最近の住宅事情について
 今週のゲストは積水ハウス高知営業所所長の山野友彦さんです。今日のテーマは「最近の住宅事情について」でお話を伺います。
 2003年の日本の住宅着工戸数は117万4千戸でした。住宅産業は裾野の広い業界であり、経済に与える影響も大きいです。
住宅には、持ち家、分譲、貸し家と分類されているようですが、比率的な変化はあるのでしょうか?
1990年当時と比較しますと、持ち家が86%、建売やマンションが97%、と減少傾向です。比率には大きな変化は見られません。
長引く不況で「新築物件が少ない」と知人の建築業者は嘆いています。持ち家志向はどうなのでしょうか?やはり強いのでしょうか?

 そうですね。持ち家志向は基本的には強いと思います。ただこの数がだんだん減ってきております。高知だけも見ましても7年前に比べまして、20%ぐらい少なくなっています。


 持ち家ばかりでなく、アパートなども2割ぐらい減少しています。この3〜4年をみますと、持ち家のほうは横ばいもしくは、やや上向きです。ですからこのあたりが「底」ではないかなと思っています。

山野友彦さん
高知県の事情について伺いします。貴社の住宅購入者の平均年齢は何歳ぐらいでしょうか?また2世帯や、3世代住宅の比率は高いのでしょうか?
 そうですね。高知県の傾向も全国とさほど変わってはいません。最近の住宅取得の平均年齢は40歳代の前半ですね。
 2世帯というのも意外に少なくて、契約ベースで全体の10%強ぐらいです。3世代というのはあまり聞きません。
 1970年代の住宅の大量供給時代に比べ、現在の住宅に対する考え方にはどのような変化があったのでしょうか?また建替需要はあるのでしょうか?
 そうですね。考え方は1970年代前半は大量供給でした。部屋数は基本的には4DKあればいいとか。そういう考え方が中心でした。
 それからだんだん「量から質へ」ということで、最近では、「ライフスタイルから住宅プランを決める」という具合に大きく変化しています。
 いろんなライフスタイルがあります。そのなかでは、例えば、2世帯住宅の考え方、リビングでの過ごし方、キッチンのタイプ。和室やそれぞれの部屋。サニタリー、インテリア、庭などすべてのライフスタイルから決まってくるようになりました。
 そこらあたりをお客様から充分にヒアリングをしてから、私どももプランを提示させていただいています。「量から質への転換」といわれています。私が1978年に積水ハウスに入社した当時は、3箇所給湯さえない住宅が多くありました。3箇所からお湯が出るのが2〜3割ていどでありました。
 昔は台所だけ、パロマのガス湯沸かし器がありました。ところが現在は3箇所給湯がない家は100%ありません。シャワートイレも当たり前になりました。
 これから10年ぐらい前から断熱性能に優れているペアガラスが普及して機増してきました。ペアガラスが無い新築住宅はありません。どんどん設備や機能は進化しています。20年、25年前の住宅とは今は全く違って来ています。
 

住宅購入は人生で最大の買い物であると思います。顧客に対してどのような対応をされているのでしょうか?お構いない範囲でご紹介ください。
 積水ハウス独自の「住まい塾こだわり講座」というものを開催しています。家は人生最大の買い物です。僅か1〜2ヶ月で、思いつきのようにプランを考えたり、住宅のことを考えるのはあまりにももったいない話です。
 私どもはさあこれから家のことを考えようというお客様に対し、特別な塾をやっています。この塾と言いますのは、女性社員が中心になって様々な企画をいたします。講師は本社の総合研究所から呼んで参ります。設計部や、営業のものも講師をします。全部で8回の講座を開催いたします。
 第1回目が「住まいづくり入門ー住まいの仕組み」」、第2回目が「収納計画ーインテリア計画」、第3回目がインテリア計画のもう少し詳しい内容。第4回目が「我が家のキッチン計画」。第5回目が「暮らしを彩る照明計画。」。6回目が「外構計画」。
 7回目が「理想の住まいを描く」ということで、いままで勉強されたことで、理想の住まいをこしらえていただきます。8回目は「作品発表会」になります。8回の講座です。
 1回の講義が2〜3時間です。当営業所の3階に会議室がありまして、そこで開催しています。この講座期間中はお客様には営業は一切いたしません。良くありがちなセミナーへ行きますとセールスがしつこく来るのではないかということは一切いたしません。
 お客様のほうからぜひ営業の話を聞きたいというのであれば、その場合は営業のものが伺います。そのために住まい塾の企画は女性社員主体で行っています。
 じっくりと全8回勉強され、すべて受講されますと京都に積水ハウスの総合住宅研究所があります。そこに1泊でご案内するシステムになっています。4ヶ月にわたりましての「いたせりつくせり」の仕組みになっています。
住まいの教科書です。
住まいのプランニングノートです。
 
 2時間を8回の講義があり、仕上げは総合研究所の見学。そこで勉強された人たちは、どのような変化が見られるのでしょうか?
 「もっと勉強したい。」という気持ちになられます。勉強している途中で契約いただく方もいます。だけど私どもはそれを(早期契約)求めてはいません。じっくり納得いただきまして、そして納得いただく住宅をつくる。それが主旨でありますので。
 平均的な建築坪単価はいくらぐらいになっているのでしょうか?
 これはひじょうに難しいところです。例えば、気をつけていただきたいのは、施工床面積を入れまして坪単価を表現しているところ(会社)があります。
 例えば吹き抜けとか、バルコニーとか工事を伴いますけれども、実際の延べ床面積には含まれない部分です。よく見ますと施工床面積あたりの坪単価ということになります。ひじょうに安く見えたりします。
 大きな家になりますと坪単価が安くなります。小さくなりますと割高になります。
 使用する設備によっても全く単価は異なります。その評価の基準としまして「性能評価制度」が出来ています。住宅性能表示制度ですね。これは消費者が安心して良質な住宅を取得できるための基準です。
 2000年4月1日に施行されています。それにもとづいて調査をなさってください。坪単価は各社によりまちまちです。では積水の坪単価はいくらなのかと言いますと、坪45万円から65万円ぐらいです。
 先ほど申し上げましたように、大きくなれば割安、小さくなれば割高。使用設備により変わります。一概には言えませんね。
「住まいのプランニングノート」です。各項目にチェック項目があり、どういうライフスタイルをしていて、どのような住宅が適当かを見極める手助けにあんるようです。