NPOであることの意義と効果 地域社会とのかかわり、位置づけ キャリア支援について
 
 今週はキャリア・コンサルタント協会の事務局長の竹内隆志さん、社会保険労務士・就職相談員 藤中 義史さんに来ていただいています。今日のテーマは「NPOであることの意義と地域社会とのかかわり、位置づけ、キャリア支援について」でお話を伺いします。
このキャリアコンサルタント協会をNPO法人として認証を申請されていると言うことですが、それはどういうところに意図があるのですか?
人材派遣会社のように有限会社とか株式会社にしなかったのは何か理由があるのですか?
はい。NPO法人にしたのは、我々の目指す活動からして公共的な第三者的な団体 として、このNPO法人のスタイルがいちばんふさわしいと思ったからです。
NPOは、資金的に0円であっても志を同じくする人が10人以上いれば設立でき ます。反面、活動の意義、目的がより厳格に問われてくる団体ともいえます。
竹内隆志さん
会社ならオーナーの意向がかなり強く反映されますが、NPOでは参加される方の入会等に際し公平であることや、一定数の親族が役員になることを禁止されていますが、そもそも公共的な活動内容とは例えばどういうことでしょうか?

キャリアコンサルティングと言う言葉はまだまだ一般的にはなじみが薄いでしょう。
キャリアと言う言葉も最近よく使われていますが、じゃ正確にその定義がいえる とか、本当に意味を使い分けている人も少ないというのも事実ですね。


ちなみにキャリアとは、生涯において個人が占める一連の立場とか職業の経歴と か遍歴。またスーパーという方の定義では、人生のある年齢や場面の様々な役割 の組み合わせのことをいったりします。
こういうふうにいっても、なかなか言葉だけでは理解しにくいですよねー。
だからこそ、昨日の話しにもありましたが、まずキャリア、職業としてのキャリ アを形成することの重要性とか、キャリアコンサルティングとかを色んな方に色 んな機会にまず知ってもらうことが大事なんです。
そのためには、たんに我々が相談業務やコンサルタントの依頼の仕事だけをこなしていくことだけではなしに普及啓発活動やセミナー、イベント等の開催とか、キャリアコンサルティングをもっと支援するための政策提言とか、情報交換とかの交流事業なども平行してやっていく必要があるのですね。

NPO法の動きも関係があったのでしょうか?
高知県のNPO課管轄だけでもいま100近くの団体が認証を受けたり、いま受けようとして申請中とのことですが・・・
ええ、本年4月の施行により新しい分野として「職業能力の開発又は雇用機会の 拡充を支援する活動」なヌが追加されたことも、追い風にはなっています。
厚生労働省のほうもこの厳しい雇用失業情勢の中で、労働者の方のキャリア支援 に対する専門家の養成などの人的支援や職業訓練の計画づくりや訓練実施などや キャリアコンサルティングの相談業務に対して様々な助成金を設けたりと、とに かく自ら進んでキャリアを高めてもらうように豊富なメニューを設けていますね。
NPOも高知県でも毎年確実に増え続け、私も5つほどの団体の設立に関与して いますが今回のテーマによる団体の設立は四国内でも全国的にも特にユニークだ と思います。
キャリアコンサルタント協会がNPOとして存在する意義としてはどのようなことが上げられますか?
私どもの協会では、たんに営利を追求するのではなくて、それはもちろんですが特定非営利活動を主体とする公益法人として、キャリアコンサルタントの専門能 力を一定の審査基準で認定して、より適切な専門家の派遣やあっせんなどを行う ことも使命であり,地域社会にとっても社会資源であることが存在意義となります。
こういう相談業務とかは誰がやっても同じではないのですか?
私がずっと前に失業した時に行ったハローワークなどでは特に専門的な違いというのは感じなかったのですが。
相談をされたい人、ここではクライエントと呼びますが。クライエントにとって相談に対応してもらう相手の方の資質は何より運命を左右すると言っても過言では無いでしょう。
本当にスキルを持った、キャリアのナビゲーターとしてフィールド経験豊かな専門家の適切で有効なアドバイスいかんで、その方の人生の航路をも左右するからです。
もちろん羅針盤を握るのはクライエントですが、その時にうまくコンパスや定規の当て方を教えるのが、我々キャリアコンサルタントの使命すなわちミッションなのです。
なるほど。適切な助言者による相談業務の他にどういった事業活動が公益的だといえますか?
   
訓練計画についても一定のカリキュラムに沿って実施してもらうよう協会がその 基準を定め標準カリキュラムを提示する予定です。県内の企業ではなかなか専任 の人材を配置したりできる余裕がありませんし、ノウハウもありませんから必ず やお役に立てると思います。
さらには計画立案の際の助言やコーディネートも必要でしょうね。
他の支援機関が行っているように、支援する人数がある程度確保されていれば良いようにも思えるのですが。
そうした助言を行う人をと考えた時に、たんに人生経験が豊かであるだけではなく、キャリアやメンタルヘルスに関する豊富な専門知識やカウンセリング技能 は重要です。
ITスキルを活かし24時間いつでもどこからでもクライエントの悩みに耳を傾ける事ができる意欲と能力を持ち電子メールを活用でき、相談業務に幅ひろく対応できるサポートなど、そのサービスの質自体が、クライエントの範囲を今の若者や大学生まで含めたときに、その要請にいかに応えるかが決め手になってくるでしょうね。
なるほど。公益的団体としてかなり高度で専門的なスキルを持つ専門家が養成、登録されようとしているのはわかりましたが、地域社会への貢献といった部分ではどんな強みが上げられますか?
従来ともすれば企業ベースでは採算に合わないといって切り捨てられてきた障害者等の雇用の問題、今日では青少年、中高年の問題もとりわけ重要ですが。
これらの方々の就職斡旋なども行政や関係機関と協働して歩調を合わせてNPO 法人が一体的に取り組むことにより、健全な雇用環境の創出と社会経済への貢献をはかり、公益の増進に寄与することも実現の可能性としては、より高まって
くるというわけです。これは私的な一企業のスタイルだけですと、限界がありますのでまず不可能だと いうことですね。
その中で協会の位置づけや、プロである皆さん方は、そこではどういう存在になりますか?
行政と民間との橋渡しの役目が我々NPO法人キャリアコンサルタント協会で あるといえます。
クライエントと仕事との橋渡しとしての役割が、カウンセラーであり、なおかつ コンサルタントである我々専門家自身の位置づけになると思います。
皆さん方の役割、社会的ニーズの中でNPOとして活動される意図がわかったように思います。
今日は,NPOキャリアコンサルタント協会事務局長竹内さんにお話を伺いました。
どうもありがとうございました。続いてはキャリア支援に関して、同じく協会監事の藤中さんにお話を伺います。
藤中義史さん
様々な相談を受け付けて
 キャリア支援活動について
Q1.これまでにキャリアコンサルタント協会の設立趣旨やその必要性などについて伺ってきましたが、その事業の一つとして「キャリアコンサルティング」事業を行うということですが、その事業を必要とする社会的状況を伺いたいのですが。
これまで右肩上がりの経済成長と年功序列・終身雇用制度に守られ、企業内でのキャリアがあれば仕事ができましたが、これからは成果主義、実力・能力主義と就業者にとっては雇用制度が不安定な状況に入り、転職が頻繁に行なわれる事と思います。
そのためにも、常日頃からオールマイティーなキャリアを備え、転職後も即戦力として力を発揮でき、離職も苦にならない体制を自分自身で整えておくことが必要だと思います。
Q2.そこで、キャリアコンサルタント協会の出番と言うことですね。
 
そうです。求職者が目指す企業を求めて、自分が何が適職か、どのようなキャリアが必要か等を気軽に相談していただける窓口として支援していきたいと思っています。
Q3.ところで、この番組は若いリスナーが多いのですが、若年層の就職状況の現状はどうですか?
そうですね、今の経済状況を反映して、平成14年度学卒の就職状況は大変厳しかったことはマスコミ等で報道され、ご存じのことと思います。
また、就職はしたけれど、すぐ離職してしまっていることが多いです
Q4.若年層の失業率が高いと聞きますが、現状はどうですか?
そうですね。高知県の全体の失業率が5%強の状態で推移しているのに対して、若年層の失業率は18%前後で非常に高い状況です。
5.全国的に見て如何ですか?
ワースト上位に位置しています。
Q6.失業率の高い原因にはどのようなことが考えられますか?
いろいろ原因はあると思いますが、一つには雇用の受け皿が少ない、次に就労者の従事業務に対しての理想と現実とのギャップが大きく、ついていけなく容易に離職をしてしまっているのではと思います。
Q7.若年層の就職率をアップするための対策としては・・・・
労働関係行政機関としても、いろいろな対策をとり就職率アップに努めています。また、15年度からは高知県教育委員会の方でも高校の方へ就職アドバイザーを派遣して労働行政機関とタイアップして就職率アップに努めています。
その後方支援としても当協会が各関係機関と協力、相談しながら対応していけるものと考えています。
Q8.どのような支援施策を考えているのですか?
先ほどもお話しましたが、若年層に限らず、離職した経緯を聞きますと、理想した仕事と現実と違っていた・キャリア不足・自分の個性を考えず安易に就職等により、長続きせず離職してしまっているような状況が多く見受けられます。

そこで、当協会としても、職種選びや就職後の職務に対するミスマッチをできるだけ解消できるよう、自分の適性を知る・キャリアアップに向けての対応策等について相談・支援して行きたいと思います。

Q9.離職者がキャリアアップをめざし、また、新たにキャリアアップを身に付けるために職業訓練を受講し、新たな職場へ就職していっていると思いますが、訓練後の就職状況はいかがですか?
私が就職相談担当としてお世話になっている機関の事例で申し上げますと、今後の目標をしっかり持って訓練を受講している方は早期に就職あるいは修了後早い時期に就職が決まっていますが、そうでない方は就職までに至っていないのが現状です。
それに受講期間が3ヶ月から6ヶ月と短期間ですから技術系の訓練ですと未経験からの訓練受講では自分なりの努力が必要だと思いますね。
それと、訓練科目を選択されるにあたっても、十分納得したうえで、自分の適性にあった訓練科目を受講した方が良いと思います。
そのためにも「キャリアコンサルティング」を活用していただければ、再三言うようですが、職種選びや就職後の職務に対するミスマッチを解消し、自分の適性を知る・キャリアアップに向けて役立つのではないかと思います。

今日は若年層を中心に就職・離職の現状と就職へ向けての支援施策等についてお話を伺いました。どうもありがとうございました。