ユニバーサルデザインでのまちづくりについて
今週のゲストは、高知市障害者福祉センターでソシャールワーカーをされています竹村利道さんです。今日のテーマは「ユニバーサルデザインでのまちづくりについて」です。
 福祉に関連する用語では「ノーマライゼーション」とか「バリヤフリー」という言葉がようやく定着してまいりました。ユニバーサルとは「万能の、全部の、自在の,普遍の」という意味があり、まちづくりも「参加者は住民すべて」です。おおきな考え方です。
公共施設はバリヤフリーが随分普及してきました。しかし商店街や、個人の住宅では
まだまだです。「改善目標」などは「設定」されているのでしょうか?
一定の改善目標はあります。県や市で改善目標に向かって施設整備をしています。しかしそこは公共施設ですね。しかし本当の人の支えている場所はどこかと考えた場合、市役所などへはそれほど行きませんね。例えば消防署がバリヤフリーになりましても、消防署へ行くことはまずありません。そうではなくて、日常生活に関連のあります量販店や本屋とか魚屋がバリヤフリーになることが、目標ではなく自然になることが必要だと思います。
高知県政策総合研究所のテーマは最近は、「ユニバーサルデザインによる都市づくり」になっています。欧米の先進事例を研究し、低床式路面電車とバスの導入を推進されています。運動面での連携はされているのでようか?
大きいところでは広報啓発で広まることは喜ばしいことですね。実際の成果はこれからの課題であると思います。

NPO法人あきらめないで理事長の森本修作さんからも、番組出演の折ご指摘を受けました。「低床式の電車もバスも良いですが、停留所まで自宅からの移動方法がないに等しい。自分達は移動交通手段を車で考えるのだと言われていました。そのあたりはどう思われますか?
路面電車や路線バスが低床されることは良いことです。しかし家の中にバリヤがありますと一歩たりとも出られなかったっりします。結局「閉じこもり」が解消されなかったりします。個人の住宅をバリヤフリー化することにお金をかける。それによりまして個々の健康度がアップします。とすると通院する人も減るかもしれません。街へ出掛けるようになりますと、障害者の人達が購買し消費をすることになります。様々な効果が現れます。身近なところから、生活基盤のところからバリヤフリー化されることが大切です。
低床式路面電車
低床式バス(高知県交通)
低床式路面電車(土佐電鉄)
障害者は「一方的に保護される存在ではない」のですね。
そうです。1人の障害者には介助の人や、家族がいます。1人で旅行は出来ませんから、2人、3人付いて来ますね。消費を喚起する効果もあります。そのことを旅行会社にも言っています。1人の障害者が旅行をあきらめていたから、行けませんでした。行けるとなれば家族総出で行けるではありませんか。そこが大きいですね。「天使の翼」も飛行機会社も、ホテルもバス会社も、ディズニーランドも気がついたんので、障害者を受け入れる体制が出来たのです。
そうですね。かつてアメリカ旅行であるテーマパーク(シーワールド)へ行った時も既にそうでした。一番良い席が障害者のための席でした。野球場でもそうでした。
障害者も向こうでは「顧客」と見ています。日本では「慈善の対象」なのですね。1年に1回だけ無料で見せてあげるというしくみですね。
歩道と車道の「段差」も障害者によって「見解」が違うように聞きました。「ユニバーサルデザイン」という難しさを感じました。
ボストン市のヨットハーバー
車椅子利用者にとりましたら、段差は限りなくゼロにして欲しいとの要望を聞きます。一方視覚障害の方は、ちょっとした段差が歩道と車道の境目がわかるというので、必要とされています。障害の程度で異なります。ただ男女であっても、子供と高齢者の場合でも、自分の都合を押し通るわけではありません。お互いの事情を考慮し、「折り合いをつける」こともユニバーサルという観点からは必要であると思います。パーフェクトではなく、お互いが譲り合うことも必要です。
障害者を施設内や自宅で孤立させない工夫が必要であると思います。竹村さんから見た参考事例の都市はありますか?高知市は段階とすればどの程度になりますか?
先ほども申し上げましたが、個人の住宅が生活の基礎です。体調が悪く、一歩も外出できない状態で、長期入院される。医療費がどんどんかさみます。それは公費として私たちの保険料から支払われています。そうならないようにするために、個人の健康を守るためにも個人の住宅をバリヤフリーに改造できたらと思います。
 東京の江戸川区では住宅改造の補助は、介護保険の枠内の10万や20万円ではなくて、場合によっては何百万円も補助しています。個人の住宅改造に公費負担は疑問だと思われるかも知れません。しかしそれによりまして、ヘルパーの利用が(高知市に比べ人口比で)10分の1になりましたし、外で買い物をするようになります。病院費用はたまに風邪をひかれて通院する程度で、公費負担の低下が見られました。そういうところに力を注ぐ福祉政策が必要であると思います。
家屋の段差は外出を困難にします。 自宅のバリヤフリー化は課題です。
一方的にヘルパーや介助士が障害者を介助するばかりが福祉ではなく、住宅を改造し、まち全体を改造するという考え方なのですね。みなが共存することのほうが、社会性があり医療費その他も結果的に公費負担が軽減されるということですね。
お金のことを具体的にいたしますと、病気で障害を持たれて入院されますと月額40万〜50万円の医療費が必要です。1年間なら600万円になります。障害手帳の人は福祉医療で医療費の減免があります。しかし実際はかかった医療費は私たちの社会保険から出ています。その部分を、社会的な入院ではなく、自宅で生活できるようにすれば、社会的入院が減ります。さらにはQOL(Quality of life)「生活の質」が高まる展開が出来ると考えます。
住宅改造になりますと違った意味での需要が起こり、経済波及効果もありますね。
まず足元からバリヤをなくし、まち全体に広がれば良いと思います。