本当のところ、大学はどんなところなのか?
今週のゲストは高知大学人文学部助教授の石筒覚さんです。今日のテーマは「時代の変化と世代間ギャップ」」です。高知大学人文学部3回生の広末かおりさん、1回生の橋本若知(あきな)さんにも来ていただきました。今日のテーマは「本当のところ、大学はどんなところなのか?」です。高知大学は、高知医科大学と統合し、今年4月からは法人化されました。具体的には、なにか変化はありましたか?
石筒 今はスタッフも同じですし、仕事をする場所も同じですので、目に見えた形での変化は、あまりありません。しかし、内部の組織の変化や予算の削減など、今後は目に見える形でも変化は現れるだろうと思います。
 ただ、それよりも教育現場では、学生の意識の変化がここ数年で大きく変化してきた感じがします。以前のように大学に来てただ遊ぶんだという学生は減ってきました。
 かといって、勉強をバリバリするんだというわけではないですが、「何かしたい「なにかしなければいけない」と思っている学生はかなり増えてきています。
大学のゼミの風景(写真は高知大学石筒さんより提供されました。)
 それはどういうことなのでしょうか?入学されたばかりの橋本さんに伺います。高校時代と大学時代では意識の変化はありましたか?
橋本 まだ入学したばかりで、大学のことがわからなくて不安です。将来のこととかが不安です。 橋本若知さん
 広末さんは3回生です。就職のことなども意識しながらの学生生活なのでしょうか?
わたしらのころは、「大学は遊ぶところ」という意識がありました。今の学生さんはばりばり勉強されているのでしょうか?
広末 勉強をばりばりするというわけではありません。高校時代と違いまして、自由な時間が放課後にあります。その時間をなんかしないと、活用しないともったいないと思います。自分のスキルアップなどに活用しなければとも思います。
石筒 学生にこんな話しをします。大学で講義そのものを受ける時間は年間約500時間程度です。1年間は全体で8700時間あります。単純計算しますと授業を聞いている時間は5%程度です。その反面社会人は20〜30%は働いています。そうしますと社会で問われるのは残りの5%以外をどう活用したのか。それがものすごく大事ではないかと思います。
大学側が指導してやれものではないでしょう。学生側は自発的に自覚し、実行すべきものでしょうが、なにか「動機づけ」がないと難しいのではないでしょうか?
なにかメニューを石筒さんのほうで提示されるのでしょうか?
石筒 いろんな取り組みはあります。自発的にもやっています。以前この番組ゲストにこられた宮脇さんや、津野さんのリンクという喫茶店を運営する活動とか。非常に多くの学生から自発的に出てきています。それをどうわたし達がサポートするか、いろいろ試行錯誤しています。
 
広末さんに伺います。自由な時間の活用法について、なにかされていますでしょうか?
広末 S・O・Sという大学公認組織があります。そこでパソコンを活用してボランティアをしています。いろんな地域に行きましてパソコンを教えたりしています。他の学生と一緒に活動をしています。 広末かおりさん
橋本さんはサークルなどのはいられましたか?
橋本 まだ決めていません。午後から授業がないので、なにか入りたいと思っています。
不安の原因については、親の側にも、学生側にもあると思います。経済情勢の悪化とか、社会の変化とかいろいろ考えられますが、どういうところにあると考えられますか?
石筒 わたしは経済政策を担当しています。そこから考えてみますに、昨日もお話しました。
経済環境の変化。これはあります。大学でもたた単位を取って卒業すれば、社会は受け入れてくれるだろう。と楽観的に考える学生はいなくなりました。
 よくよく話しを聞きますと、家庭の収入がこれまでのように右肩上がりで増えていない。友人の親がリストラされて、大学へ友人が行けなくなったなんかの話しを耳にしています。そうしますと自分のことではないにしても、昨日もお話しましたが、気づいたらバブルが崩壊しているなかで、「無意識に」そのなかで生きるすべを取得しようとしています。

スタジオ収録の様子です。広末さんのお父さんは41歳。橋本さんは44歳とか。

それでも「世代間格差」はあると言います。

高知シティFMのAスタジオ
 学生の場合は自由な時間を「無意識のうちに」活用しようという兆候、具体的な行動に現れているのでしょうか?
石筒 漠然とした不安を多くの学生は抱いています。それには「先が見えない」「道が見えない」「親が言っていることは本当に正しいのか」といった不安もあります。いわば暗闇のなかを歩いている状態かもしれません。
 いろいろな経験をしたいという意識はあります。自発的に増えて来ています。それに対し大学はなんらかの対応をしていかなければならないだろうと思います。そのあたりは難しく従来のやり方だけでは対応が出来ません。そういうことも多いので、外部の人達の協力も必要です。
 例えば「インターンシップをやればどうか」などですね。それを含めて模索をしています。
ある人材派遣会社などは、1年ぐらい学生を企業に派遣しています。「お試し期間が」1年もあるわけですが、定着率が80%だとのことです。そういう傾向はどう思われますか?
石筒 インターンシップも大きく2つに分かれています。「就業体験型」これは企業に入って実際に勤務し体験する従来型のインターンシップです。もう一つは「企画実践型・プロジェクト型インターンシップ」があります。一つのプロジェクトを企業の人と一緒にやってみようと言うことです。直接関係ないかもしれませんが、そのなかで「自分に合っている。地元に残ろう」と職業が自分に合っていると気づく学生も多いですね。
 インターンシップも変化しています。変化を起した要因も学生が「もっと違った体験をして考えてみたい。行動してみたい」と思ったことから始まっています。