郵政民営化の展望は?
 今週のゲストは衆議院議員であり、自民党高知県連会長の山本有二さんです。今日のテーマは「郵政民営化の展望は?」でお話をお聞きします。
 小泉内閣の「目玉」である「郵政民営化」。自民党の中でも活発に議論はなされています。小泉首相の決意はわかりますが、国民各位にとりましては具体的に何がどう変わるのか今ひとつ理解できません。
郵便局が民営化されたばあい、高知県などはどのような影響が出てくるのでしょう か?便利になるのでしょうか?不便になるのでしょうか?

 一言で言えば、「不便になってしまう。」。そういう可能性のほうが高いですね。まずその高知県の郵便局が、採算性にあっているか。収益率はどうなのか。全国47都道府県の中で、島根県についで高知県は採算性が悪いことになっています。


 そう考えますと、民営化というのは採算性が合わなければ、やめてしまおう。切ってしまおう。と言う風になりがちですので、そういう意味では郵便局がなくなってしまうのではないか。という危険があります。


 全国でちょうど小学校の数と、郵便局の数がイコールです。高知県では小学校はあっても、郵便局はなくなりますよ。特に中山間地域では。こういう地域は「風前の灯」なのは間違いございません。そういう意味では「郵政民営」というのは高知県にとっては非常に厳しいなというところが、まず指摘いたします。

山本有二さん
 そもそもなぜ民営化をしなければならないのでしょうか?そのあたりの議論がよく わかりません。報道などで見ていますと、巨大な郵便貯金と、保険業務が問題となっているようなのですが ・・・。
 まず今までに、三公社五現業と言いまして、お役所がやっていたことをどんどん民営化していきました。ひとつはJRです。国鉄も民営化されまして、良いところも、悪いところもありました。
 JR東海などは、サービスが良くなりました。しかしJR四国は採算が合いませんので、なかなかサービスを徹底することが出来ません。というように「功罪あい半ば」しています。
 NTTにとっては、「世界に向けたNTTドコモ」。収益率も高ですし、企業として日本を代表しています。考えますと民営化して、プラスになるところと、マイナスになるところがあるわけです。もし「地域分割」ということを郵政民営化でされた場合は、JR四国と同じように大変です。440万人しかいない四国で、独立しても採算は合わないでしょう。四国の郵便のサービスと、東京の郵便のサービスとが変わってくる。そうした弊害も指摘されています。
 諸外国の事情はどうなっているのでしょうか?
民営化したところで、日本の金融業界は欧米に比べ「立ち遅れて」いるのではないのでしょうか?民営化したとたん外資系金融機関に「乗っとられる」ことはないのでしょうか?
 乗っ取られるということは、民営化したとたんに株式は公開されます。TOBですね。ありうる話です。350兆円という郵便貯金と簡保をあわせた規模の会社を乗っ取るための原資は100兆円、200兆円は要ります。ですから簡単には乗っ取られないでしょう。しかし問題は、じゃあこの100兆円、300兆円の巨大な資金を、誰がどのようにして運営して、国民に利益分配をするのか。もしくはまた損失をこうむったら、損失を(国民に)お願いするか。ですのでとんでもなく難しいことです。
 それを今の銀行や証券会社と同じように郵便局がして良いのかという問題もあります。ここは問題でして、アメリカの金融機関に優勝劣敗されてきたのが。世界の金融業界の重実績ですので。この意味においてもなかなか不安は残りますね。
 自民党内でも意見がわかれているようですが。法案にとりまとめは出来るのでしょうか?また野党民主党は「審議拒否」の対応もあるようなのですが・・
 小泉首相は、総裁選挙に立候補したおりの政策、たったひとつの政策が郵政民営化なのです。それの集大成が4月末に国会に出されるわけです。一歩も引かない決意です。
 昨年12月に郵政関連6法案の骨子が出まして、自民党内で毎日毎日この法案の審議をしてまいりました。そうしますと絶対に譲れないというところも出てきました。窓口ネットワーク会社をこのままにしていきますと、田舎の郵便局はつぶれてしまいます。
 あるいは葉書や切手を一律に沖縄から北海道まで同じ料金で配れるのだろうか。宅急便会社にやられるのではないか。いろんな問題点で自民党内からも出てきました。それは徹底してきました。法案にこのことを盛り込まないと譲らないぞとなりました。ですので折り合いがつかない状態です。結局は無理やり法案を出すことになるのです。
 今後の審議や法案の行方は不透明極まりない。国会は一触即発状態。どうなっても不思議ではない状態です。
2004年の参議院選挙で高知市に来られ街頭演説をしている小泉純一郎首相。相変わらずの人気です。
 
 郵政関連6法案が出てきます。自民党内でおそらく調整はできないようですので、閣議決定されて出てきます。それが5月の連休前ですね。閣議決定前の「作法」としまして、自民党内の政調会、総務会の両会の了承を得まして、閣議決定に至ります。それが作法です。その作法を飛ばしていくことになりますと、政調会長と総務会長の顔がありません。3役を馬鹿にしたことになりますね。
 自民党の党内的には党執行部に突き上げがありますね。5月の連休をはさみます。今度は私の作業になります。全ての法案に関しましては、私が審議するかしないかは、私が野党側と決める立場です。だから何日から審議しようか。どういう法案を審議するか。それを決めるのが5月の連休明けからになりますね。おそらく野党は、趣旨説明の質疑になりますね。小泉首相は私どもに、「早く野党を口説いて欲しい。早く国会の本会議で趣旨説明をさせてほしい。」と言うでしょう。一方野党側もこの材料で解散。総選挙、内閣総辞職に追い込みたいのです。
 連休明けはその攻防が続きます。5月半ば頃に、単に国会がもめているなと写るかもしれません。竹中さんの言葉の端々で、振れるでしょう。
 小泉首相は「不退転の決意」と言われています。郵政民営化問題で、「解散総選挙」  はあるのでしょうか?山本さんのお立場は議員運営院会の理事で、国会対策副理事なのですが・・。国会との絡みはどうなのでようか?
 まずこの国会の審議にどのようにして入るのか。入った場合に採決しなけばなりません。審議をつくしたのちにです。その場合重要なのは党議拘束をかけるかどうかです。
 自民党たるものこの法案に賛成しなければ党議に違反するぞ。あるいは党議違反として除名するぞ。こういうことになった場合は、これは大変な事態です。
 過疎地を抱えて郵便局の皆さんとなくも笑うも一緒だと地域の議員は反対せざるを得ません。党議に違反します。しかし地域の人たちの支持はえられます。そのことによって選挙があれば、大きく触れるでしょう。何人かが党議違反が出た場合に内閣不信任案が出てきます。その時に、小泉不信任案に賛成する。あるいは欠席する。そうなれば解散・総選挙、内閣総辞職という事態にもなりかねません。
 あるいは自民党の混乱におちいることは大変です。6月になりますと国会で採決しなければなりません。安保条約でも120時間の審議が終われば採決しました。その半分の60時間で採決をしなければなりませんね。
 私は法案担当です。法案を審議するかしないかを決めなければなりません。実は前法案に就いて私が決めている立場です。郵政関連法案を審議をたとえしたとしましても、50時間、60時間の国会審議の時間を確保しなければなりません。そしてやがて5月の下旬になります。それだけの時間を費やしましたら、今度はどうしても採決をしなければなりません。それには一定のルールがあります。採決をした場合に、もし小泉総理や、武部幹事長がどうしても党議拘束する。となりますと、どうしても造反者が出てきます。
 造反者が出て場合に、その人たちを次の選挙で自民党として公認しない。いうようなことを手荒に執行部がしてしまいますと、完全に解散・総選挙に流れは行きます。そういうようにならないように、わたしたちは国会対策をしなければなりませんし、議員運営委員会で運ばねばなりません。
 しかし歩みよりはなかなか出来ません。そこで国会の中で修正議論が大幅に出てくるでしょう。参議院の方々も衆議院で採決した場合は、我々はこうやるんだと参議院もてぐすねを引いて待っています。その中で、小泉総理がどう譲歩し、担当大臣である竹中さんをどう使い。私達としましても国民に不安のない修正をどうやってするのか。
 正に、今が、これからが、国民の皆様に、私達が支持をいただけるかどうか。郵政民営化についての一つの大きな舞台になります。
 全国各地に湯便局があります。都市部の採算の合う局。郡部の住民にとってはなくてはならない局。採算だけでは論じられないほど、地方にとりましては郵便局の存在は大きいものがあります。
自民党高知県連のホームページ          http://jimin-kochi.com/
自民党ホームページ                 http://www.jimin.jp/index.html