"もったいない心を大切に”
 今週のゲストは播磨屋橋めろでぃプロジューサーである桑名真紀さんです。桑名さんは播屋橋商店街のお店以外に筆山公園前に布工房めろでいやギャラリー自由広場も経営されています。本山町にも巳よし乃庵も経営されています。
 今日のテーマは「もったいない心を大切に」でお話をお聞きします。和服の布地などを販売されておられます。その関係でのリフォーム・リメークの製造・卸をされています。ご商売のなかからお気づきになったことがあるのでしょうか?

 私の仕事ですが、さきほど「和服のリフォーム・リメーク」と言うことを言われました。これを始めましてもう30年になります。その間高度成長や、大量生産の時代、いろいろそういう時代を経て、今ようやく「時代に合ってきた」と思います。


 今自分お足元が、足元にある和服と言う日本の文化が・・・。皆さん捨てたんですけれども。そのことが評価されるようになりまして、成立しているのが現状です。

桑名真紀さん
 私事ですが、昔祖母が元気な頃(昭和40年代初め)でしたか、和装でした。着物を洗濯して、ばらばらにし、庭に紐を引っ張って干していました。最近は殆どそういう風景をみたことがありません。和服には無駄な部位がないのでしょうか?
 そうですね。本当にそうなんですよ。着物、和服と言いますのは、1枚の布になってしまいます。和服を解きますと。リフォーム、リメークはもちろん可能です。そういうことが最初から予定されている衣服なのですね。
 だから昔の人にとっては。女性の仕事としては、すごく大事な仕事でした。今は見かけることは殆どなくなりましたが。私どもは今それを仕事としています。
「もったいない」という言葉は、何かで読みましたが、今や国際語になるようです。環境保全、リサイクル、リユースを包括した素晴らしい言葉であるということです。桑名さんがこだわられる理由はどういうところなのでしょうか?
 私はそれほどの意味はなくて、やはり口癖になっていまして、捨ててはいかん。大事にしなければいかん。もったいないと言うことを朝から晩まで行っていました。本当にお店の名前も「もったいない」にしようかと思ったほどでした。これがテーマにもなっていますので。
 今、私64歳ですが、この歳になりますとこのことが通るかなと思いまして、今まではしょっちゅう非難されていましてけれど、大きな声で言うようにしています。私の仕事の一番肝心なところですね。「着物を捨てないで」というのをとりあえず言いたいのです。
めろでぃではアンテークな,大正時代や昭和の始めの頃の着物も展示されているようなのですが・・。狙いはどんなところにあるのでしょうか?
 これも全然着物を売る気はなくて、皆さんが着なくなった着物を原料として、マテリアルとして、新しいものを創るというのがうちの仕事です。この何年間古いものを着ようという若い人の志向、何ていうのでしょうか、古着、洋服の本もそうですが、なんていうのでしょうか流行っているのですね。今にないものを評価しだしたのではないでしょうか?
 うちが材料として解こうとしている着物を、そのまま着たい。と言う人が増えて来たのです。それは私にとりましては一番ありがたいことです。着物として着ていただければこんなに言いことはない。着ないから、捨てようとしていたから解こうとしていただけです。着て下さるのなら何よりも嬉しいことです。ちょっと売ってみよう。
 はりまや橋商店街で今、若い人がどんどん古い着物を買いに来てくださるのですね。私自身がびっくりしています。
布工房めろでぃでは.、いろんなものが着物から創られています。
 写真で見ましたが、県の地域支援元気応援団の隅田紀子さん松岡好江さんが着物を着ておられました。母に写真を見せますと、「これは大正時代か昭和の初めの着物」と言っていましたが。
県地域応援団の隅田紀子さん。
同じく松岡好江さん
 昭和の初めの着物です。殆ど昭和の初めか、良い物であれば大正時代。絹とか自然の素材ですので。それより古い何百年前というものは保管状態が良くありませんと保存できませんね。
 これは一般の家庭で眠っていたものが、ウエスとして出される。それをうちなんかは材料として買います。それを加工して他のものにしています。着物を見ただけで若い子が「可愛い」とか言い出しまして、大人は皆捨てたから、評価はしていませんでした。ところが着せてみますと可愛いし、上手に結構自分達のものにしていますね。じゃあ売ろうと。
 値段は凄く安いです。その着物なんかも千円単位です。それが洋服と同じで、リユースといいますか、ただビンテージものになりますとそれはもちろん着物でも高価です。一般的な古着ですと千円、二千円の世界ですね。
 それであれば若い人たちにも手が出ますね。ただ、値段が手ごろで買うことが出来ましても、若い人たちは着付けと言いますか、着物を1人では着れないのではないでしょうか?
 そうですね。それが「ネック」なのです。そこで商店街がなんとかしよう。商店街の谷ひろ子さんや女性達に着付けをマスターしてもらおうと。

 それが出来れば良いですね。着付けは難しいでしょうし。
 本当は親が子どもに教えるものですね。家庭の中で。親がまず着ていませんので。

 私が小学校へ入学する前後は、母なども普段に着物を着ておりました。
 
 着物は単なる衣服ではありません。日本人の文化や美意識をいろんなものが集約されたものですので。今ちょうど若い人が顔をこちらへ向けてくれています。最後のチャンスかもしれませんので、そのときにすかさず着せて、その良さを味あわそうと。そうしないと伝わらないのですね。だから着付けが難しいのと、着てみると動きが制約されるし。それでも着物を着たいとなってほしいのです。めんどくさいけれども着るだけの値打ちはある。それを子ども達で試してみましたら、みなさんレディになりました。自分の気持ちの変化は本人もびっくりしたようです。
 着せたほうも感動しましたし。着た方も自分が「大和なでしこ」になったことが意外だったらしくて。こういう機会を町内会や商店街がつくっていけば、おばさんが出る幕があるのですけれども。
 桑名さんは「今風のファッションの流行を追うのではなく、しっかりした着物文化を担う」と言われていました。高知では「ほにや」などが県外などで展開しています。考え方は異なるのでしょうか?
 そうですね。考え方は同じであると思います。ほにやさんの活躍はありがたいことです。自慢にしています。着物を解いて、リフォーム、リメークしていますのは、私の言う「もったいない」で趣味の世界なのですね。ほにやさんの場合は企業として、きちんと、大量生産・販売して大手に出されていますし。
 それはどこが違います
 それはどこが違いますかと言いますと、私の場合は皆さまが捨てたものを集めて形にしています。ほにやさんは、着物の一番の魅力である柄、日本独特の柄です。着物は形は皆同じです。柄によって個性や魅力を出しています。柄があります。職人さんが高い技術でこしらえてた柄があります。ほにやさんはそれを今の生地に写しています。だから大量生産も、計画生産もできます。日本の良いところを仕事に出来るのです。
 私は「もったいない」ばかりで、端まで捨てないように、全部「成仏」させますようにそういうレベルです。大きくは違います。若い人が「和の柄の魅力」を認めてくださった。それを仕事にしているということ。とても嬉しいことです。
布工房めろでぃでは着物が多用な用途にて「再生」されています。
 日本人と着物はどのような繋がりを持つべきなのでしょうか?「もったいない心」を着物を着ることによりどう自覚するものなのでしょうか?
 この番組へ出演いただきました中国出身の蕭紅燕(ショウコウエン)さんも和装をされていますね。
 常時来ていらっしゃいます。あの方には私はびっくりしたのですが、「着物ぐらい素敵なものはない。」と言われて着ておられます。買い求めておられますし。良い方法、古着とかも取り入れておられます。
 とても楽そうに。日本人よりもっと日本人的に着ておられます。日本人がかえって下手ですね。蕭紅燕(ショウコウエン)さんはずっと自然に着ていますね。
 大学でも毎日着ておられますね。 蕭紅燕(ショウコウエン)さん

 ありがたいことですね。

 また洋服などはアジア諸国からどんどん入っています。着物はそのあたりはどうなっているのでしょうか?

 古着といいましても着物は昭和の初期、ぎりぎり大正時代のものですね。その頃の時代の着物は素敵ですね。アジアとは全然違いますね.日本独特の芸術性がありますし。
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