ITと学校教育
 
今週のゲストは宮本裕士さんです。宮本さんは未来ネットというIT関係の会社を経営されています。以前は学校で教鞭もとられていました。現在も予備校で講師をされています。
ITは学校教育ではかなり教えられてうるのでしょうか?私などはパソコンを学校で習っていませんので、基礎がありません。
 今日は「ITと学校教育」というテーマでお話を伺います。 一般的な質問ですが、現在の日本のIT教育のレベルはどの程度なのでしょうか?
 私自身、物理や数学を教えるのがメインで、PCは補助教材として使っていただけなので、『日本のIT教育のレベル』というのは、特に意識して考えたことはありませんが、世界の中では低い方ではないだろうと思います。ただ、IT機器やインターネットの普及といった日本の現状に見合っただけの教育がなされているかと言うことであれば、ハード面の発展には追いついて行ってはいないと思います。
教員のパソコン取得度はどの程度でしょうか?小中学校でもパソコンに習熟している教員は少数派であるようなのですが?多数の教員はワープロ程度しか使えないのではないのでしょうか?
現状は仰るとおりだと思います。恐らく一般の会社習熟度とさほど変わらないのではないでしょうか。もちろん、一般の会社でも習熟度に格差があるように、学校ごとに方針や取り組みの度合いが違っていますので、教員のPC習熟度も学校個々によって、まちまちになっているんだと思います。私の在職していました土佐塾高校は教員の習得度は高いように思います。 パソコンを利用した(VBA)で独自プログラムをしていました、成績表や、偏差値などが出るシステムです。テスト問題も各教員がワープロなどで、作成していました。
私などは、かなり遅く、つい最近パソコンをはじめ、ホームページのソフトに頼って います。したがって、パソコンの基礎、インターネットとは?という基礎を習っていません。初級者講習会も「ハウツー」講習ばかりなのですが。。。
ソフトを使えるようになるということは大切なことだと思います。基本的にPCは『ブラックボックス』で、PCのことを全て知っている人は居ません。PCを便利なツールとして使いこなせるようになれば良いわけで、現状以上のことをPCにさせたければ、必要に応じて今以上の知識を勉強していけば良いということです。元々PCは人間が楽をするために作り出された道具のはずですから。
 宮本さんが考える「あるべき学校のIT化」とは何ですか?
  アイデアがありましたらお願いします。
ハード面とソフト面があると思いますが、教員側、特に管理職の意識改革が必須になると思います。いくら高いお金をかけてハード面のIT化を図っても、それを使える者が居なければ、無意味です。自分が使えないのにハード面のみの充実に拘って、「うちはIT化した」って悦に入ってる管理職を見ると、悲しいですね。機械があってのITじゃ無くって、人間があってのITだという根本をはき違えて居るんですから。教員個々のスキルアップの大切さはもちろん否定しませんが、それよりもっと根本のITの意味、何のためのテクノロジーなのかを認識しないで、生徒達に健全なIT教育ができるはずがないんじゃないかと思います。
昼間は生徒に教える。夕方や休日には地域住民にIT教育を行う。学校の施設をどうしてもっとうまく活用できないのでしょうか?理由はなぜでしょうか?
セキュリティー面と、操作環境が大きくかかわってくるからだと思います。
 ちょっと強引な比喩をさせてもらえば、「今日携帯使わないんだったら、通話料は出すから、一日携帯を3000円で貸してくれ。」というような取り決めはほとんどしないでしょう。貸す方から言えば、自分のプライベートな情報を知られてしまう可能性が高いし、借りる方から言えば、借りる相手の携帯が自分の使っている機種と違えば使いにくいし、同じ機種でも細部の設定はまず自分のものとは違うと考えた方が良いから、その分使い勝手が悪くなる。
そういったことから、いくら生徒が居ない時間に利用できるとは言っても、生徒用のPC教室で、期末テストや生徒の成績処理をしている学校はまず無いはずです。また、PC教室を借りるとすれば、ネットワークの管理責任者が日曜出勤でもして、付いていてくれなければ、サーバーや周辺機器も使えないと思います。まさか、ネットワーク管理者のパスワードを外部の方に教えてしまうわけにもいきませんし…。まあ、信頼の置ける地域住民の方が、管理者の権限をもらって管理するのなら考えられない事ではないですが、その場合、次の日の授業に差し障りが出るような事態が生じたときに、誰が責任を負うのかというような厄介な問題も生じてきそうなので、借りる側も二の足を踏んだりするんじゃないでしょうか。