子供と情操教育の必要性とは
 今週のゲストは、高知市こども劇場運営委員長の北村絵理さんです。今日のテーマは「子供と情操教育の必要性とは」でお話を伺います。
 高知市こども劇場は1971年に誕生されたと伺いました。テレビやビデオやゲームが全盛時代の現代、子供の情操教育の必要性が大事であるとも言われています。

 先般新潟中越地震の罹災者の慰問に、大人たちや子供たちがおられた小学校の体育館に音楽家の小澤征爾さんがオーケストラを率いて演奏されていました。参加した人達は大人も子供も感銘を受けたようでした。
 そうした「生の演奏」や「生の演劇」を大人と子供たちと共有することは大変大きなことではないのでしょうか?

 はい。効果はあると思います。小澤征爾さんが行かれたのとは少し異なりますが、同じ空間にいるということはとても大事なことであると思います。劇場のほうでよく言われますのは、「舞台と言うものはまだ完成はしていない。舞台上で演じる人と、観客がいて両方のキャッチボールで舞台が出来上がる。」という面白みがあります。
 
 観客も舞台を造る、「部品」になっているということなのでしょうか?
 部品というか、大きな要素ですね。舞台の上の人も観客の様子を見て、盛り上がって生きます。お互いに知らないうちに「キャッチボール」をしているのではないか。
 銀の糸で結ばれる。という言葉があります。舞台上と観客席が。と言うふうに両方で作り上げていくところがありますね。
 私たちも大人になりますと、恥ずかしくなって、感情表現をストレートに出せません。子供たちは「感動した」ことをストレート二舞台を見て出すものでしょうか。

2004年3月に公演された低学年例会「ともだちや ともだちぃるかな」(劇団うりんこ)です。

 そうですね。大人と子供は全然違うものですね。子供というのは、大人のこがたではありません。言ったら「発達途上人」です。舞台を見るのも、音楽を聴くのも。大人が見たり聞いたりすることと全然違います。見かたも聴き方もしています。
 生きる力として、取り込んでいきます。劇の中の人の体験に、自分の身を添わして見ていきます。音楽なんかも身を添わして聞きますので、大人の思っている以上の体験をしていっていると思います。
 観点を変えてお尋ねします。こども劇場の活動を見ますと、親子の交流事業があります。キャンプであるとか、バザーとか実施されています。
私はヨットやシーカヌーを夏に子供たちに教えたりしています。その場合は、親との 交流が従来は殆どありませんでした。こども劇場は設立当初から、劇や音楽会以外に親子の交流をにされているのでしょうか?
夜須でのヨット教室の様子
カヌー教室の様子です
 親子というだけではありません。大人と子供とまわりの大人にこだわっています。地域で大人が子供を育てなくては行けない。ということでやってきています。
 学校でもないし、近所でもないところで、自分の居場所を見つけていけるのではないかと思います。
こども劇場の親子の交流事業の様子です
「昔と今」では、こど劇場会員の気質は変りましたか?こども劇場35年の歴史があります。子供たちは変化しましたか?気質は変わりましたか?
「親子2代」のこども劇場会員も登場されているのではないでしょうか?
 こどもの本質は変わってはいません。ただ社会情勢は変化しています。随分変わっていると思います。遊び時間にしても。友達づきあいにしましても。いろんなことが変わっています。
 そうですね。塾であるとか、習い事はこどもたちにとってかなりの部分を占めていますね。そういえば、わたしなども子供も、いきなり家へ行って「あそびましょう」ではなく、電話をして「あそべるの?」とか確認していましたし。
 遊び場所が、こども達で考えてあそべる場所がないようですし。
 都市部においてはそうですね。スポーツ少年団が、野球やサッカーをしているのは見かけますが。子供同士で遊んでいるのは見かけませんね。
 スポーツ少年団は大人が関わってやっていますね。子供たちが自分達で遊びを見つけて遊ぶ。というのが減っていますね。
 近年パソコンやインターネットの発達で、社会の状況が変化しています。この10年ほどの変化は大変なものですね。こども劇場としての対応はされていますか?ホームページは作成されているようですが。
 掲示板(BBS)などで会員同士の交流はいかがでしょうか?
 ホームページは昨年開設しています。メディアの発達にはホームページで対応はしています。会員に「こどもとメディア」というアンケートもとっています。今メディアとどう付き合うか。メディア・リテラシーですね。それを一緒に考えたいと思ってか活動をしようとしています。

 確かに圧倒的に影響力のあるメディアは、昔はテレビだけでした。今はゲームだとか、インターネットであるとか,携帯のゲームとか。親や教師よりも圧倒的に影響力のあるメディアが出てきましたね。


 そのメディアからの情報が、正しいのか、どうなのかを判断することがとても難しいですね。

 そうですね。大人と違いまして。子供は無防備な状態で色々なものにさらされています。やはり大人が気をつけて差し出さないといけないと思います。
 携帯電話で、こんなことに巻き込まれますよとか。警察の人などが、寸劇なんかされているのはあるようなのですが。もっと取り上げていただきたいなとは思いますが。
 そうですね。具体的にはこどもたちが自分で考える力をつけることですね。遠い道かもしれませんが。だけどどう考えるかというところから迫って行きたいと思っています。
 最近の報道で日本の高校生は、読解力が低いと言う結果がでました。本を読まないからなのでしょうか?
 本を読んでも後で、じっくり考える時間がありませんと、その人の思考力として落ち着かないのではないでしょうか。1人になる時間が必要ではないかと思います。
 本を読んでも後で、じっくり考える時間がありませんと、その人の思考力として落ち着かないのではないでしょうか。1人になる時間が必要ではないかと思います。
 2極化しているとも言われていますね。
 ファミコンやスーパーファミコンまではついていけましたが、今のプレステ2とか、DVD画像などのゲームは難しくついていけません。
 日本ほど子供に対して無防備な国はないと思います。安易にゲームやメディアに触れさせる国はないと言われています。

 最近ですか小児科学会がようやく今年ですか「2歳頃までは、テレビゲームなどにさらさないように」との見解を出しました。アメリカには随分遅れています。
 日本は経済優先ですから、ゲーム市場は拡大しています。こどもを「食い物」をしているのは言いすぎでしょうが。