薬に対する正しい知識とは?
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今週のゲストは薬剤師の川添哲嗣さんです。今日のテーマは「薬に対する正しい知識とは?」です。 最近では量販店型ドラックストアを気軽に利用する人が多いようです。薬の効用や安全性を十分に薬剤師に聞かず購入する事例も多いやに聞きます。市民としてどの程度薬についての知識を持てばいいのでしょうか? |
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正直申し上げまして、この程度持てば大丈夫、という基準は無いと思います。成分名を見ただけで主作用、副作用、相互作用などの知識をすべて言えるようになるのは薬剤師でもかなりの勉強が必要ですから。 | |
ただ、薬に関して一番恐いのはアレルギー性の副作用なので、自分が何に対してアレルギーが出たことがあるのかをお薬手帳などにしっかり控えておくことは強くお勧めします。例えば、牛乳アレルギーがある人は、カゼインという物質が含まれている整腸剤や抗生物質をのむと急激な下痢をすることがあります。また、卵アレルギーのある人は卵白が原料の塩化リゾチーム配合の薬品は飲まないほうがいいですね。ひどい発疹や呼吸困難になる場合だってありますから。 そもそも全く薬の説明を受けずにCMや広告で購入商品を決めていることが少々おかしい現象なのです。どんな薬品でもきちんと薬剤師に相談して購入しましょう。そして一般薬であっても購入した場合、お薬手帳に記録を残していくとさらにいいですね。その積み重ねこそが、自分の体を守ることになっていくと思いますよ。 相談しようと思ったら薬剤師がいなかった、という店がもしあったら・・・論外です。 |
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収録中の様子です。豊富な事例をもとに川添さんは適切に回答いただきました。 | |
腹痛時の整腸剤や、下痢止めについて伺います。これからの季節冷たいものを飲みすぎたりします。お腹の調子が悪いことも多くなる季節です。 簡便に飲んだり、多めに飲んだりします。危険性はあるのでしょうか? |
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あります。腹痛や下痢の場合、置き薬で収まれば結果オーライでしょう。収まらないときはじめて病院行こうかどうしようか考えられる方が多いと思います。まあ、それでもいいのですが、細菌感染性の下痢の場合、下痢止めを使用することで細菌を体の中に長くとどめることになり危険です。 また、下痢をしょっちゅう繰り返す方は、胃腸科の専門病院で検査されることをお勧めします。過敏性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病など様々な腸疾患がありますから、油断は禁物です。 |
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風邪薬について伺います。市販の風邪薬は効用はあるのでしょうか?やはり医師の診断を受け、投薬すべきなのでしょうか? |
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基本的に市販の風邪薬は症状を抑えることを主眼においています。アセトアミノフェンは熱、塩化リゾチームは喉の炎症や腫れ、マレイン酸クロルフェニラミンは鼻水、といった具合に。それぞれ効果はありますので、一時しのぎには十分使えます。風邪に対して必ず抗生剤が必要と言うわけではありません。比較的元気ならば市販の風邪薬を飲みながら自然治癒を待ってもいいでしょう。
ただ、熱とともにものすごいだるさやしんどさが伴う場合は、白血球の急上昇や脱水症状を起こしている可能性がありますので必ず医師の診断を受け、血液検査をしてもらってください。この場合点滴をしないと内服薬では治癒にかなりの日数を要します。 |
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熱さましの薬のついては、どのように考えたらよろしいのでしょうか? | |
また、熱さましを多用することはおすすめできません。熱を下げたら細菌が死ぬ、と思っている人がたまにいますが、逆です。熱が上がるごとに細菌が死んでいきます。体が防衛のためにわざとに出している熱を無理やり下げるのは「細菌さん長生きしてね」と言っているのに等しい。少し熱を下げないとどうしようもなくしんどいときはもちろん使っていただいて構いません。熱性けいれんの方は使用しないといけません。くれぐれもやたらめったら多用しないで下さいね。 | |
高血圧症や、通風などは、正しい薬の服用でコントロールできるものなのでしょうか? |
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もちろんです。最近の血圧のお薬はたいていの場合、毎日飲むことによって効果が持続されるタイプのものがほとんどです。つまり、のんだりのまなかったりでは効果の正否が判断できなくなります。きちんと飲んでくれた場合、確実に効果は出始めます。きちんと飲んだ上で、もし改善しない場合は薬の変更を医師は考えます。しつこいですが、もっとも大切なのはきちんと飲むかどうかです。 | |
皮膚のかぶれや湿疹などの塗り薬は副作用が強いように思われています。 副腎皮質ホルモンとかステロイドの使用は、怖いという印象があります。どのように考えたら良いのでしょうか? |
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正しい使用方法を守れば全く危険ではありません。ステロイドの副作用は効果の無いものを漫然と使い続けたときにはじめて気にしたらいいのであって、治ったらすぐにやめるようにすれば全く問題ありません。 強さは5段階あります。患部の状態に合わせて何を使うかを医師は決定します。ひどければ当然一番強いものを使います。弱めのものをあえて使い、治らなかった場合よけいひどくなることだってあります。その状態に合わせて使うことが結局は一番安全、安心なのです。 |
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今年はギリシャのアテネでオリンピックがあります。オリンピックになりますと「ドーピング」(薬物反応検査)が話題を呼びます。 かつて100メートルでベン・ジョンソン選手が失格になったことがありました。 禁止されている薬物はどんなものでしょうか?風邪薬もひっかかるやに聞きましたが? |
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ドーピング規制を受ける薬物は,興奮剤(エフェドリン)などは風邪薬に入っています。麻薬性鎮痛剤(モルヒネ),蛋白同化剤(筋肉増強) 体重制限のある競技では利尿剤(体重を急激に下げる)を使用します。これも駄目です。,ペプチドホルモンと類似物質に分類されます。 また,薬物ではありませんが血液ドーピング(自己または他人の血液,あるいは血液製剤を使用する)などの方法も禁止されています.また,薬物が検出されにくいように操作する方法が,薬理学的,化学的ならびに物理的不正操作として禁止事項にあげられています.その他,アルコール,大麻,局所麻酔薬,コルチコステロイド,ベータ遮断剤が一定の規制の対象となる薬物とされています。 参考 http://www.geocities.co.jp/NeverLand-Mirai/3221/kousuke.htm |
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検査は尿でするのでしょうか? | |
そうです。基本的には尿検査ですが、2000年のシドニーオリンピックでは血液検査もしました。 | |
漢方薬は安全なのでしょうか?市民各位には信仰が強いようなのですが・・・ | |
漢方薬はたいていの場合数種類の漢方薬原料を混ぜ合わせています。その中には血圧が上がりやすくなるもの、筋肉痛やだるさが生じるものもあります。漢方薬には副作用が無い、という妙なコメントが飛び交っていますが、副作用はありますのでくれぐれもご注意。 |
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ききほど話題にしました「ドーピング」などにも漢方薬でも引っかかる可能性はあるわけですね。 | |
あります。十分にあります。 | |
漢方薬だから安全というわけではないのですね。薬に対する正しい知識を、薬剤師さんによく相談されてから出ないと、民間療法などは危険だということですね。 |
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そうですね。オリンピック並びにスポーツ競技に出られる方は、絶対に薬剤師に相談しておいたほうが良いと思います。国内競技でもある程度ドーピング検査をします。国体でもします。陸上、水泳などは厳しくやります。
従来団体競技ということで野球などは、筋肉増強剤を使用してる可能性の選手がたようですが、これからは、検査が厳しくなり使用できないと思います。 |
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