日朝国交正常化の意義について
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今週のゲストは、在日本朝鮮人総聯合会高知県本部常任委員会委員長の黄英信(ファン・ヨンシン)さんです。今日のテーマは「日朝国交正常化の意義について」でお話を伺います。 日本が唯一外交関係を樹立していない国は、朝鮮民主主義人民共和国 です。ただ日本国内に関係改善を望まない国民も多いようです。その 理由は何であると思いますか? |
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そうですね。最近の報道アンケートを見ましてもそのような数字が出ています。この2年間、2002年9月17日以降、「拉致問題」一色の朝鮮問題の報道のもたらした結果ではないでしょうか。 それまでは、「日朝は仲良くすべきである」と言わ人々が毎年増えて来ていました。ところがこれを契機にばっさりと切られ、萎縮してしまいました。 |
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両国の国交正常化交渉のなかで、朝鮮総聯が果たしている役割は ありますか? | |
一つは国交正常化交渉が始まるような環境を日本の人達との運動の中で回復していく。という問題があります。虚心坦懐に意見の交換をすることも大事であると思います。 朝・日国交正常化のもつ意義と重要性を汲み取る必要性があります。国交正常化のなかで、「在日」の問題を朝鮮総聯は責任をもって取り組んでいかねばなりません。 共和国のほうでも、朝鮮総聯代表は以前は交渉のオブザーバーでした。今回正式の交渉団のなかに朝鮮総聯の議長、副議長も入りました。在日の問題を責任をもって交渉して行くということです。 |
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高齢者を励ます食事会の様子(黄英信さん提供)
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夏季講習の子供達(黄英信さん提供)
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日本人の一部には、拉致問題で北の対応がはっきりしないのなら経済制裁をしろとか、言う人もいます。要するに経済支援目当てだから、国交など正常化しなくて良いという人までいますね。 | |
私たちは補償がほしくて言っているわけではありません。従軍慰安婦の人達も言っています。補償がほしいのではない。ます本音で日本政府は謝りなさいと。それをしてくれれば良い、補償は2の次だと。 北朝鮮は経済が破綻状態だから、早く金を取ろうとしている。だからあわてる必要はないと。そのような論調になっていますね。 朝鮮民主主義人民共和国は、国連機関に食料支援を要請する国だから、経済制裁しろという論調が「日本でも台頭してきていますね。もっと兵糧攻めをしろと。 私はその主張どうりになれば、朝鮮と日本の両国人民には決して利益にならないと思います。両国の関係が改善されない限り、両国間の諸問題は解決はされないし、あってはならない問題までも起こりうる。今までの非正常な敵対、対立関係が持続され不利益しか生まないと思います。 |
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かつて、韓国や中国がそうであったように、戦後賠償金を放棄、その かわりの経済援助という形になるのでしょうか? | |
ピョンヤン宣言を見る限りはそうなっていますね。しかしそれは「本意ではない」と思います。わたしから見ても「何故」と思いました。 まして今、韓国では日韓条約締結50年を前に、その再検討作業の声が出ています。北に対してものすごい期待を持っています。ところが同じようになっています。 しかし賠償交渉に固執したら日朝国交正常化の扉は開かれるのかと言いますと、日本政府は絶対に応じないでしょう。そうなると「実をとる」ことになります。真摯な日本側の反省と謝罪、名目は経済援助になるかもしれませんが。そのような形で進まざるをえないと思います。 |
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現在の朝鮮民主主義人民共和国と日本との貿易総額はだいたいどれ くらいなのでしょうか?また主にどのような物品が輸出入されている のでしょうか? |
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朝鮮解放59周年朝日友好川辺の集い(2004年8月4日)仁淀川「川辺 黄英信さん写真提供
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今は殆ど減少しています。鳥取あたりはカニ漁は悲鳴をあげています。2万トンのカニの漁獲高のうち7000トンは朝鮮から購入していましたので。ロシアからは2500トンです。 船舶保険へ朝鮮船籍の漁船が加盟していない理由で寄航を拒否しています。両国が友好関係なら、日本側が漁船をレンタルするとか出来るのでしょが、現状では無理なようです。 |
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現在の進展具合はどのようになっているのでしょうか? また関連諸国を入れた「6カ国協議」の進展はどうなっているの でしょうか? | |
日朝国交正常化交渉なのですが、「拉致一色」です。拉致問題以外なにもない。そのように日本の世論がつくられています。 反論が出るのを念頭にあえて言いたいのは、朝日間に横たわる問題は「拉致事件」だけなのでしょうか?「拉致が許されない事、その解決が急がれることも当然なことです。」しかしそれと同時に「日本が植民地支配に依って朝鮮人民に多大な損害と苦痛を与えた日本の過去の加害責任も清算されなくてはなりません。」 両国が抱えるこれらの問題を正しく解決するには、対立と対決を煽るのではなく、「日朝ピョンヤン宣言」に基づく両国の国交正常化に互いが誠意をもって臨む事こそ重要だと思います。
国の自主権と民族の尊厳を守るためには備える以外にありません。 |
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10月番組へ戻ります |