シネコン問題は裁判所の判決で私どもの判断が間違っていると結論が出されました。今更という感じがすると思われるでしょう。法律論では負けたかもしれませんが、政策論としては判断は間違ってはいないと思っています。
それはシネコンに反対しているのではありません。シネコンは今の映画文化として高知市にあって欲しいと思っています。つくる場所の事をいっているのです。その背景には今の高知市の街の現状を見たときにこれではいけないと思いました。高知市は城下町としての歴史が400年ありますね。その町並み、城下町としてのありかたを見てきたとき、中心市街地の空洞化が進行しています。中心街に人が住まない。郊外に人が住んでいる。ドーナツ化現象が進行しています。商店街も空き店舗が増えています。
私は城下町の賑わいが街として必要なんではないかと思います。その意味で中心部に人口を呼び戻して、周辺部の開発を抑制する。これはヨーロッパ型のまちづくりです。ヨーロッパとアメリカではまちづくりの佇まいが全然違います。日本はどちらかと言いますとアメリカ的な志向をしています。郊外の大型店と一体なんですね。
しかしヨーロッパは歴史のある街ですね。昔のもの、歴史を街を大切にしようという考えが全面に出ています。スーパーでも大型のものをつくることには規制がかかっています。
古い町並みや景観が保持しています。個人商店街の元気なまちづくりでもあります。
東京大学の神野教授も「人間回復の経済学」のなかで、高知市の対応を評価いただきました。「先の先を読んで」、シネコンをつくるのであれば、中心部にという考え方の中で西武の跡地に出来ないかと努力をしてきました。これからについても大いに議論をしていただきたいと思います。
|