具、それらがなくては犬とネコはどうなったのでしょうか?
絵本を読んだ皆さんが、ねずみさんが果たした役割を「必要だ」と感じてくだされば、たぶんキャリアコンサルタントの社会的な認知度も高まるのではないかと思います。
相手の立場や考え方を思いやる、理解できる能力はどのような訓練で身につくのでし  ょうか?それは「コミュニケーション能力」と言われているものなのでしょうか?
小亀 非常に難しい質問ですね。実際にこれといった必殺技はないのです。ただわからないと感じたときに、素直に「わからない」と伝える。これが簡単なようで、実生活ではなかなか出来ないことです。実はこれが一番の近道かもしれません。わからないのにすーと「聞きそう」してしまう。相手もわかったつもりで、どんどんどんどんギャップが広がってしまいます。そんな経験があると思います。
 「わかる」という言葉をパソコンで検索しますと、いくつかの変換の漢字が出てきます。
分別の分「分ける」という字。判断の判。の判る。それから理解するの「解」という字も出てきます。それぞれ意味が違いますね。例えば「話のわかる上司」という場合、それぞれの漢字を当てはめた時に、実はわかるのすべての3文字がわかっていないと「コミュニケーション能力」とあると言えないと思います。
 難しいので、すぐに身につく能力ではありません。そのようなところが答えになろうかと思います。
 事業者側と、若い社会人や学生などの間は、更に「世代間格差」もあり、言葉が通じないのではないのでしょうか?外国人と話す感覚、覚悟を持ってコミュニケーションを図らなければならないのでしょうか?
小亀 ですから同じ日本人同士、香川県人同士とか、高知県人同士だから通じると思っているんですね。絵本で書きましたとうり、犬とネコ、同じ哺乳類ですが、それくらいの差が実はあるのですね。言葉が通じると言って話しをするよりも、通じないものだと言う前提で話しをされたほうが、ハッピーではないかと。