住民投票の功罪

 今日のテーマは「住民投票の功罪」です。「地域の重大な問題は,住民参加による意思決定」ということで、時に住民の代表である地方議会や地方首長と対立してしまうことがあります。

 一方で「住民の代表である議会が審議して決定するのだから不必要」という意見もあります。また議会では十分な審議時間が取れない。地域の運命を決定する事項は、より公平さを課すために「住民投票で決着しよう」という意見もあります。

 ただ日本の場合は「有権者総数の50分の1以上の署名の確保が必要です。それと地方議会の承認が必要です。」私達の記憶に新しいところでは、隣の県の徳島市での「吉野川可動堰計画の是非」の住民投票でした。有明海干拓事業での「のりの被害」が出て、九州では大問題になっています。大きな影響を人々に与える公共事業の場合は、住民投票も良いのではないかと思うのですが。どうなのでしょうか?

  • 住民の権利と住民運動の形には「情報公開」と「直接請求」があります。国も遅まきながら、「情報公開法」を1999年に制定しました。行政機関の保有する情報を公開していくものです。個人情報や外交,防衛、捜査に関する情報は原則除外です。それでも格段の進歩です。
  • 直接請求には、議会や首長のリコールや、監査請求などがあります。そうした住民の直接行動できる手段はありました。
  • 住民投票こそが、「民主主義の本質」という議論は、ちょっと行きすぎではないかと思います。
  • まず住民の代表である地方議会の改革が、より重要だと思いますが。

※議会の選挙や、首長の選挙などは、投票所で投票します。住民投票は最初に有権者の50分の1の有権者の署名を集めなければなりません。その行為により地域社会が分裂し、ぎくしゃくしてしまう可能性もあります。

※マスコミや一部の政治集団などの「煽動」が介在する危険性があります。

※大差で結果が決まれば良いけれども「51対49」のように僅差の場合、より地域社会に亀裂が出きるのではないか。

※また一度住民投票で決まった事柄を,将来覆すためには、再び住民投票をしなければなりません。これは大変なエネルギーがいることです。これらの危険性も考慮しながら、「住民投票」の是非を議論すべきでしょう。民主主義のひとつの手段でありまして、「万能薬」ではありません。

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2002年3月1日