高知の都市づくりの未来像は
 
 今週のゲストは高知県都市計画課計画班の高橋大助さんです。
現在高知県都市計画課では、都市計画について、広く県民各位の意見を収集し、高知市を中心とする広域都市計画区域(高知市・南国市・土佐山田町・伊野町・春野町)マスタープランを策定しようとしています。
 高知の未来像について、イメージを示していただきたいのですが?
都市計画区域マスタープランは、概ね20年先の都市像を人口や産業の状況を予測し、県民の皆様にお示ししながら皆様と一緒になって
若い人たちにとっては・・・「このまちに住んでみたい」
私を含めた中年では・・・・「生まれ変わってももう一度住んでみたい」
と思えるまちを創っていくためのものです。
それを一目でわかるようなビジョン、即ち、視覚的にビジュアル的に皆様にお示しできれば良いのですが、現在はあれこれと考えているところです。
特徴としては、大きく3つに分けられます。
米国ボルティモア市イナ・ハーバー

水辺の憩いを都市づくりに活用した例。ボルティモア市の再開発で登場した風景。
1988年に訪問し撮影したものです。既に15年経過しています。どうなっているでしょうか。


 低層の建物は複合型商業施設です。前の海も決して綺麗ではありませんでした。
しかしデザインの力で都市美を形成していました。

先ず1つ目としましては・・・高知の豊かな自然を保全していくことです
高知広域都市計画区域は、東は物部川、西には仁淀川、南は太平洋、北は四国山地の豊かな大自然に囲まれていますし、中には香長平野に代表される南国の田園風景や北山や鷲尾山、五台山など県立自然公園がありますし、市街地のまわりにはいわゆる里山が保全されています。これらの自然環境は私たちが生活していく上で、また都市活動していく上で大切と考えていますし、実際検討委員会の中でもこれらの自然環境を保全するという意見も多く出されました。
従いまして、私たちの身近に緑が息づく美しい都市空間をつくりながら魅力あるまちにしていくとともに、高知の独自の歴史や文化を活かしながら、都市と農村との交流を図り、持続可能な循環型社会を築きたいと考えています。
米国ロサンゼルス市マリナ・デルレイ

世界最大のマリーナ。高知県も700キロの海岸線と、海に親しめる県ではある。
浦戸湾や須崎湾、宿毛湾などをこのようなマリーナに改造すべきであろう。
観光だとか癒しだとか言うのなら都市美や景観設計にも関心をもつべきだろう。

2つ目としましては・・・充実した都市機能の整備であります
災害防止対策は土地利用の「線引き・・・これは市街化区域と市街化調整区域に区分することをいいますが・・・」、水害や土砂崩れの恐れのある地域は原則的に新たな開発を抑制するなど、引き続き線引き制度を継続していくこととしています。また、南海大地震が今後30年以内に40%の確率で起きると言われていますので、今後想定される災害に備え、建物や道路の施設の耐震化、防災公園などのハード面の整備、津波などからの避難のための情報提供などのソフト面での充実を図り、住民が安全で安心して生活できるまちを形成していきたいと考えています。
3つ目・・・これからの少子高齢化社会に即したまちづくり
本県に置いては、将来と言わず現在既に少子・高齢化社会となりつつあります。高齢者や障害者はもとよりすべての人にやさしいまちづくりのため、ユニバーサルデザインの理念のもとに都市のバリヤーフリー化を計っていきたいと考えています。
高知広域都市計画のモデルとなるような都市計画や、都市はありますか?また高橋さんが理想とする都市、モデル都市はありますか?(日本でも世界でも)
日本では仙台です。実は大学が仙台でした。昭和46年に最初に仙台駅に下りたときはおんぼろ駅があり、「これはひどい」と思いましたが、まちなかを歩けば青葉通りに代表される「ケヤキ並木」があり、まちなかには史跡がいたるところにあり道路も広く、公園はオープンスペースになっています。一方、一歩裏通りに行けば昔ながらの町並みが残っている。また、市内には広瀬川が流れていますが、自然護岸も多く残り、夏には鮎釣りをしています。このようなことから「杜の都」と言われています。
      海外経験はあまりないのですが、行った中ではイギリス・スコットランドの首都エジンバラです。この都市はエジンバラ城を中心として栄えた人口45万人位の城下町で世界都市遺産に指定されています。オールドタウンとニュータウンに別れています。日本では夜間人口はニュータウンが多いですが、このまちは逆にオールドタウンの方が夜間人口は多くなっています。つまり、昼間は郊外の工場や事務所に働きに行き、夜は中心部に帰り地区100年以上のフラット(マンション)で過ごしています。当然厳しい建築規制、土地利用規制があるのは言うまでもありません。
高知と同規模の広域都市計画地域はありますか?たとえば徳島あたりはどうなっていますか?
 
現在、全国の都道府県で都市計画区域マスタープランを策定中です。
徳島県では、徳島東部(徳島市、鳴門市、小松島市、阿南市、他6町で構成)都市計画区域があります。
      参考
〔高知広域〕高知市、南国市、土佐山田町、伊野町、春野町で構成
          行政面積 53,230ha、人口439.6千人(H14.3.31現在)
          都市計画地域29,779ha 人口432.1千人
  (徳島東部)  徳島市、鳴門市、小松島市、阿南市、他6町で構成
          行政面積 73,355ha、人口534.7千人(H2国政調査)
          都市計画地域52,504ha 人口513.8千人 
         その他、愛媛県に5地区、香川県に3地区、2つ以上の市町村にまたがる都市計画地域があります。
平成16年5月までにマスタープランを策定することが、政令で定められています。全国各地で策定作業が行われています。