東洋町のあるもの探し
 
西村 今月のゲストは、沢山保太郎東洋町長です。友人で市民オンブズマン高知代表の窪則光さんもお話に加わっていただきます。4月22日の東洋町長選挙で有権者の70%を超える支持を受けられ当選されました。国の強引な文献調査の推進に対して東洋町民の民意を示したとして全国から賞賛されています。
今回のテーマは「東洋町のあるもの探し」です。
 東洋町のまちづくりの人材について。東洋町が好きで「明るく」「前向き」な町内の人たちに集っていただき、「東洋町のあるもの探し」「東洋町再発見のためのまちあるき」「まちあるき後のワークショップ」が必要ではないでしょうか?
 そのあたりの各地域のリーダー探しと育成はどうなっているのでしょうか?
東洋町甲浦(かんのうら)地区。写真はやっしーさん提供
 
沢山 そういう観点でのリーダーづくり。経済的な側面を中心としたまちおこし、まちおこしのリーダーづくり。今までは全然計画性がなかったし、準備もされていませんね。そういう状況でした。
 町の観光協会とか商工会とかがなにかやっているようですが、ひとつも実りが出てきていないように思われます。「イベント屋」のような形で企画商工課あたりが、〇〇大会とか多額のお金をかけて開催はしていました。
 しかし町内の商店街はどんどん寂れていくばかり。町民は徳島県海陽町や室戸市へ買い物にでかけないといけないような有様でした。

 いうことで東洋町は悲惨な状況なのですね。しあkしここには大きなサーフィンのポイントである生見海岸もあるし。美しい海水浴場の白浜海岸もあるしね。
 自然をうまく活用すれば、相当な経済的な実入りも出てくると思います。環境的には東洋町は豊かなものがあるのではないかと思うよね。

 その自然環境を活用する方策はかっちり立てないといけないと思うね。今までは東洋町制は一部の利権集団に振り回されてきました。町役場も機能していなかったという状況でした。そういう悲惨な状況でいままではありました。

 

西村 東洋町外の人達の「東洋町サポーターズクラブ」(仮称)の発足は必要ではないでしょうか。町外の人達との連携も必要であると思います。
 どのような機能をもったサポーターズクラブであれば良いと思われますか?
 たとえば高知市の中心商店街のはりまや橋商店街。ここでは毎週金曜日には木造アーケード下で金曜市をしています。最近は愛媛県今治市のタオル製造会社が露天市に来ています。

 「なんで?」と聞きますと「今までは問屋まかせて販売してきましたが、消費者と直接対話をしたい。今治のタオルのよさを売りたい。」と。現在は中国製のタオルにおされているらしいので。直接消費者の声を聞きに広島や大阪などにも行っているのですね。四国の反対側の高知市へも出てこられ、高知の消費者と対話をしています。

 東洋町も近い将来道の駅(一次産品を中心に販売する地域交流施設店舗)をこしらえるのであれば、はりまや橋商店街の金曜市などに出店されル渡河。高知市の協力者と一緒にやるとか。準備段階にされたらいかがでしょうか。

愛媛県今治市からこられたタオル業者
はりまや橋金曜市にはサムシングがあります。
 
沢山 いままでにも町内に日曜市もありました。お客さんの多くは徳島県から来ています。東洋町の農家でも徳島県のどこかの駅前の市場へ農産物を出して毎月10万円程度の売り上げがあるようですし。
 あるいはとれとれ市場という魚を中心とした珍味を販売しているところもあります。一時は2千数百万円売り上げがあったようですし。

 そういうふうに「分散している」状態なのですね。東洋町近辺の産物はひじょうに良いのだけれども。そういうことを1つの物産センター的なところへ集結させれば大きな市場、拠点をつくれると思う。

 そういうことが緊急に必要だと思う。

 
 最初に言っていた大阪府守口市に東洋町の出身の人が多いと言います。そういうところに東洋町の物産展の出店というのは。
 
沢山 当然そういうところへの進出は考えなくてはなりません。米を200キロ、300キロ程度送る程度であれば必要ありませんし。何百トンも米を持っていく。
 魚やかんきつ類をどんどん持っていくとか。どんどんさばいていくいようになりますと大阪方面の東洋町出身者の多いようなところに販売拠点をつくるということは当然検討すべきでしょう。
 
 何かのイベントとひっかけるとか。ぽんかんなどもオーナー制度にする。収穫の時にそれは僕の木だから東洋町に収穫に来た。その時にイベントがあって、ついでに東洋町の産物を買って帰るとか。

 そういうぽんかんなどの「オーナー制度」なんかどうかな。

 東洋町の国道55号線沿いにはぽんかんやでこぽんの直販所があります。

沢山 可能かどうか調べてみないとわからない面はあるね。とにかく都会の人たちと東洋町民がなんらかの「交流のための絆」がつくる以外に東洋町の発展性はないと思う。
 徳島や大阪方面とも経済的なつながり、人的なつながりがあるので、活用しなければいけないと思うね。
 
 だからできるところからやること。東洋町外の応援団。インターネットでつながれば一番楽に交流はできるんですが。しかし今は東洋町には情報ネットワークが出来ていないのだから1回大会をやってもらわないと。
 
西村 そうですね。東洋町の応援団は結構高知市にもいますよ。5月4日の「白浜青空マーケット」にも何人か来ています。実際に沢山さんと話をした人もいました。
 こけら寿司も売り切れていましたが、地元のご婦人が「さきほど買った人は毎日食べているので買い戻すきに。」と言われてお客さんから売り子のご婦人が買い戻されて購入できたりしたそうです。その出来事に感動したと言われていました。

 実際に東洋町を支援しようという動きもじわじわと出てきています。現在東洋町は注目度が高いですから。それに東洋町の人達が高知の自然を守ってくれたんだと。核廃棄物を追い返して高知の自然と海を守ってくれたんだと。お返ししたいという気持は高知県民みなにあると思います。

 東洋町のものを売りたい。どんなものがあるのか?今はわからない。東洋町へ遊びに来たのですが、(自然は素晴らしいが)くつろいで食事をするところもない。珈琲屋さんも町内にない。それをなんとか解決する方法をされて、自分らは協力できることはないだろうか。なにかできるだろう。皆そう思っています。

 
沢山 そういうことを東洋町民の人もみなやりたいと思っている。現状は徳島方面へ出向いて買い物をしなければならない。そういう施設を地元にこしらえたいという事を願っているわけだし、やろうとしている人達もおるでしょうし。

 なにせ今までは行政(町役場)がそういうことに取り組まない。なにかの利権につながっていたりして、できないこともありました。白浜の大きなビーチがある団体に管理が完全にまかされていて、「イベントをするときだけの遊興的な施設」のようにしか考えられていなかった。

 「民主主義は事業だ」「民主主義は産業だ」というのを住民のパワーを解放していく、ただしく発展させていく為にも「民主主義的な行政というのがひじょうにおおきな事業的な価値がある。」

東洋町甲浦(かんのうら)地区。写真はやっしーさん提供
 
 本当の意味で住民の人に「目を覚まして」いただいて、それが「こういうことをやれば住民のためになる」「自分達に還元される」ということがわかっていないから情報公開がとても大事だと思う。
 
西村 今のところ空想の思いつきに過ぎませんが「東洋町まちづくりファンド」とか、投資をしていただくような金融債権をこしらえ、東洋町にゆかりのある人たちに購入していただくとか。

 窪さんがさきほどポンカンの農園の話をされていました。利子はぽんかんだとか。「東洋町オーナー制度」を発足させ販売し、東洋町の産物の宅配とオーナー優遇制度の成立。プランはまちおこしグループで考案するのはいかがでしょう。
 市民農園制度や漁業では市民網元制度などは考案できないものでしょうか?

 また甲浦(かんのうら)の港町などとても良いところです。そこで古い民家に民泊して美味しい魚を食べるとか。港の周辺を散策したり、船を出していただいて釣をするとか。「癒し」がありますね。甲浦の町は車もあまり通行しませんのでサイクリングをするとか。

 いまある施設を活用すれば結構人を東洋町に呼べると思います。」ですので町内や周辺にだれかやる気のあるリーダーがいれば実現できそうですね。
 それは新たなホテルを建てるとかいう問題とは違います。

 
沢山 甲浦には室戸高校甲浦分校跡があるし。その活用も考えないと。白浜観光ホテルは現在閉鎖中だが、経営者が変わって6月から再開になるそうだし。
 ホテルに隣接して町営の施設もあるし。

 あるものを使うというんだね。

2007年6月から白浜にあるホテルも再開されます。
隣接して東洋町自然休暇村という施設があります。
 
西村 地元の人はえてして「ここにはなんちゃんないき。(なんにもないし)なんにもない町よね」と言われます。
 僕らみたいなよそ者には一杯いろんなものが(高知市にはないものが)東洋町にはあります。それに東洋町の地元の人たちは気がついていなかったのではないでしょうか。ですので「ないものねだりをして」、核廃棄物まで取り込もうとして交付金を貰おうという考えが出てきたのでしょう。

 それとは異なる生き方をすべきでしょう。根本にかえるべきでしょうと思いました。

 
沢山 東洋町サポーターズクラブですが、単に無償でサポートするというのではなくて。今東洋町は一般会計で30億数億円の借金がある。他を全部あわせると40億、50億の借金になる。

 それらの借金をわれわれ(行政)は銀行やら政府系金融機関から高い利子で借りるのではなく、サポーターの人や東洋町に関係している人、ゆかりのあるひとにお金を借りる。そして利子をそれに還元する。

 ここの町民だけでも100億円の貯金は持っておられます。30億やそこらのお金は借り換えすることも出来ると思う。
 そういう面では町内外の人たちには金融面でもサポートしていただきたい。そのかわり見合う利子は払いますよ。

 
西村 町外の人が株主のようになるのでしょうか?来て頂くために「株主総会」は年に1度東洋町で開催するとか。白浜海岸で大会を開催するとか。来ていただいたら採れたての魚が食べられる。ポンカンなども送りますよとか。
 そういう制度は検討の余地はありますね。
東洋町白浜海岸。海も遠浅。海も砂浜も美しい。
 
 そういう特典をつけて,東洋町応援団としてやれることはなんなのか。お金も出してもいいと思う。

沢山 そういうことは条例をつくればよいでしょう。まちづくりファンドとか寄付とかを集めることができるとか。そういう基金制度。

 高知県なんかも高い利率で金融機関から借りています。情報公開をしていくとありますね。高知市にしてもどこの自治体にしても、高いレートで支払いされている利息はありますね。

 これも考えるべきですね。

西村 預かったお金を高い配当金が期待できるところへ投資する。それは難しいでしょうから、集めてきたお金は東洋町のまちづくりに投資するのが正論であると思いますね。

窪 中止になったお祭りはどうなるの?

沢山 来年は開催します。

 
西村 道の駅構想はその後進展されていますか?
 

沢山 白浜海岸には道路沿いに用壁があり、駐車場の出入り口がわかりにくい。壁を取りのそけば、いまでもすぐにテント張りの市は出来ます。
 室戸市の道の駅「きら・めっせ」のようなものを作る前にテント張りでもすぐに出来る。


 (道路沿いの壁は高波防止、津波の防止の機能があるようです。ですので簡単に撤去は難しいかもしれません。 どちらにしろ白浜海岸の有効利用につながるはなしですので、関係部署、関係行政は協力的。お互い知恵をしぼればなんとかなる問題であると思います。)

 
 すぐにやれることからやればいいよ。

沢山 はじめから何億もかけて施設(道の駅関連の)をつくるのは無理がありますしね。

成川 今は大きな施設をつくるための前段階ですね。

窪 前段階だね。

沢山 一度に大掛かりにつくるのではなくて。

 いつでもテント張りで何か売っているということになると全然違うと思うね。

 
西村 違いますよ。ヤ・シーパークのあるところなんて初めはなんもありませんでした。東洋町と状況は同じでした。買い物は町外へいきますし。
 夜須は高知や野市、南国がちかいこともあり、商店主でさえ自分の町内で買い物をしなかったですね。

 ヤ・シーパークが出来てからいろなんな人が来るようになりました。休日は駐車場から車がはみ出していますし。農家の人も自分の売り場を自分で管理しないといけないようですし。欠品すると売店から電話やメールがあって、自分で補充するようになっているようです。

 農家の人は商品に値付けして畑からいながら来たり。やる気になっています。そんな努力もありヤ・シーパークは売れていますよ。農産物は安くて新鮮。農家直送なので、地元の町民が朝から購入し人気です。昼から他所からお客が来て購入していますので、1日に2回くらいピークがあるようです。

大盛況の道の駅やす
やすでは売り場は農家の責任。価格は安い。
 
沢山 白浜ビーチの駐車場や施設を一部の人たちに今までは抑えられていました。一切解放されませんでした。

成川 反核のイメージが強いですから、有機無農薬栽培をされるとか。店作りにも反映させるべきでしょう。

西村 コープ自然派だとか、大地だとかの消費者グループも東洋町には注目しています。

 
 なんだかんだ言うても成功してもらわないと。「反核」で終わってしまう町長では困るね。オンブズマンが町長になればこうしたことで、つまっていたころが「流れが良くなった」。
 補助金だ交付金だとかいろんなところを頼らなくても、じぶんたちの「あるもの」で結構廻るのではないか。

沢山 今までの行政は利益は外へ出して、「吸い取られるだけ」の行政でした。自分達でなんとかしようとする力が弱かった。

成川 「民主主義は事業である」という言葉はいいですね。民主主義でやることは自分達が当事者で責任もとるのですから。必死でやるから結果生活も良くなりますよ。

沢山 富が均等に渡るようになるでしょう。これほどおおきなことはない。民主主義というには大きな事業なんだと。

成川 一部には民主主義によって損する人も出てくるのですね。

沢山  民主主義は富の公平な分配することでもありますから。

 
 番外編 成川順さんや西田さんもまじえて
 
西村 東洋町の自然である海の活用についてです。役場前の生見海岸はサーフィンの名所です。サーフィン愛好者によりますと、「無料の駐車場をたくさんこしらえていただきたい。」「シャワー施設をもっとこしらえていただきたい。」とのこと。四万十市はそのあたり最近力を入れているようです。
東洋町生身はサーフィンのメッカ。役場前の駐車場は大勢のサーファーが活用しています。
 
西田 当然そういう施設はあるにこしたことはないです、トイレと水の施設があれば最低限それでいいですね。着替えるのは駐車場で着替えればよいのですから。自然の海があればサーファーは満足しますよ。

成川 生見はサーフィンには良いビーチなんでしょう。

 
西田 生見ははずれがないですね。海の下(底)がビーチで安全ですね。受け入れる範囲は広いですね。仁淀の河口であるとか、リーフがあるところでは中級者以上でないと危ないですし。
 1番サーフィン関係者でお金を落としてくれる、地元に経済効果があるのは初心者ですね。上級者やベテランなるとサーフィンが生活のパターンになっていまして、お金をかけないようにしますね。
 
西村 生見で見ていましたら親子でサーフィンをしている人達がいました。こういう人たちを増やすことも大事でしょう。

 サーフィンに関して初心者指導教室とか。以外にないんじゃないかな?

西田 そのあたりはサーフィン連盟がしています。徳島サーフィン連盟や地元のサーフショップがやっています。去年はインストラクターの講習会を東洋町白浜で開催しました。

 東京に住んでいる長女もサーファーで週末は千葉や新潟、浜松とか遠征していますね。サーフィンは年中はできないものですか?

西田 東洋町は水温が高いから可能ですが、冬場は波がたちにくいのでオフシーズンとも言えますね。

 東洋町では年中サーフィンが可能だというのも売りになりますね。
  1年中サーフィンができることが大事だね。

 
成川 サーファーの人達が地元東洋町にお金を落としていくしくみをつくればいいのだと思う。
 
窪 生見海岸の駐車場代が東洋町に現在は収入が入らないのだから、まずそれから改革しないと。町にお金がはいらないとやらねばならない整備もなにもできませんし。

西田 サーファーも自分達が利用している生見海岸の駐車場の収入が東洋町に1円もはいっていない事実を知りますと驚くし,怒りますよ。


 この駐車場料金はみなさんをうけいれるために活用しています。生見海岸をきれいに整備するために活用されていますとか。そういう表示をすればだれも文句はいいませんよ。

 
窪 アメリカなどでも環境を保全する為の地方税がありますね、西田さんが言われたように明確な目的の為に使うも目的税をこしらえれば利用者は快く支払っていただけると思いますね。

成川 それもほとほどの金額ですよね。

西村 高知県が徴税している「森林環境税」は1人年間500円ですし。

 
沢山 駐車場をサーファーに無料で利用させても良いとは思いますが、一方でサーファーにはなんの経済的な波及効果はないではないかという声もでるでしょう。水も一杯使われて地元に残るのはゴミだけだった。
 僕個人の考えだが駐車場は無料化してもいい。そのかわり金券を購入してほしい。それは東洋町の産物を買って欲しい。そういうふうな形にはできないかなとも考えていますが・・。

 サーファーも今の段階の東洋町では買うところがないし。やはり道の駅なんかを整備して買ってもらえるようにしませんと。ぽんかんと干物だけではいけないでしょうし。

 
 徴集する目的税のようなものをこしらえて、その目的税は利用する施設整備に使いますよとすれば、皆が納得しますね。沢山町長が言われたように金券も買ってもらって、そのお金が東洋町内で廻るようになれば、1年中サーフィンが東洋町ではできるのだから可能でしょう。
 
西村 20年前にアメリカ西海岸のカーメル市へ旅行に行きました。サンフランシスコの郊外にある市で、当時は俳優のクリント・イーストウッド(映画「硫黄島からの手紙」の監督)が市長でした。モントレー市からカーメルへの境には道路に遮断機があり、税を払いました。「この料金はカーメルの環境保全に使用されています。」と書かれてあったそうです。

沢山 やれるところからやろうということでみなさんご協力をお願いしますよ。