不二家のブランドは不滅なのか?
 今週のゲストは橘屋商事株式会社代表取締役の伊与田治彦さんです。今日のテーマは「不二家のブランドは不滅なのか?」です。不二家は創業が1910年で、現在の年商は869億円(連結)主要関連会社が12社あり、直営店舗139店、フランチャイズ810店舗の総合型食品製造メーカー・フードサービス関連の会社です。
 伊与田さんは、不二家でレストラン部門、製造ラインなど9年間在社されてきました。特色のある会社であると伺っています。
 不二家といえば、私はぺこちゃんとミルキーの印象が強烈です。しかし様々な業態変更しているやに伺いました。その流れはどうなっているのでしょうか?
 不二家という会社は、商事部門、チェーン部門、銀座7の本社、チェーン部門、商事部門に別れています。。不二家の本社は東京銀座7丁目にありました。本社3階がチェーン部門。4階が商事部門でした。3階と、4階の交流が全然ありませんでした。人事交流がありません。別会社みたいでした
 商事部門というのは高知の人におなじみ、ミルキー、LOOKチョコレート、カントリーマアム、ノースキャロライナキャンディー類をスーパーやコンビニを通して販売しています。一方チェーン部門は、パン・ケーキ・レストラン(市街地型、郊外型、スパゲティ専門店カプリ、今は違いますがサーティワンアイスクリーム)で基本的に直販です。
 私自身はおもにチェーン部門の仕事をしてました。
ぺこちゃんに関しては、私が在籍していた頃は、その頃の社長から「ぺこちゃんは食べるな」言われてきたその意味は、ペコちゃんの形をした商品はなかった。今は、ぺこちゃん人形焼き、ぺこちゃんサブレなどあります。その頃はありませんでした。
 あと余談ですが、社章バッジは白地に金色ミルキーマーク 電車の中で学生に見られると「あ,ぺこちゃんだ」と言われました。すぐわかるので恥ずかしかったですね。
おなじみのぺこちゃん。
不二家の不滅のキャラクター
社章がミルキーとは、なかなか特色のある会社でしたね。
現在の不二家の主力製品は何でしょうか?概要はさきほど伺いましたが。株式情報を見ますとバイオや試薬などの部門もありました。その分野は成長しているのでしょうか?
 現状は私が在籍していた頃とそれほど変化していないと思います。基本的には商事部門〜カントリーマアム ルック ファミリータイプのチョコなどはコンビ二やスーパーで。チェーン部門では、ショートケーキ類、シュークリーム類、レストランでの販売などが主力ですね。その他いろんなものもありますね。
 薬関係は不二家は出遅れていましたね。昔ちょっと挑戦していたが、ほぼダメですね。
日本に40年ぐらい前から「バレンタインデー」を広めたのは不二家であるように言われていますがそうなのでしょうか?本当なのでしょうか?社訓かなにかにありましたでしょうか?
 私が在籍していた頃には、それを会社で言われたことはありませんでした。
 不二家の歴史としては、洋菓子1910年代に、横浜元町にて シュークリーム・エクレアを販売し始めました。1920年代にはショートケーキ、クリスマスケーキを販売しています。1935年ハートチョコレート チョコレート自体の製造は神奈川県の平塚工場ではじめています。他社の明治・森永とかにくらべ弱かったようです。1956年にバレンタインセールはじめたらしいのですが、私自身在職中は特にそれほど意識したことはありませんでした。
伊与田さんは不二家に9年在社されていました。様々な部署を経験されたと思われます。不二家という企業は内からみたらどうなのでしょうか?
不二家在籍時代の伊与田治彦さん
同僚と社員旅行
 不二家は労働組合が強い会社だったようでした。しかし、私が入社した時点では、すでに社員→パートへの置き換えが相当進んでいた。
 いろんな部署を研修も兼ねてまわされていました。
 関西の心斎橋店は、売店・レストラン・スパゲティ・カプリ、が合体した3階建ての店でした。10名程度社員で、あとはパート、アルバイトでした。昔ながらの落ち着いた雰囲気や社員同士の交流がありました。社員同士というのは労働環境としてやっぱり良かった。昔の不二家の良さがありました。
 一方対照的なのは、郊外型のレストランでした。関東、関西に何店舗かあります。コストを抑えるため、パートアルバイトが主力。正社員としては苦労する部署でした。
 これも余談ですが、私のいた店はあまり売れない店でした。お誕生ケーキは、平日は、冷蔵ショーケースに「蝋(ろう)のサンプル」を置いておいて、もし注文がありましたら、それから私が絞って作るようにしたありました。慣れないバイトはその「蝋(ろう)のケーキ」をケーキ箱にいれて売ることが良くあって弱りました。その場合はお客さんを追いかけていって、謝っていました。そんなこともありましたね。
 商事部門の生産工場はほとんど機械化されていて、たとえば、チョコレート掛けラインがありました。そこでは、1日中、チョコボールが出てくるのを見る作業をしました。チョコボール同士が、くっつくいたら、針金でつっついてはがすという作業を8時間やりました。1分間に、1個くっつくかどうかでした。その作業は退屈でした。
 一方違うのはチェーン部門の工場でした。栃木県の洋菓子・焼き菓子工場では、冬場忙しく、週休1日でした。夏場は暇なので、1年のうち、週休3日でした。3日休みは良さそうですが、月曜は出勤で、火曜休み、水曜出勤、木曜休み、金、土と出勤、日曜休み。これは良いようですごく疲れました。
それは疲れますね。 品質管理やセールスプロモーションで学ぶべき事柄はありますか?
品質管理ですか。あまり進んではいなかったようです。問題が起きてから後追い対策が多かったようです。
ある時、カステラからかびの臭いがするというクレームがありました。カステラ自体をさんざん調べたがわからちませんでした。最終的に解明されましたのが、包材の一部であるボール紙の中央部分が古紙で、トリクロロなんとか、ベトナム枯れ葉剤の成分が混入 カステラが吸ってそういう臭いが出ていました。それ以降は、古紙を使わなくなりました。
プロモーションというほどのことは、どうでしょうか?不二家は、ペコちゃんキャラをうまく利用して長くやっているな、とは思う。
 以前に雪印乳業の不祥事がありました。あの当時不二家の対応はどうだったのでしょ  うか?同じような問題を大企業は抱えているのでしょうか?
その時にはもう会社にいませんでした。今ほど厳しくはなかったと思います。ただ、食中毒は怖いです。サンプルの細菌検査はしていますが、結果が出るのは遅い。ある程度見切り出荷します。そういう問題は現在でも変わっていないと思います。
大企業はブランドイメージを守るためにどのような努力をされているのでしょうか?
典型的な実例がありましたら、ご紹介下さい。
 不二家は子供を大事にする。レストランでは昔からお誕生日の特典として、アイスクリームサービスや写真撮影をしていた。不二家は庶民的なイメージなので、地価の高い銀座のど真ん中店でも、商品構成や価格設定は同じだった。在籍した頃は感じませんでしたが、このあたりの配慮がブランドイメージを守ることであると今は思いますね。
創業が1910年という老舗
製造工場です。
不二家は創業はレストラン部門ですので、常に顧客を意識して経営をしてきました。それは今も変わらないと思います。ミルキーがヒットしたこともあり、製造ラインをこしらえ、商事部門の売り上げが伸びました。創業以来、好景気、不景気の波が何度か来ています。業態が違いますから両方が良いとか悪いとかにはなりません。裾野が広い会社ですね。