メディア・リテラシーとジェンダーについて
 
  今週のゲストは高知女子大学学生の西森美菜子さんです。西森さんは大学にて「言語とジェンダー」を研究されています。
 今日のテーマは「 メディア・リテラシーとジェンダーについて」お話を伺います。
 メディアのありかたを検証していく作業をメディア・リテラシーと言います。差別にもとずく表現に注意を払い、影響を受けなくするような教育活動でもあります。
 かつてナチスが民族的な偏見をプロパガンダしていました。イギリスでは学校教育の中で、正しい情報の見極め方を実際の新聞や映画を活用して学校で教えていました。日本でも必要なことではないでしょうか?

 はい必要だと思います。情報の入手の仕方は多岐にわたっています。小学生でも、携帯電話を持っている時代です。インターネットの普及で、瞬時に情報を取り入れられる環境にあります。学校でも、情報処理の授業が取り入れられているようです。


 しかし、ゆとり教育といわれるように、週休2日制を導入し、十分な時間数が確保できないといわれている中、なかなか難しいようにも思います。

西森美菜子さん
 誰でも刷り込みはあります。ジェンダーを作る場として、「家庭」「学校」「メディア」であると言われています。西森さんはどの比率が一番影響力があると思われますか?
 個人によってそれぞれ生活習慣が違うので、差はあると思います。一番接する時間が長いものが、その人個人に対する影響が大きいのではないでしょうか。私は「家庭」だと思います。メディアも多岐にわたっていますが、「家庭」での経験は、自分で見たり聞いたりと体験として、自分の体や意識の中に取り込まれていくからです。
 西森さんは独自に新聞を中心に調査をされました。既に先行した調査の事例もあると思いますが、比較して「改善」されていると思われますか?
 私は、女性表現の中でも、今回は性別冠詞に焦点をあてて、新聞で調査しています。「改善」と言ってよいのかは、わかりませんが、確実に女性冠詞の使用頻度は減ってきています。1991年のデータでは、女性冠詞が新聞紙上で8割強を占めていたのに、今回、私が調査した中では6割に減少していました。その分、男性冠詞の使用頻度が上がってきています。
 また、女性冠詞の中でも、1991年では「女」がつく表現が一番多かったのですが、今回の調査では「女性」がつくものが、一番多くカウントできました。
アンケートを分析される西森美菜子さん
文化学部 橋尾直和助教授と分析中です。
 人は理屈や文章よりも、感情的な扇動で動かされやすいです。先般の総選挙もそうでした。主にテレビは「マドンナ候補」「女刺客」「くの1」「美女候補対決」などと強調していました。その表現により、政策的な与野党の争点が「はぐらかされた」印象を持ちました。その点につきましてはいかがでしょうか?
 選挙が終わった後も、テレビには女性の議員さんが多く登場していたように思います。マドンナや美女という表現からもわかるように、その人の主張や方針はまったく問題にされていません。女性であること、またそれを特異例として、注目され、報道されていました。まるで、人気投票のようなもの、だったという声も聞きました。
 また新しいメディアであるインターネットについてはどうなのでしょうか?また最近blogが多くなり、一般市民が情報を発信しています。西森さんの研究されたテーマはインターネットの世界ではどうなのでしょうか?
 解析データではなく、見られた感想はいかがでしょうか?
 今回、私は、性別冠詞に焦点をあてています。アンケート調査で性別冠詞については、大半の方が「特に気にしていない」とういうことがわかりました。中には、性別冠詞は必要ないという回答もありました。性別冠詞の使用は禁止されているわけではないので、日常で使っているものなら、Blogの中に登場してきてもおかしくありません。情報の発信者も、性別冠詞をわざと用いているわけではなく、無意識のうちに使っているのだと思います。

 アンケート資料など。先行例なども調査されています。先行事例より西森さんによれば、「改善」されているようです。

 (写真は西森美菜子さんに提供していただきあmした。)

 
 戦争がなく豊かな社会は女性にとっては良い社会ではないでしょうか。
 むしろ男性の方が辛い社会になっています。その兆候は感じられませんでしょうか?
 そうですね。男性の方は、リストラや過労死が多いと聞きます。「女は家事・育児、男は仕事」というのが男女どちらにも負担になってきているとだと思います。
 情報の収集源は複数にして、比較検討することが大事なのでしょうか?西森さんは3つの新聞を毎日ある期間(15日間)読み比べたそうですが、感想はいかがでしょう。

 また複数の情報を入手することは可能でしょうか?
 大事だと思います。購読新聞別で例えば内閣の支持率を調査したら、ある新聞では支持するが多く、違う新聞では不支持との回答が多かったというデータがあります。新聞によって、同じことを取り上げても、批判的に書くか否かで、読者の考え方も変わってきます。
 なかなか毎日、違う新聞を読み比べる時間はとれないでしょう。今回わたしが、たった、15日ではありますが、3紙を調査しましたが、思った以上に時間がかかり大変でした。
 複数の情報でしたら、今ではインターネットで簡単に入手できると思います。
11月番組に戻ります