まちづくりは、人づくり、つながりづくり
 
今週のゲストは、高知県都市計画課の豊後彰彦さん、須崎商工会議所の松田健さんです。
今日のテーマは「まちづくりは、ひとづくり、つながりづくり」です。ともすれば都市計画事業は、街路整備や、区画整理、など目に見える土木工事ばかり目立っていました。
 しかし都市に住むのは人間です。人間関係は大事だと思います。豊後さんは、建設土木関係の技術者です。従来の発想ではまちづくりは「土木屋に徹する」ことが仕事と思われてきたようです。豊後さんが、そう思われない理由はどういうところにあるのでしょうか?
豊後 そうですね。5年ぐらい前ですか、須崎土木事務所に行きましてから、今日来ていただきました須崎商工会議所の松田さんなんかと知り合いになってからです。その時にトンネル工事の担当になりました。トンネル工事の完成する時期の担当もさせていただきました。
 多額の予算(税金)を費やして何のために工事をしているのだろうと思ったのが最初でしたね。
公共事業は多額の税金を使って道路や橋やトンネルをこしらえますね。名目は交通渋滞の解消、不便さの解消などですね。
 トンネルや道路や高速道路などの開通式などは、国会議員やら、知事やら、地域の偉い人ののスケジュールを調整し多額の税金を投入して、開通式をします。そういう儀式よりも、地元の住民を開通式にご招待し、餅撒きでもし、お祭りなどをしたほうが、「税金の有効な活用」だと思いますが・・・
豊後 そうですね。本当に餅撒きをしました。なんのためのトンネル工事なのか。それは地域の流通、物産であり、人の交流が盛んになることでしょう。それならば「お知らせ」をしたいな。と思いました。「開通式」とい手段(首長や工事関係者によるテープカットなどの一般的な式典)になりますとマスコミの扱いがどうしても小さくなります。
 それでは開通記念イベントをすれば活気がでるのではないかと思いました。お祭りですから、地域にも活気が出ますし。マスコミも大きく扱ってくれるのではないだろうかと。
 そこで須崎商工会議所の松田さんに相談を持ちかけました。
松田さんにお伺いします。当時須崎商工会議所でも、「盛り上がり」はありましたか?
松田 心のなかにはありました。でも実際自分達が手がけていましたのは、通常(商工業者が関わる)のイベントであったり、お祭りでした。道路工事の完成式典を「イベント」にするなどという発想はありませんでした。
豊後さんは道路関係の土木技術関係の方、松田さんは商工業振興に関係する方ですね。当初はかみあわなかったのではないでしょうか?
松田 そんなことはなかったです。商工業のみならず、農業も、漁業も地域のみんなが元気になっていただきませんと、商業者も元気になりません。道をつけていただいたおかげで地域が元気になるのであれば、自分達もイベントをしないといけないと思いました。
 豊後さんたちが数人で、会議所に押しかけて来ましたし。それだったらやってみようと思ったのが、イベントへ参加するきっかけになりました。

豊後 須崎市に戸波裏(へわうら)トンネルがあります。国道56号線土佐市の鷹ノ巣から、須崎市の浦の内をつなぐ県道47号線ですね。そのトンネル工事の完成時の担当でした。それで、松田さんところへ土木事務所の若手職員を連れて、イベントの相談に行きました。その前に須崎の農協へ行ったおり、商工会議所の松田さんを訪ねてみたらとアドバイスを受けましたし。


 それで開通式のイベント名は「食いたければ来い。INよこなみ」という随分乱暴なネーミングでした。ご批判も一部いただきました。

 
県道47号線 戸波裏(屁輪裏)トンネル
イベントは大変盛り上がったようなのですが、県の人、商工会議所、地元の人、どのように助け合い交流を深めたのでしょうか?
松田 主導は県庁の須崎土木の皆さんが」していただきました。重要なのは「住民参加でやろう」と言うことですね。農業の方、養殖漁業の方、工業の方、商業の方m会社員の方とか、地域の方々が、声がけしあいまして、どんどん交流の輪が膨れ上がりましたね。
盛大な良いイベントになるきっかけでありました。
そのイベント(開通式の)は餅撒き以外にはどのようなことをされましたか?
松田 「食いたけりゃ来い。IN横浪」という名前をつけさせていただきました。地域にある良いものをみんなに食べていただいて喜んでもらうおうと。物と人が交流することによって地域が元気になる。それが工事への「恩返しに」なると思いました。おもてなしにもなりますし。
豊後 おもてなしはおもてなしでしたが。未だに忘れられませんが、僕らは食べれませんでしたが・・・・。
 一杯500円でうどんがりました。トッピングが凄かったですね。最初漁業組合長とのお約束では、うどんに伊勢海老を4分の1入れていただくことになっていました。ところが海の男は豪快ですね。半分になっていました。500円のうどんのなかに伊勢海老が半分入っている「とんでもない」事態になりましたし。
随分人は来てくれたのではないでしょうか?
松田 そうですね。当日の朝きになりまして午前4時ごろ目が覚めました。雨が降っていました。これでは来ないだろうなと思っていますと午前9時ごろから大勢の人が来ました。お昼前には大渋滞。浦の内の県道にも車が溢れていましたね。推定6000人くらいはきていただいたのではないでしょうか。
広報告知はどうされたのですか?
豊後 地元新聞の5段の広告。パブリシティで地元のテレビとラジオが取り上げていただきました。「食いたけりゃ来い。IN横浪」で。予算は高知県の方で枠を取ってありましたので、それを使わせていただきました。
そうなると土木公共事業が、地域の人達と「一体化」するようになりますね。
豊後 一体化出来たのではないかと私個人としては思いました。
いろんな関係者が係わり合いがあってうまく行ったのですね。大きな地域の資産になりましたね。
松田 地権者の皆さんも土地を提供いただきましたし、養殖者の方々も恩恵ができたり、農業の方々も土佐市へ容易に出掛けることができるようになりました。お互いが譲り合うことによって地域の整備ができた。という認識を地域に住んでいるものとして持っています。
道ができることによって、これほど地域の皆さんが喜んで、盛り上がったということは、事業者側(県)にしても、地域にしても大変良かったと言うことになりますね。
豊後 私としては、一緒にイベントをした地域のみなさんがたといまでもお友達付き合いができることが何より良いですね。