サムライ業(社労士・行政書士)はこれからどうあるべきか。
 今週のゲストは、社会保険労務士、行政書士、キャリアコンサルタント、であり情報処理技術者である竹内隆志さんです。今日のテーマは「サムライ業(社労士・行政書士)はこれからどうあるべきか。」でお話を伺います。
 竹内隆志さんは、以前キャリアコンサルタント協会ジョブカフェ高知の関係で出演いただいていました。他の人たちとの共同出演ではなく、今回は単独出演いただきました。
社労士や行政書士の仕事と言えば、これまで労働基準監督署や公共職業安定所、社会保険事務所など官公署に提出する書類の作成や手続きの代行が主要な業務だと思いますが、それ以外にもどのような業務をされておられますか?

 そうですね私たち社会保険労務士や行政書士の仕事はなかなか一般の人にはなじみにくい、目に付くような仕事ではないかもしれません。

 例えば社会保険労務士は社会保険、労働保険に関する申請に関する書類の作成や手続きをしています。他には賃金管理や賃金制度の設計、労務管理、労務に関するアドバイスとか。


 会社のルールである就業規則の作成とか。企業への助成金などの代行手続き申請などがあります。
 行政書士は、自動車の車検の証明とか。車庫証明とか。農地取得、財産に関する遺言の関係の代行など。いろんな幅広い分野がありますね。

竹内隆志さん
 竹内さんは「総合労働相談員」や「労働条件アドバイザー」として労働者や企業の個別の労働トラブルなどの相談にあたられてこられたと聞きましたが、具体的にどのような相談が多いでしょうか?
 やはり不況による解雇や、賃金不払いや雇用環境の変化などもあるのでしょうか?
 昨今の情勢で非常に多いですね。まず解雇。事情はやむをえない場合ですが、解雇にあたって法律を知らないがために、経営者側から不当に解雇をされてしまった。あるい解雇には予告が必要ですが、予告なしに解雇されてしまった。
 最近では環境が厳しいですので、従業員の賃金が未払いになる。あるいは最近多いのは「パワーハラスメント」です。職場の使用者であるとか、上司であることを利用していじめとか、嫌がらせをする。その人の弱みにつけこむ。そういったご相談も多いですね。
ハローワーク高知
高知労働局
 社会保険労務士は先頃法律の改正で、一定の能力要件を条件としてADR、裁判外紛争解決手続業務が認められました。
 社会保険労務労士は今後こうした業務への活躍の道をどう開かれていくのでしょうか。

 先ほどもお話しましたが、ひじょうに労働紛争が多くなっています。労働局のほうで対応するために、「個別労働紛争解決制度」とか、わたしも相談員をしていますしたが「総合労働相談コーナー」を設置し対応しています。労働のトラブルが多発しています。
 実際にトラブルの解決策としまして、裁判や訴訟もありますが一般的にはなかなか利用しにくいです。それができなくて「泣き寝入り」される方も居ます。未解決のまま終わる事例もあります。


 そういうことから国の方から裁判外紛争の解決のために、専門家が中に入り、斡旋、調停にはいります。何らかの解決方法をはかる法律、ADR法が出来ました。そのなかで和解交渉や、和解契約を行えるADR代理権が、6月の社労士法の改正により認められました。これは社会的意義が大きいと思います。

ストや団体交渉する県職労。労組加盟率は20%以下。中小零細になりますと数%ありません。
 サムライ業のITへの対応面について聞きたいと思います。
竹内さんは「電子政府推進員」をされていますが、実際に社会保険労務士や行政書士の業務で電子申請は今どのあたりの段階まで来ているのでしょうか?
 一応国は「Eージャパン構想」と言うことで、行政の手続き業務を電子化することに力を入れています。いろんなシステムをこしらえています。しかし社会保険労務士、行政書士、税理士、などの士業、サムライ業の人たちが使いこなすところまでなっていません。
 取り組みに関してはまさにこれからです。先般私も電子政府推進員の委嘱を受けました。本格的に今年から国をあげて、士業全般が代理業務を電子申請できるような道筋が開かれているというのが現状ですね。
 近い将来、国や自治体への申請はすべて電子申請になるのでしょうか?
掛け声はするけど、実際に普及するのがなかなかという印象がありますが、なぜ普及できていないのか、その原因についてお聞かせください。
 まず現行の電子申請のシステムが利用者の側に立って設計されていません。それと利用するにあたりましては従来の紙ベースの場合には、印鑑を押して確認することをしています。電子申請では電子署名を取得しなければなりません。それを取得したり、プログラムで使用することは一定のルールやりかたがあります。
 それにわたしたちが代理申請する場合には私たちの電子署名だけでできれば、かなりスムーズにできますが、残念ながら電子政府の電子申請のシステムは「代理する者の電子署名もしくは、紙ベースの委任状」が必要とされています。余計に手間がかかります。
 
 紙ベースで申請したほうが早いと言うこともあります。そこを改善をしていただくように要望しています。士業の電子申請がスムーズにいくような申請を国にしています。
 竹内さんは早くから、パソコンの技術を取得され、ホームページやblog,XOOPSなどを作成され、広められてきました。電子申請と言いましても、アナログ(印鑑証明など)で慣れ親しんでいる開業されている多くの社会保険労務士や行政書士はすぐに対応できるのでしょうか?
 まだまだです。システムの利用は本格化するのは来年からです。わたしたちは士業のなかでの教育研修や、啓蒙をはかっています。