労働組合に未来はあるか?
 
今週のゲストは、自治労高知県職員労働組合中央執行委員長の山崎秀一さんです。今日のテーマは「労働組合に未来はあるか?」です。
 日本の労働組合組織率は全体で20%程度、民間企業では18%台です。従業員数1000人以上の大企業では58%の組織率ですが、29人以下の小企業では1・3%程度と言われています。
 大企業でも長引く不況で、人員の削減に踏み切り、新規の正社員の採用を抑制しています。実務経験のある社員を中途採用したり、人材派遣会社からの派遣社員の比率が高くなりつつあります。この傾向に労働組合としてはどう取り組まれていますか?
県庁の組合ですが、組織率は向上していますか?
残念なことですが、低下しています。組織率は6月末で85.3%です。組合つぶしの攻撃、人員削減や合理化の攻撃が当局側からありました。とくに今年の3月から組合費のチェックオフ(組合費を給料から直接天引きする制度)が当局により廃止された影響が大きいと思います。
現在の県庁の労働組合員数というのは何人なのでしょうか?
約4400名です。
一時からいえば少なくなったでしょうが大所帯ではないでしょうか?

高知県下では一番の大きい組合です。

1997年12月発刊の高知県職労50周年記念誌「高知県職労の50年」。

記念誌によりますと結成は1946年9月。11月に全国官公庁共同委員会に加盟。

1954年に自治労が結成。以来緊密な関係を継続しています。

日本の労働組合は企業内組合形態が多く、連携は弱いようです。他の組織や運動体との連携は進展していますか?
大変な重要な課題だと思います。とくに国労闘争団と言いまして、昔の国鉄(現JR各社)を解雇された人達の争議組合があります。争議組合の支援を行っています。今日はリストラー首切り自由となっていますが、そういうなかで労働者の人権を守る戦いで大変重要だと思っています。とくに国鉄問題は、私たちは「国家的不当労働行為」と呼んでいます。当時国鉄の資産が20兆円ありましたが、これを資本家がぶんどってしまいました。
当時の中曽根総理が最近あちこちで発言しています。「国鉄解体によって総評をつぶす」目的がありました。日本の労働運動、社会運動をつぶす目的で行われたのです。二重の意味で重大と思います。こうした「偽装倒産方式」と言いましていったん会社を倒産状態にして、労働者の首切りが最近流行しています。その先駆を国が行ったのが国鉄解体でありました。そういう意味で国労闘争団を支援し、告発を支援していく社会的意義は大きいと考えます。

今後の課題ですが、組合に未加入の労働者の人達や、平和運動をされている市民グループと協同していくのが課題であると思っています。

国鉄労組支援のページは こちら
高知の場合は小企業が主体で、殆ど労働組合もないのが実情ではないでしょうか。そこが課題だと思いました。
県が委託事業を行っている企業の労働者の待遇改善については、当局に要求をしたりしています。今後この方々の労働組合をどうこしらえていくのかが今後の大事な課題だと思います。


また是非ご紹介したい人がいます。本日曲のリクエストができるということで、CDを持参しました。田中哲郎さんという人です。沖電気を解雇された人ですが、22年間会社の門前で歌を歌って抗議活動をしている人です。「人らしく生きよう」というCDも発売しています。労働者の人権回復を求めて抗議活動しています。

http://www.din.or.jp/~okidentt/(田中哲郎さんのホームページ)

CDの必要な方は自治労高知県職員労働組合まで連絡ください。

       電話は 088−823−9615

FAX 088−823−6057です。

若い人達の労働組合活動への参加状況はどうなのでしょうか?関心は高いのでしょうか?
殆どの人は労働組合に対しては無関心で入ってこられます。県職労にも青年部という組織があります。大変元気です。350人ぐらいが青年部ですが、うち100人を集めた集会をしたりしています。
私も遠い昔のことですがある企業に勤務していたとき、組合費が高いと組合に文句を言ったことがありました。 組合費が高いという苦情がないのでしょうか?
うちは賃金の2%が組合費です。これは基本的には運動や活動でお返しすることで納得いただくしかありません。
現在の課題や、活動目標についてお構い範囲でご紹介をお願いします。
日本の労働組合の組織率は20%。8割の人達が未組織です。その人達も労働組合の仲間になる運動をめざしていきたいです。それは県職労だけでは難しいです。他の組合などとも連携して展開したいと思っています。
労働組合は大企業や、公務員を主体に組織されています。高知などは従業員10人以下の小企業が多数で、労働組合をこしらえることも難しいですね。従業員1人の企業もたくさんあります。その現状の中で未組織の労働者の権利を守る必要性もあります。そのあたりどのような方策なり、戦略はありますか?
これは今後の課題になってくると思います。たとえば小さな零細企業でも社長さん自身も大変で、従業員のために何かをしてあげる(福利厚生面などで)ことも大変です。
 そういう企業をたくさん集めて、国と県が補助をして、従業員の退職金制度を今以上に充実させることなど、社会の仕組みづくりが、今後は重要な課題になります。
社会全体がユニオンや協同組合のようなものをこしらえていくことなのでしょうか?
それは可能性はありますか?
わたしはまじめにやれば出来ることだと思います。皆が本気になればできると思います。